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2025 AUTOBACS SUPER GT Round.8

PRACTICE 公式練習
11月1日(土) 天候:曇り/路面:ウエット〜ドライ

泣いても笑っても今シーズン最終戦。2025年のSUPER GTは、いよいよ第8戦を迎えた。舞台は栃木県のモビリティリゾートもてぎだ。TGR TEAM ENEOS ROOKIEの大嶋和也/福住仁嶺のコンビは第7戦終了時までに54.5ポイントを重ね、逆転チャンピオンを狙う位置につけ最終戦に臨むことになった。タイトル争いの重圧、そして2連覇中の強力なライバルである#1 GR Supraに打ち勝つというミッションに向け、チームは念入りな準備を整えもてぎに乗り込んだ。
 迎えた走行初日となった11月1日(土)は曇り空。前日午後から降った雨が残り、コースはわずかに濡れている状況。気温17度/路面温度21度というコンディションで午前9時10分から公式練習が始まった。このもてぎは追い抜きが難しく、予選に向けても決勝に向けても重要な走行だ。
 ENEOS X PRIME GR Supraは、まずは大嶋からステアリングを握りコースイン。二度のピットインを行いながら、ロングランもトライ。6周目に1分37秒620を記録し21周を走ると、福住に交代した。
 公式練習の途中には晴れ間も見え、完全にコンディションはドライに転じていたが、フルコースイエロー訓練、GT300クラスの専有走行等も挟みながら、福住は14周を周回。GT500クラスの専有走行の終わりには、午後の公式予選に向けたアタックシミュレーションも行った。
 ここで福住は1分37秒007というベストタイムを記録。これがGT500クラスの最速となり、ENEOS X PRIME GR Supraはトップで公式練習を終えた。ただ、GT500クラスは14台が1秒差以内と超僅差だ。
「ひとつポジションが違うだけで決勝はまったく違ってくると思います。ただ調子は良さそうなので、そこを継続できるかはドライバー次第だと思っています」と福住はトップタイムにも慎重な表情をみせた。

QUALIFY 公式予選
11月1日(土) 天候:晴れ/路面:ドライ

 迎えた午後2時からの公式予選は、気温22度/路面温度24度という晴天のもとスタートした。GT300クラスのQ1に続いて行われたGT500クラスのQ1に臨んだのは大嶋だ。まずはQ2へ進出し、福住のアタックでのポールポジション獲得を狙った。
 午前の公式練習で得られたENEOS X PRIME GR Supraの好感触を活かすべく、大嶋はタイヤをウォームアップさせていくが、位置取りが重要な予選で、大嶋は「前がいつアタックするか分からなかったので」とウォームアップ中に前の#12 Z NISMO GT500をかわそうとしたが、タイヤが温まりきっておらず、ヘアピンでスピン。クラッシュはなかったが、アタックのタイミングがずれてしまった。4周目に行いたかったアタックを早めに行わざるを得ず、タイヤのピークをうまくアタック周に持ってくることができなかった。結果は1分36秒707というタイムで13番手。あと0.053秒で10番手で、Q2進出が果たせていただけに悔しさも募る。
「ストレスが溜まる予選になってしまいました」と大嶋はため息をついた。
とはいえ、まだ予選。TGR TEAM ENEOS ROOKIEは決勝での逆襲を目指した。

RACE 決勝レース
11月2日(日) 天候:曇り/路面:ドライ
 
 悔しい結果となった予選から一夜明けた11月2日(日)、午後1時からいよいよ決勝レースの火ぶたが切って落とされた。気温20度/路面温度22度というコンディションで、薄曇りのなかENEOS X PRIME GR Supraは福住のドライブで13番手からスタートを切った。
 この決勝では、ランキング首位で2番手からスタートした#1 GR Supra、ポールポジションからスタートした#38 GR Supraといったタイトル争いのライバル勢の動向はあるにしろ、とにかく前に出なければタイトルへの道は開けない。福住には「1台でも多く抜いてくる」というミッションが課せられており、期待どおり1周目に1台、2周目に1台と続々と順位を上げてくる。7周目、12周目とさらにオーバーテイクを決めた福住は8番手に浮上した。
 ただ、乱気流の中でのバトルの影響でタイヤは少しずつ摩耗し、さらにこの時季に多いピックアップが福住を悩ませる。これ以上のポジションアップは難しくなりはじめ、福住はレース中盤以降に備え燃費走行に切り替え、22周を終えてピットインを行った。ただ早めのピットインはアンダーカットに繋げられるが、ライバルたちも同様の作戦を採っており、大きなジャンプアップはならず。交代した大嶋は9番手につけた。
 大嶋は後半の追い上げを目指し、福住とは異なるタイヤを履いていたが、同じタイヤで猛追をみせた#39 GR Supraに対しENEOS X PRIME GR Supraは思うようにペースを上げることができなかった。
 そんな大嶋の前方には、フラットスポットを作りペースが上げられない#38 GR Supraを先頭とした集団ができあがっていた。#38 GR Supraをかわし集団を抜ければ6番手に上がることができるが、レース1周目かのようなバトルが集団のなかで繰り広げられていく。毎周のように順位が変わり、44周目に大嶋は一気に3台をかわす巧さもみせたが、特に集団の中で激しく競っていた#17 CIVIC TYPE-R GTとは51周目の90度コーナーで軽く接触してしまう。さらに55周目には3コーナーで#16 CIVIC TYPE-R GTと接触。フロントを破損してしまった。ひとつでも順位を上げ、チャンピオンをたぐり寄せたい──。大嶋の気迫が表れたドッグファイトは、見る者を熱くさせるものだった。
 ただ、最後はフロントの破損もあり、フロントをロックさせポジションダウン。さらに接触により40秒加算のペナルティを受け、ENEOS X PRIME GR Supraは14位でレースを終えた。チャンピオンという目標に向け、もがき続けた最終戦は悔しい結果となってしまった。
 タイトルを目指し、そして勝利を目指し戦ってきた2025年のSUPER GTはこれで幕を閉じた。TGR TEAM ENEOS ROOKIEが欲した最大のターゲットには届かなかったが、さらなる強さと経験は得た。2026年のSUPER GT開幕までは長いようで短い。T
GR TEAM ENEOS ROOKIEはふたたび王座を目指すべく、雌伏のときを迎える。

大嶋 和也
Kazuya OSHIMA DRIVER

「後方からのスタートを強いられてしまったので、あとは追い上げるしかないというレースになりました。かなりプッシュはしていきましたが、うまくいけば上位に進出できそうだったものの、レース中盤ピックアップに悩んだタイミングで#38 GR Supraのペースに引っかかってしまい、バトルにかなり手こずってしまいました。みんなヒートアップしていましたし、その中でちょっと無理して当たってしまい、クルマが壊れてからはかなりしんどくなってしまいました。リスクを負ってでも攻めるレースではあったものの、もう少しうまく戦いたかったです。今週末、クルマのフィーリングは良かったのにそれを引き出せませんでした。流れも悪かったし、自分自身もちょっと悔いが残るレースになってしまいました」

福住 仁嶺
Nirei FUKUZUMI DRIVER

「13番手からスタートを担当することになりましたが、タイヤのウォームアップが厳しいかとも思いましたが、しっかりと温まりました。悪くないスタートができて、着実に順位を上げることができたのですが、途中からダーティエアの中でフロントタイヤが摩耗し、そこからピックアップによるグリップ低下がありました。そこからはなかなかペースを上げることができませんでしたね。ペースがあるときでもGT300を使って抜く必要があったのですが、なかなか良いタイミングもなく、我慢の展開となりました。大嶋選手に代わってからも厳しいレースになってはしまいましたが、良い順位でスタートできれば速さはあると分かりましたし、ポジティブな面はありました。来年以降に繋げていきたいと思います」

豊田 大輔
Daisuke TOYODA GENERAL MANAGER

「公式予選では思ったようなポジションにつけられず、結果的にリスクを負った戦い方をせざるを得ませんでした。仮に良い位置でスタートできていたら結果は違っていたかもしれないので、来季に向けてどんな戦い方をすれば良いかの学びを蓄積できたレースだったと思います。今回はうまくいきませんでしたが、ただでは転ばないということですね。決勝では福住選手の速さにかけ、後半の大嶋選手は違うタイヤで臨み抜き抜かれつのレースになりましたが、ひさびさの大嶋選手の闘志あふれる走りは自分も良い驚きでした。結果的に接触で勝負権はなくなりましたが、来季体制がどうなるかは分からないにしろ、大嶋選手の闘争心は、来季良い戦いができるのではないかということを感じさせてくれました」

武田 敏明
Toshiaki TAKEDA DIRECTOR

「前戦の結果ポイント差を縮められましたし、チャンピオンの可能性がある中で、自分たちのレースをやっていけば必ずチャンスはあるだろうと乗り込みました。公式練習も手ごたえはありましたが、予選でQ2に進出できず、タイトル獲得に向けて厳しい流れになってしまいました。しかしチーム全員が可能性がある限り自分たちで流れを取り戻そうと決勝に臨みました。序盤、福住選手が抜いてくれるなどパフォーマンスはありましたが、なかなかこのコースは抜けません。後半の大嶋選手も力強い走りをみせてくれましたが、アクシデントもあったりと悔しい結果になりました。いろいろ反省点はありますが、今シーズン全体を含めて細かいところを改善して来季に向けて取り組んでいきたいと思っています」