

PRACTICE
公式練習 4月12日(土) 天候:晴れ/路面:ドライ
長いようで短いオフシーズンを経て、いよいよSUPER GTの2025年シーズンの開幕戦となる第1戦岡山を迎えた。ROOKIE Racingは、2025年もTGR TEAM ENEOS ROOKIEとしてシリーズに参戦する。今シーズンもENEOS株式会社をはじめとした多くの協賛を得てENEOS X PRIME GR Supraを投入。大嶋和也と福住仁嶺のふたりがドライブする。
また、今シーズンは体制も大きく変更。長年チームに携わってきた武田敏明新監督が就任し、過去にGT500チャンピオンに貢献した実績をもち、ヨーロッパでも活躍してきた高田剛エンジニアが加入。チームとして初めて1月にマレーシアのセパンサーキットで行われたウインターテストに参加するなど、ENEOS X PRIME GR Supraはオフシーズンに準備を整え、新たな一年に臨むことになった。
そんなシーズンの開幕の舞台となるのは、今季も岡山県の岡山国際サーキット。TGR TEAM ENEOS ROOKIEは、暖かな気候に恵まれた4月12日(土)の予選日を迎えた。この日は午前9時30分から公式練習がスタートし、ENEOS X PRIME GR Supraは大嶋からステアリングを握りコースインした。大嶋は3回のピットインを行いながらENEOS X PRIME GR Supraのセットアップを進めていき、福住に交代。すぐにロングランのテストを行っていった。
参戦する43台が今シーズン初めて全車走行する初めてのセッションとなったこの公式練習だが、コースアウト等はあったものの赤旗中断なく推移。最後に福住が1分17秒826というタイムを記録し、3番手という位置で終えたが、上位陣は今年も非常に僅差。トップ10が約1秒というタイム差となっていた。
ただ、フィーリングは悪くない。午後の公式予選に向け、チームは好位置獲得へ準備を進めていった。


QUALIFY
公式予選 4月12日(土) 天候:曇り/路面:ドライ
公式練習の後、岡山国際サーキットは雲が増え、気温23度/路面温度31度というコンディションで午後2時から公式予選がスタートした。まずQ1のアタッカーを務めたのは大嶋だ。公式練習の結果からタイヤ選択を悩ませることになったチームだが、まずはタイムが出づらそうだった硬めのタイヤで大嶋がQ1を突破し、タイムが出そうな柔らかめのタイヤで予選上位を目指す作戦を採った。
大嶋は難しいタイヤ選択のなかではあったが、自身が「予想以上に良いタイムが出た」と1分17秒227を記録。3番手でQ2進出を果たしてみせた。ENEOS X PRIME GR Supraのフィーリングは良好で、よりタイムが伸びるQ2に向け、チームはセットアップをアジャスト。福住は柔らかめのタイヤでアタックを展開した。
ここで福住は、柔らかめのタイヤのパフォーマンスを最大限に発揮。1分16秒441と、コースレコードを更新するタイムで見事開幕ポールポジションを決めてみせた。硬めのタイヤでQ2に臨んだチームが苦戦するなど難しい状況のなか、TGR TEAM ENEOS ROOKIEの選択と福住の速さが見事に結果に繋がった。

RACE
決勝レース 4月13日(日) 天候:雨〜曇り/路面:ウエット〜ドライ
ポールポジションという好位置を活かすべく臨んだ4月13日(日)の決勝レース。ただ、前夜から降り続いた雨は午前中も強く、午後1時10分からの決勝も気温13度/路面温度15度、ウエットコンディションのもと、セーフティカー(SC)スタートで始まった。スタートドライバーを務めた福住は、4周の走行の間にタイヤを温め、5周目のリスタートに臨んだ。
ただリスタート直後、GT500クラスで3台が絡む多重クラッシュが発生。レースは一時赤旗中断となる。セーフティカー先導のリスタート後、福住はトップを守ったが、11周目のダブルヘアピンで2番手スタートの#1 GR Supra が福住をオーバーテイク。最初のスタート時も同様だったが、#1 GR Supraはタイヤの温まりが早い様子で、一瞬の隙を突かれることになった。
ただ、首位こそ譲ったものの福住のペースは悪いものではなかった。3番手につけた#100 CIVIC TYPE-R GTにはつけ入る隙をを与えず、2番手を守っていった。
ただ、チームを悩ませたのはコンディション。序盤すぐに雨は上がったが、また降り出したりと安定しない。路面の水量は減ってはいるものの、スリックタイヤを履くまでにはなかなか至らなかった。チームは悩んだ末、レースの3分の2が近づく50周を終え福住を呼び戻し、大嶋に交代した。一方、#1 GR Supra もその翌周にピットイン。アンダーカットを防ぎにきていた。
ただその後、雨も上がりGT300車両でもスリックタイヤを履くチームが増え出した。チームはラップタイムの変化をみながら、68周で大嶋を一度呼び戻し、スリックタイヤへと交換。同じく#1 GR Supraもまたも翌周にピットインしスリックを履くなど、互角の勝負が続けられていった。
同様の作戦であることから、ENEOS X PRIME GR Supraはなかなか首位とのギャップを縮めることはできなかったものの、66周目、アトウッドカーブでストップ車両が発生。この処理のためにフルコースイエロー、そしてセーフティカーが導入された。これで#1 GR Supraとのギャップを縮めることができた。
ただ、2024年王者である#1 GR Supraはリスタート後も大嶋をジワジワと突き放していった。地力の差が2台の間にあり、そのまま大嶋がドライブするENEOS X PRIME GR Supraは、2.859秒差の2位でチェッカーを受けることになった。この岡山では過去に2勝を飾っており、TGR TEAM ENEOS ROOKIEにとっては相性が良いコースではあるが、ふたたび表彰台の頂点を取り戻すことはできなかった。
とはいえ、レース後チームは全力を尽くしきった結果での2位に爽やかな笑顔をみせた。もちろん悔しさはあるが、現在のチームの力の全力を尽くしての結果だ。
2025年シーズンはまだ始まったばかり。TGR TEAM ENEOS ROOKIEは開幕表彰台をしっかりと前向きにとらえ、チームの悲願とするチャンピオンに向けさらに気持ちを新たにした。



大嶋 和也
Kazuya OSHIMA DRIVER
「正直に言ってしまえば2位は悔しいですよ。しかし2025年に向けて新しいメンバーで準備を進めてきて、国内でのテストはほとんど雨や低温でしっかりデータを採ることもできなかった状況で、この位置でレースを戦うことができたのはかなり頑張った方なのではないかと思っています。もちろん悔しいですが、次戦に向けてしっかり改善できそうな感覚もありますし、そこまで落ち込むこともありません。レースペース自体はほんのわずかに足りませんでしたが、チーム全体がノーミスで戦うことができましたからね。今回のレース、それに次戦の舞台である富士スピードウェイに向けてもまだまだ課題が残っているので、方向性を間違えず少しずつ改善していくことができればと思っています」

福住 仁嶺
Nirei FUKUZUMI DRIVER
「今年、大きく体制が変わってから国内では悪天候でなかなか思ったようなテストができなかった状況で開幕戦を迎えました。この週末は公式練習こそコンディションの影響もあって非常に分かりづらいところではありましたが、公式予選ではしっかりとクルマのパフォーマンスを出すことができました。予選に向けて高田エンジニアはじめチームが良いクルマを作ってくれたので、感謝しています。レースはウエットスタートでしたが、すぐに1号車のウォームアップが早そうなのは分かっていました。抜かれてしまいすぐに離されてしまったので、なかなか取り返すチャンスがありませんでした。とはいえ、その後は安定して走ることができましたし、悔しい2位ではありますが納得できる結果だと思います

豊田 大輔
Daisuke TOYODA GENERAL MANAGER
「ひと言で言えば『悔しいが最善は尽くした』ということになりますね。今季新体制になり、速いドライバー、ピット作業、適切な意志決定をやっていこうと取り組みましたが、ドライバーたちが速く走れるクルマを作ることはできたものの、決勝のアベレージペースはほんの少し足りませんでした。タイヤ内圧の設定などもあったかもしれませんね。とはいえ、昨年までのことを考えると、セーフティカーへの対応やタイヤ変更など、意志決定をチームとしてしっかりできたことが良い要素だったと思います。荒れた天候への準備はスムーズにできたのではないでしょうか。次戦はウエイトを積むのでドライバーは弱気ですが(笑)、勝ちにいきたいです。良い戦いを続けていけば、1号車にも追いつけると思います」

武田 敏明
Toshiaki TAKEDA DIRECTOR
「もちろん2位ということで悔しさはあります。今回のレースでは、最大の敵は1号車になるだろうと予想していましたが、やはりそのとおりになりましたね。彼らは百戦錬磨で、手強い相手ですから。結果的には、非常に細かいところの積み重ねで、1号車に対してはほんのわずかに足りないレースになったのかな、と思っています。しかしそんな中で、今シーズンはここまで3回のテストをこなし、かなりメンバーも変わったなかでこの開幕戦ではチームが機能していると感じましたし、みんなが自分たちを信じてレースを戦ってくれたと思います。この荒れた展開のなかでチーム全員がしっかり仕事をこなしてくれたので、次に繋がるレースになりました。チームの地元である第2戦富士でリベンジしたいです」
ROOKIE Racing 2025 SUPER GT PARTNER
