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2024 AUTOBACS SUPER GT Round.5

公式練習
12月7日(土) 天候:晴れ 路面:ドライ

 桜咲く4月に開幕した2024年のSUPER GTは、長いシーズンを戦いいよいよ今季最終戦を迎えた。例年、最終戦の舞台はモビリティリゾートもてぎだが、今季は台風10号の影響で8月31日〜9月1日に予定されていた第5戦鈴鹿が延期されており、シーズンのフィナーレを飾る一戦となった。これまでSUPER GTが12月に開催されたこともなく、鈴鹿での最終戦開催も2005年以来。各陣営ともデータがない中での最終戦となった。
 TGR TEAM ENEOS ROOKIEは、すでにチャンピオンの権利は失ってしまっていたが、それでもこのメンバーで戦う今季のラストレース。一年を良い形で終え2025年の捲土重来に繋げるためにも、今季まだ成し得ていない優勝、そして何度もチームを苦しめたペナルティがない週末を目指した。
 そんな最終戦のレースウイークは、12月8日(土)に冬晴れのもと開幕した。朝晩は冬の冷え込みが感じられるものの、迎えた午前9時20分からの公式練習は、気温11度/路面温度12度というコンディションのもとで始まった。
 ENEOS X PRIME GR Supraは福住仁嶺がステアリングを握りコースイン。各車のタイヤのウォームアップのペースがまちまちで、トラフィックが激しいセッションとなったが、そんななかクルマのフィーリングを確認。福住の感触は良好で、11周を走り大嶋にステアリングを託した。
 大嶋はその後、二度の赤旗中断を挟みながら周回を重ねていくが、福住同様感触は良い。
「持ち込みからフィーリングは良かったですし、選んだ柔らかめのタイヤもしっかり機能していました」と笑顔をみせた。
 大嶋はセッションの最後にアタックシミュレーションを行い、1分44秒575というベストタイムを記録。7番手で公式練習を終えたが、順位以上にENEOS X PRIME GR Supraのフィーリングは良好で、午後の公式予選での好位置獲得に向けて、チームは大いに期待を高めた。

公式予選
12月7日(土) 天候:晴れ 路面:ドライ

 今回の第5戦は12月の開催で日没が早いこともあり、いつもより早めとなる午後1時50分に公式予選がスタートした。GT500クラスのQ1で、まずアタッカーを務めたのは大嶋だ。
「予想よりも路面温度が上がっていたので、少し硬めのタイヤの方がタイムは出たかもしれない」と大嶋は、1分44秒221というタイムを記録。まずは6番手につけた。
 GT300クラスのQ1をはさみ迎えたQ2のアタッカーを務めたのは福住だ。コースイン後、しっかりとウォームアップを行い、いざアタックに向かおうかとしていた福住だったが、ここで思わぬアクシデントが起きた。アタックを行っていた#12 Z NISMO GT500が急速に福住の背後に迫り、福住が意図せず道を塞ぐかたちに。相手がスピンしてしまったのだ。
 これを見ていた福住は、動揺を抱えながらアタックすることになるが、1分43秒143までタイムアップ。Q2のトップタイム、コースレコードを更新し、合算で3番手につけた。
 ただ予選後、福住には5グリッド降格のペナルティが課されてしまった。またも受けたペナルティ。福住にとってはレコード更新の喜びよりも、悔しさが募る予選となってしまった。

決勝レース
12月8日(日) 天候:晴れ 路面:ドライ

 悔しいペナルティを受けた公式予選から一夜明けた12月8日(日)、いよいよ今シーズンのラストレースとなる決勝レースが午後0時50分に始まった。雲が多く、気温13度/路面温度19度という冷え込みのなか迎えたスタートで、ENEOS X PRIME GR Supraのステアリングを握ったのは、前日の悔しさを晴らしたい福住だ。
 スタート直後、福住はそんな思いをぶつけるかのように、降格グリッドの8番手から一気に2台をパス。さらに2周目には#19 GR Supraをかわし5番手に浮上してみせた。ただ、スタート直後こそ機能していたタイヤが少しずつ苦しくなり、福住は9周目には#3 Z NISMO GT500に、14周目には#23 Z NISMO GT500にオーバーテイクを許し7番手に後退するなど、スティント中盤以降は厳しい戦いを強いられてしまった。
 SUPER GTでは、予選で使用したタイヤが決勝レースのスタートタイヤとなるが、Q1かQ2のどちらのタイヤになるかは抽選となる。福住が履いていたのはQ2のタイヤだったが、これがスタート直後こそ好調だったものの、スティント中盤では厳しくなってしまっていたのだ。
 そんな福住の戦いを見ながら、チームは18周でENEOS X PRIME GR Supraをピットに戻した。レース後半を担当する大嶋には、福住が履いていたものとは違うタイヤを選択。チームはしっかりとピット作業を決め、大嶋を送り出した。
 大嶋がコースに戻ってみると、順位は8番手。先にピットストップを行ったり、ウォームアップが良いライバルがおり、わずかに先行されひとつポジションを落とすことになったが、大嶋はしっかりとタイヤを温めると、レース終盤に向けて追撃を開始していった。後半に向けてチームがチョイスしたタイヤはコンディションに合っており、ENEOS X PRIME GR Supraは好ペースで戦うことができた。
 大嶋は32周目、#23 Z NISMO GT500をオーバーテイクしてみせると7番手に浮上。さらにレース終盤に向け、途中スピンを喫しポジションを落としていた#3 Z NISMO GT500を追いつめていく。
 46周目、大嶋は#3 Z NISMO GT500をオーバーテイクし、6位に浮上。前を行く#16 CIVIC TYPE-R GTを追っていったが、今回は短い300kmレース。51周のチェッカーを迎えることになった。
 ENEOS X PRIME GR Supraの最終戦の順位は6位。8戦中6戦でポイントを獲得したものの、シリーズランキングは11位という結果となった。
 レースに“タラレバ”は禁物ではあるが、今シーズンのENEOS X PRIME GR Supraはトラブルやアクシデント、ペナルティなど“何かある”レースが毎戦のように続いてしまった。それによる取りこぼしがランキング11位という結果となった。この最終戦も、予選でのペナルティが順位に影響してしまったことは否めない。
 速さはある。しかし何かがあったときにそれを補うだけの強さが足りなかったのがTGR TEAM ENEOS ROOKIEの2024年だった。
 2025年、チームはさらなる強さを取り戻し今季獲れなかった優勝、そしてチャンピオンを目指していく。

DRIVER  大嶋 和也 Kazuya OSHIMA
今回は持ち込みから悪いフィーリングではなく、ポテンシャルがあったと思います。予選もタイム出ていましたからね。もう少し前の位置からスタートできれば展開も違ったかもしれませんし、スタートで履いていたタイヤが予選で抽選されたタイヤと逆であれば、もっと良いレースにできていたとも思います。ただ、今シーズンのチームの力で最大の力を発揮することができたレースウイークになったのではないでしょうか。僕の後半スティントでは、一時はコンディションにタイヤが合っていたライバルが前に出てしまいましたが、レース終盤については良いペースで走ることができましたし、追い上げができました。決勝レースはみんなが良い仕事をすることができたので、前向きにシーズンオフを迎えられる最終戦になったと思っています。

DRIVER  福住 仁嶺 Nirei FUKUZUMI
このレースでは前半スティントを担当しましたが、僕が履いたタイヤはまわりで誰も使っていないタイヤで、すぐに順位を上げることこそできたものの、その後はペースが苦しくなってしまって、うしろを抑えるばかりのレースになってしまったと思います。ただ、レースは何が起きるか分かりませんし、大きなリスクをとらないようにしながら走っていました。後半は大嶋選手が違う種類のタイヤで非常に良いペースで走ってくれましたし、内容としては今シーズンの中でもいちばん良いものにできたと思っています。公式予選では僕のミスがありましたが、みんながしっかりとやり切った最終戦にできたのではないかと思います。こういう戦い方をしていけばどんどんチームも変わっていくと思いますので、また来年頑張りたいと思っています。

DIRECTOR 高木 虎之介 Toranosuke TAKAGI
レース序盤は福住選手がポジションを上げてくれることは予想どおりでしたが、その後福住選手のスティントではいまひとつペースが伸びなかったので、気温と路面に対してタイヤが合っていないのではないかとジャッジし、レース後半の大嶋選手には違うタイヤで走ってもらいました。それがうまくいき、大嶋選手にとっても今シーズンいちばんの走りをしてもらえたのではないかと思っています。この最終戦は全車サクセスウエイトがない状況での戦いなので、上位争いは厳しい戦いでしたが、そんな中でも6位をもぎ取ることができました。公式予選では残念ながらペナルティをとられてしまいましたが、速さをみせることができましたし、今週は来季に繋がるようなレースができたと思っています。