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2025 AUTOBACS SUPER GT Round.6 SUGO


PRACTICE
公式練習 9月20日(土) 天候:雨〜曇り/路面:ウエット〜ドライ

第5戦鈴鹿では殊勲の2位表彰台を獲得し、ポイントランキングでも10ポイント差の2位に浮上したTGR TEAM ENEOS ROOKIEの大嶋和也と福住仁嶺。この結果、サクセスウエイトは97kgとなり、50kg以上のウエイト分が燃料流量リストリクターで3段階厳しくなる調整を受けることになった。迎えた9月20日(土)〜21日(日)の第6戦スポーツランドSUGOは、シーズンで最もサクセスウエイトが厳しくなるラウンドで、苦しい戦いも予想されるが、逆転王座のためには1ポイントでも多くのポイントを稼いでおきたいラウンドとなる。
 そんな第6戦の走り出しとなる9月20日(土)午前9時05分からの公式練習だが、朝からスポーツランドSUGOは雨模様。コースインまでに雨は止んだが、気温18度/路面温度21度でコンディションはウエット。ENEOS X PRIME GR Supraは大嶋がステアリングを握り、ウエットタイヤを履きコースインし、3周を走りまずはピットに戻ると福住に交代した。
 福住は赤旗中断をはさみながら走行を続けていくが、雨が止んでいたことから少しずつコース上はドライアップしていく。26周を走り、最後に1分11秒151というベストタイムを記録しピットに戻ると、ふたたび大嶋に交代。GT300クラスの専有走行をはさみ、GT500クラスの専有走行では大嶋は1分11秒437を記録。結果的にENEOS X PRIME GR Supraは11番手で公式練習を終えた。
 大嶋の公式練習のフィードバックはアンダーステア気味。また、福住は初めて体験する3段階の燃料流量リストリクターについて「思っていた以上にキツさを感じましたが、公式練習でウエット、ドライで走った印象としては、ある程度は頑張れている感触があります」と語った。コンディションが難しく、実際の戦力は分からないにしろ、戦えないわけでもなさそうだった。

QUALIFY
公式予選 9月20日(土) 天候:曇り/路面:ドライ
午後2時38分からGT500クラスのQ1が始まった公式予選は、気温20度/路面温度26度というコンディション。事前の天気予報では雨の予想もあったが、幸い雨は降らず、ドライのままQ1が始まった。
 ENEOS X PRIME GR SupraのQ1を担当したのは福住。公式練習後、「なかなかクリアラップもとれなかったですし、どうなるか。Q2に進出できればかなり頑張っている順位だと思います」と語っていたが、4周目にアタック一閃。1分10秒173を記録し、ギリギリの10番手でQ1突破を果たしてみせた。
 続くQ2のアタッカーを務めたのは大嶋。曇り空のまま午後3時16分に始まったQ2で、大嶋は1分10秒398を記録。9番手につけてみせた。
 サクセスウエイトを考えれば好結果とも言える順位だが、「コンディションの変化かバランスが変わってオーバーステアになっていました。少し攻め過ぎてまとまりませんでしたね」と大嶋は振り返った。
 また厄介なのが、ランキングトップの#1 GR Supraが4番手につけていたこと。逆転しなければならない存在が前にいる。チームは決勝での巻き返しを目指した。

RACE
決勝レース 9月21日(日) 天候:曇り〜晴れ/路面:ドライ

 迎えた9月21日(日)の決勝日、やや風が強いものの、朝から爽やかな晴天に恵まれた。午後1時30分からの決勝レースは薄曇りで、気温24度/路面温度32度というコンディションのもと始まった。ENEOS X PRIME GR Supraのスタートドライバーは福住が務めた。
 ただ、決勝の前のウォームアップの時点で、ENEOS X PRIME GR Supraは苦境にあった。タイヤにグレーニング(ささくれ)が発生し、すぐにペースが苦しくなることが分かったからだ。チームはグリッドで急遽対策を行ったが、スタート直後から予想どおり、福住はペースに苦しみ始めた。同じ症状は他車にも現れはじめていたが、サクセスウエイトにともなう燃料流量リストリクターの調整をうけるENEOS X PRIME GR Supra、さらにタイトル争いのライバルである#1 GR Supraや#38 GR Supraもパフォーマンスに大きく苦しみ、福住をもってしてもズルズルとポジションを下げてしまった。11周目には12番手となり、18周目に入ったフルコースイエロー(FCY)の後も懸命にポジションを守る戦いとなっていた。
 チームは29周を終え福住を呼び戻すことになったが、他車も同様にピットイン。ここで、メカニックたちは迅速な作業で交代した大嶋を送り出し、ポジションアップにも貢献してみせた。
 前半スティントではコンディションに対しタイヤが厳しい状況だったが、TGR TEAM ENEOS ROOKIEはこれに対応し前半と異なるタイヤを大嶋に託した。これも功を奏し、大嶋は#1 GR Supraを先行する。
 ただこの後、レースは大荒れとなった。44周目にストップ車両の発生で2回目のFCYが入り、リスタート直後の48周目には、GT300車両のクラッシュに端を発し、GT500クラスの上位を戦っていた#64 CIVIC TYPE-R GTを含めた多重クラッシュが発生。レースは赤旗中断となった。
 アクシデントの処理、ガードレールの補修等も必要になり、中断は1時間強にも及んだが、セーフティカー先導のもと午後4時に再開。午後4時30分までのタイムレースに変更された。
 中断前、大嶋は9番手につけていたが、リスタート後、GT500は大混戦となった。タイトなスポーツランドSUGOで各所でオーバーテイクが展開されるが、そのなかで68周目、#8 CIVIC TYPE-R GTをオーバーテイク。冷静に終盤のレースを戦うと、最後は8位でフィニッシュし、さらに他車のタイム加算にともない、ENEOS X PRIME GR Supraは7位でフィニッシュすることになった。
 大嶋/福住組は貴重な4ポイントを加算し、#1 GR Supraとのポイント差を2点縮め8点差とした。
 シリーズはいよいよ残すところ2戦。シリーズランキング2位で迎えることになる。もちろん目標は最終戦までにさらに点差を縮めることだ。TGR TEAM ENEOS ROOKIEは第7戦オートポリスに向け、全力を尽くしていく。

大嶋 和也
Kazuya OSHIMA DRIVER

「公式予選ではランキング首位の1号車に差をつけられてしまったこともあり、決勝レースでなんとか挽回するべく、セットアップはいろいろと悩みました。土曜の公式練習ではロングランの確認ができていませんでしたし、気温の低さ、新しい路面でタイヤの消耗がかなり厳しく、決勝序盤は難しいレースになりました。前半はフロントタイヤの摩耗が酷く苦戦しましたが、僕のスティントではもうひとつの種類のタイヤで、悪くないバランスで走ることができたと思います。サクセスウエイト、燃料流量リストリクターでGT300の処理など難しいレースでしたが、耐えて良いレースにできたと思っています。まだ首位とのポイント差はありますが、今回の反省を活かしさらに強くなって次戦に臨みたいですね」

福住 仁嶺
Nirei FUKUZUMI DRIVER

「公式予選は頑張ったと思うのですが、1号車の順位を見ると結果的には足りなかったかな、と思っています。悔しい気持ちもありました。レースではスタートを担当しましたが、タイヤの面でも厳しいところも多く、我慢のレースになってしまいました。ただそんな厳しい状況のなかでも後半の大嶋選手のペースも良く結果に繋げられたと思いますし、ピット作業もみんながすごく頑張ってくれました。レース後半は荒れた展開となりましたが、7位と貴重なポイントを獲ることができたので、良いレースができたと思います。次のオートポリスでのレースは昨年はすごく苦しいレースになりましたが、富士からすごく良い流れになっていると思うので、さらにポイント差を縮められるように頑張りたいと思います」

豊田 大輔
Daisuke TOYODA GENERAL MANAGER

「公式練習では天候もあり予選でのコンディションを読み切れず、速いクルマの作り込みに苦戦しましたが、チームが総力を挙げてくれたおかげで9番手につけることができました。ただライバルが上に来たので、厳しいレースを予想していました。決勝では我々が望むコンディションになってくれましたが、序盤はタイヤにグレーニングが出てしまいペースに苦しみました。しかし福住選手が苦しいなかでもチーム全体で盛りたて、粘りの走りをしてもらい、後半大嶋選手のスティントでは1号車をオーバーテイクしてくれました。ピットでも日ごろの練習の成果を発揮できました。7位という結果は今後効いてくると思いますし、チームが目指す戦い方ができてきたと思っています。チームのみんな、ありがとう!」

武田 敏明
Toshiaki TAKEDA DIRECTOR

「サクセスウエイトが厳しい状況で、Q1を突破できるとは思っていませんでしたが、1号車に及ばなかったのは悔しいものの突破することができ、改めてGR Supraのポテンシャルの高さを感じました。決勝ではいろいろな不安要素もあるなか、スタートの福住選手は厳しい戦いを強いられてしまいました。順位こそ落としましたが、粘りをみせてくれたことで結果に繋がったと思います。大嶋選手に交代してからも、冷静にまわりの状況を見て走ってくれましたし、できる限りのことをやってくれました。さすがベテランだと思いましたね。鈴鹿に続き力強いレースができたと思います。次のオートポリスがチャンピオン争いに残るための明暗を分けると思うので、引き続き強いレースをしていきたいです」