

PRACTICE
公式練習 6月26日(木)〜27日(金) 天候:曇り・晴れ/路面:ドライ
2025年のSUPER GTは、第2戦富士から約2ヶ月弱のインターバルを経て、第3戦を迎えた。舞台となるのは、シリーズにとっては12年ぶりの開催となるマレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットだ。TGR TEAM ENEOS ROOKIEにとっては初めての参加となるコースだが、チームは今季の開催に備え、例年1月に行われているGT500クラスのウインターテストに参加しており、貴重なデータを収集している。
そんな一戦は6月28日(土)が決勝日。シリーズにとってもひさびさの開催ということもあり、6月26日(木)から走行枠が設けられ、午後4時30分から公式練習1回目がスタートした。気温30度を超える暑さのなか、ENEOS X PRIME GR Supraは6月27日(金)に行われる公式予選での好位置獲得を目指し、走行をスタートさせていった。
酷暑のなかENEOS X PRIME GR Supraは22周を走り、まずは1分51秒977というベストタイムを記録するが、結果としては9番手という位置。走行後、大嶋和也は「コンディションが1月のウインターテストの時とはぜんぜん違っていました。タイヤが異なることもありますが、ちょっとクルマもやり直さなければいけないかもしれません」という。ウインターテストで得られたものがすべてではないにしろ、参考になりづらい状況に直面した。
明けて6月27日(金)は、通常の国内戦の土曜と同様、午前に公式練習2回目、午後に公式予選が行われるスケジュール。午前10時30分から行われた公式練習2回目では、セットアップ修正を行いながら1分52秒655というベストタイムで6番手で終えるも、「すごく悪いわけではありませんが、欲しい部分は出せていない」と13周を走った福住仁嶺も、11周を走った大嶋も明るい表情にはなっていなかった。チームは午後の公式予選に向け、調整を続けた。


QUALIFY
公式予選 6月27日(金) 天候:曇り/路面:ドライ
暑さを避けるため、午後4時30分という時刻からスタートした第3戦の公式予選。とはいえ曇り空ながら気温33度/路面温度40度と酷暑が残るなか、ENEOS X PRIME GR Supraは公式予選Q1に臨んだ。このセパンはコース幅が広いものの、そこまでオーバーテイクが容易なわけではない。少しでも前のグリッドにつけるべく、Q1のアタッカーを務めた大嶋はタイヤをウォームアップさせ、4〜5周目にアタックラップを行っていった。
ここで大嶋は1分51秒854というタイムを刻んだものの、翌周のアタックはタイムを伸ばせず、Q2進出にはわずかに届かない12番手で予選を終えることになってしまった。
「過去いちばんくらいテンションが下がってます……」と大嶋は予選後、悔しい表情を浮かべた。
「バランスは改善してきていましたが、アタック2周目の途中からリヤが出始めてしまって。アタック1周目からどんどんタイム表示がプラスになってしまいました」と大嶋。コース長が長いセパンの難しさもあったか。とはいえ、改善方向にあるセットを信じ、翌日の決勝に向け準備を進めた。

RACE
決勝レース 6月28日(土) 天候:曇り/路面:ドライ
公式予選日から多くの現地ファンが訪れていたセパンサーキットは、6月28日(土)も多くのファンで賑わいをみせた。決勝レースに先立ち、大嶋にはROOKIE Racing代表でもある一般社団法人日本自動車会議所の豊田章男会長から、SUPER GT参戦150戦目の記念プレートも贈呈された。
迎えた決勝レースは、前日の公式予選と同じく午後4時30分にスタートを迎えた。ただ、直前のウォームアップでは、ENEOS X PRIME GR Supraに施した決勝用のセットアップがあまり良い感触ではないことが判明。スタート前のグリッドでは酷暑のなかメカニックたちが奮闘し、大がかりなセット修正を行うなど、難しいレースウイークを象徴するかのようなドタバタのなかでスタートを切ることになった。
曇り空ながら気温33度/路面温度42度というコンディションのもと、ENEOS X PRIME GR Supraのスタートドライバーを務めた福住仁嶺は、メカニックたちの頑張りに応えるようにスタート直後のターン2で#1 GR Supraが接触しスピンする混乱をうまく避け、まずはオープニングラップを10番手で終えると、前を行く#3 Z NISMO GT500、#38 GR Supra、#100 CIVIC TYPE-R GTの7番手集団を懸命に追っていった。
ただ、前半スティントで福住が履いていたタイヤは、決してコンディションにマッチしていたものではなく、思うように順位を上げることができずにいた。しかし、後半の大嶋には柔らかめのタイヤを履くことが決まっており、なるべく福住のスティントは長く引っ張りたい。思惑とコンディションのせめぎ合いのなか、福住は28周目まで順位を落とすことなく奮闘するとピットイン。大嶋に交代した。
交代した大嶋は11番手につけ、柔らかめのタイヤを活かしペース良く走行を続けた。ただ前を行く9番手の#64 CIVIC TYPE-R GT、#3 Z NISMO GT500に塞がれなかなか順位を上げられなかった。
しかし福住の頑張りでスティントを引っ張ったおかげで、先にピットインしていたライバルたちはペースが落ちはじめた。大嶋はレース終盤の46周目、ついに#3 Z NISMO GT500をオーバーテイク。ポイント圏内の10番手に浮上した。さらにチェッカー間際の53周目、今度は#64 CIVIC TYPE-R GTをパス。9番手に浮上することに成功した。
大嶋はさらに、GT500クラスで最も早くピットインしていた8番手の#38 GR Supraを追いかけ、ファイナルラップの最終コーナーではついに並びかけた。ただ、最後はわずか0.027秒届かず9位でチェッカーを受けることになった。
とはいえ、苦境のなかなんとか2ポイントをもぎ取ることには成功した。チーム一丸となった頑張りのおかげで、ランキングでは5位をキープし日本に戻ることになった。この2ポイントをシーズンに活かすためには、次戦以降の戦いが重要になる。TGR TEAM ENEOS ROOKIEは暑さのなか迎える中盤戦での好結果を目指していく。



大嶋 和也
Kazuya OSHIMA DRIVER
「今回は持ち込んだタイヤの選択を少し失敗してしまったような感触がありましたが、最終的にみんなでなんとか合わせ込むことができたのではないかと思っています。ただやはり少し悔しさが残りますね。予選でも僕が完璧にまとめることができればQ1を突破できたかもしれなかったですし、決勝も終盤はかなり苦しかったですけど、なんとかオーバーテイクできましたし、ポイント圏内まで追い上げられました。苦しい週末にはなりましたが、その中でみんなの力で頑張ることができたと思っています。次の富士はスプリントになりますが、サクセスウエイトがなくなると聞いています。僕たちにもチャンスが来ますし、ここで落とすと痛手になってしまいますので集中していきたいですね」

福住 仁嶺
Nirei FUKUZUMI DRIVER
「今回もスタートドライバーを担当しましたが、チョイスしたタイヤがうまく路面と合っていなかった印象です。予選も同様だったのですが、ウォームアップがうまくいかず、扱いづらさがありました。なんとかクルマで合わせたかったのですが、問題点は残ったままでした。路面温度も下がった状態でのレースだったので、終盤15周くらいは苦しい展開になりましたね。戦略も難しかったですが、大嶋選手が履いた柔らかめのタイヤに不安もあったので、なるべく前半を引っ張りました。結果論ですが、ピットタイミングももう少し考えられたかもしれません。とはいえ、大嶋選手が順位を上げてくれて少しでもポイントを得られたのは良かったです。次戦、今回の反省を活かしまたチーム一丸で頑張りたいです」

豊田 大輔
Daisuke TOYODA GENERAL MANAGER
「1月のテストの時から非常に感触が良く、そのイメージをもって臨んだレースでしたが、走りはじめから感触が異なっており、なかなか希望が持ちにくい週末になってしまいました。ただそんな中でも、アベレージのペースは良いだろうと思っていたものの、予選では思ったようにいきませんでした。また決勝に向けたセットアップも、ウォームアップで確認したところ良いところにおらず、決勝前にドタバタで変えたりもしました。そんな中でなんとかポイントを持ち帰ろうと頑張りましたが、最低限目標は果たせたものの、ピットインのタイミングなどももう少し工夫ができたと思います。次戦の富士、またさらに続く鈴鹿に活かしたいですし、今回得た2点を最終的に良かったと思えるシーズンにしたいですね」

関谷 利之
Toshiyuki SEKIYA SUBSTITUTE DIRECTOR
「今回、監督代行を務めましたが、自分自身も学びながらのレースになりました。決勝レースまでには自分の責任が果たせるところまでにはいけたと思っています。今週はかなり苦戦していましたが、ドライバーはもちろんエンジニアもメカニックもなんとかしたいと奮闘してくれて、最終的にポイントを獲れたことは大きいと思います。決勝レース前にはグリッドでみんなが暑さのなかセットアップ変更を短時間でやってくれるなど最後まであきらめず戦う雰囲気を出してくれましたし、大嶋選手が最後に2点を持ち帰ってくれました。ドライバー、メカニック、エンジニアと三位一体の強さを感じましたし、感動しました。諦めなければ成せることをみんなが理解してくれたレースだったと思います」
ROOKIE Racing 2025 SUPER GT PARTNER
