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2024 AUTOBACS SUPER GT Round.3 SUZUKA GT 3Hour Race

6月1日(土) 天候:晴れ 路面:ドライ

 第1戦岡山ではスタート直後の接触に見舞われ、第2戦富士では追い上げたものの8位と、ここまでわずか3ポイント獲得と苦しい序盤戦となっていたTGR TEAM ENEOS ROOKIE。もう取りこぼしは許されない。迎えた第3戦の舞台は、世界屈指のドライバーズコースである鈴鹿サーキットだ。
 この鈴鹿では今季SUPER GTが開催されるのは初めてだが、シーズン開幕前にはメーカーテストの舞台にもなっており、そこでENEOS X PRIME GR Supraは福住仁嶺のドライブで最速タイムもマークしていた。チームは好結果を目指し、6月1日(土)の公式練習に臨んだ。
 前日は小雨も舞っていた鈴鹿サーキットだが、予選日の鈴鹿は晴天に恵まれ、気温も上昇。気温25度/路面温度34度というコンディションのもと午前9時45分から公式練習がスタートした。ENEOS X PRIME GR Supraは福住からステアリングを握りコースイン。今回は開幕2戦とは異なり、大嶋和也が予選Q1を、福住仁嶺がQ2を担当する予定だったことから、公式練習の担当も逆になっていたのだ。福住は5周目に早くも1分46秒468というベストタイムを記録し、二度のピットを経て14周を走ると、大嶋に交代した。
「気温もコンディションも3月とはまったく違うので、それを見越してクルマを持ち込みました。ドライビングで難しいところはありましたが、大きな問題ではありませんでした」と福住は好感触を語った。
 交代した大嶋は、途中二度のピットインを行いながら、16周をラップ。走行最終周には1分47秒068というタイムを記録し、順調に走行を終えることになった。今回は福住にターゲットを合わせたセットアップを行っていたが、大嶋も感触は良好。その後のフルコースイエローの訓練、サーキットサファリの時間も十分に使いながら、ENEOS X PRIME GR Supraは午後の公式予選に向けて着実な手ごたえを得て公式練習を締めくくることになった。

6月1日(土) 天候:晴れ 路面:ドライ

 この日の鈴鹿は晴天が続き、午後の公式予選は気温26度/路面温度45度というコンディションで迎えた。Q1のアタッカーを務めた大嶋は、4周目にアタックを展開。1分46秒387にタイムを伸ばし、まずは9番手につけた。
「グリップもバランスも悪くなかったですが、タイヤのウォームアップが悪く、1コーナーから若干リズムが崩れてしまいました。ちょっと悔しい予選でしたね」と大嶋は語ったが、今季はQ2との合算タイムでグリッドが決まる。大嶋の悔しさを、Q2の福住がしっかりとフォローしてくれた。
 GT300のQ2をはさみ行われたGT500のQ2で、福住は素晴らしいアタックをみせると、1分45秒836までタイムを伸ばし、Q2トップに。合算では3分32秒223で3番手につけることになった。
「クルマの好みを僕よりに合わせてもらいましたし、コンディションとしても難しいところはあったのですが、しっかりとタイヤのピークを出せました。路面温度が下がったことで僕たちには良い方向にいきました」と福住。
 ENEOS X PRIME GR Supraは優勝を射程圏内に収めるグリッドを得て、予選日を終えた。

決勝レース
6月2日(日) 天候:曇り 路面:ドライ

 2万5,000人のファンが詰めかけた6月2日(日)の決勝日。事前の天気予報では雨の予想もあり、決勝直前のウォームアップ開始時には実際に雨も舞ったが、スターティンググリッドでは晴れ間も差し急速に路面コンディションは回復。午後1時38分、気温24度/路面温度31度という状況で決勝の火ぶたが切って落とされた。ENEOS X PRIME GR Supraのスタートを務めた福住は、序盤から2番手の#16 CIVIC TYPE-R GTとバトルを展開。5周目にこれをかわした。
 序盤こそ雨がパラつき、各車ともタイヤ選択に悩むことになったが、すぐに雨は止みドライとなっていく。福住はハイペースで首位の#37 GR Supraを追いプレッシャーをかけると、32周を終えピットイン。大嶋に交代した。ピットクルーも迅速な作業でENEOS X PRIME GR Supraを送り出していく。
 2周後にピットに向かった#37 GR Supraに逆転することは叶わなかった大嶋だったが、中盤#37 GR Supraに対して絶えずプレッシャーをかけていく。途中、大嶋の後方で起きたGT500同士の接触やGT300車両の接触などでフルコースイエローが導入され、#37 GR Supraと競っていた大嶋はあわや抜いてしまいそうになったシーンもあったが、冷静にポジションを戻し事無きを得た。
 そんなジリジリとした展開の中、先に動いたのは#37 GR Supra。60周を終えピットに向かう。ここで大嶋は猛プッシュをみせオーバーカットと呼ばれる作戦を採り、2周後にピットへ。再度福住に交代し、猛然とピットアウトしていった。
 ただこの瞬間、7番手の#100 CIVIC TYPE-R GTがピットインしファーストレーンを走っており、福住とあわや接触しかけてしまう。作戦のおかげでENEOS X PRIME GR Supraはトップに立ったが、67周目、このピットアウト時の行為に対しアンセーフリリースであるとして、ドライブスルーペナルティが課された。これで苦労して勝ち取ったトップから、4番手まで落ちてしまう。
 ただ諦めない福住は、72周目、78周目にオーバーテイクをみせ2番手まで順位を戻してみせる。この日、ENEOS X PRIME GR Supraがコース上で最速だったのは明らかだった。
 しかしトップの#37 GR Supraには届かなかった。結果は2位。表彰台に立った大嶋と福住は、涙をこらえながらも笑顔を浮かべたが、チームの長い歴史でも最も悔しい2位となってしまった。ピットアウトを指示したクルーも、涙ながらに福住に詫びた。
 勝ちたかった一戦での致命的なミス。レース後、豊田大輔GMは「悔しいなかでも、3つの良いところがあった。圧倒的な速さ、我々のクリーンな戦いができたこと、ペナルティの後も、トップに戻る強い気持ちをみせたこと。これは誇って良いところだと思います」とチームを元気づけた。
 ミスはミスとしてしっかり反省し、その上で今回みせた良いところを伸ばし、もう一度優勝に向けてチャレンジしていこう。レースでの悔しさは、レースでしか晴らせない。TGR TEAM ENEOS ROOKIEはさらに強くなって、チームの地元での次戦富士でふたたび勝利に向け挑んでいく。

DRIVER  大嶋 和也 Kazuya OSHIMA
本当に悔しかったです。今週はクルマもタイヤも、戦略もすごく良かったです。実際にトップに立つことができて、僕も良い走りができたと思っていますし、仁嶺も最高の走りをみせてくれました。ペナルティだけが本当にもったいなかったです。でも仕方ない。僕も第1戦、第2戦とミスがあったので、誰かを責める気はありません。それにしてもやはり今回はもったいなかったですね。とはいえ第2戦まで良くないシーズンを送ってきたなかで、速さを示すことができた。それに悔しいとはいえ2位は2位ですからね。これでシーズンの流れを少しでも変えることができたのではと思っています。まだサクセスウエイトも重くないですし、良いクルマを作れば次戦も優勝争いできると思います。とにかくまずノーミスで、全員が笑ってレースを終えることですね。

DRIVER  福住 仁嶺 Nirei FUKUZUMI
序盤、苦戦していた16号車を抜けたことで流れを呼ぶことができたと思います。37号車を抜くほどではなかったのですが、長いレースでクリーンに戦い、大嶋選手が素晴らしい走りで相手にプレッシャーをかけてくれました。これでトップに立つチャンスを得ることができたのですが……。映像を見返しましたが、ドライブスルーは痛いな……という気持ちは正直あります。僕もできることがあったと思うので申し訳なさもありますし、チームも責任を感じてくれているのですが、こういうミス含めチーム全員の今の実力だと思っています。その後2位に戻ることができたのは良かったですし、良いクルマを作ってくれたTGRの皆さん、阿部和也エンジニア、チームの皆さんに感謝したいです。こういうレースを続ければ、またチャンスは来ると思っています。

DIRECTOR 高木 虎之介 Toranosuke TAKAGI
悔しいです。ピットアウトのシーンですが、もっとちゃんと言うべきでしたね……。100号車がピットレーンで近づいているのは分かっていましたが、ギリギリで言えなかったんです。いろいろなミスはあると思いますが、ああいった重要な場面でのミスになってしまったので、本当に申し訳なかったと思っています。チームの責任ですね。今回はサクセスウエイトの面でも優勝するチャンスがあったので、絶対に優勝を勝ち取らなければいけないレースでした。仕方ないでは済まされないところもあると思います。優勝と2位では大違いですからね。ドライバーのふたりには本当に迷惑をかけてしまいました。スピードがあることは証明することができたと思うので、次の富士こそ絶対に優勝しなければと思っています。