公式練習
11月2日(土) 天候:雨 路面:ウエット
2024年のSUPER GTも残すところ2戦。今季はアクシデントやたび重なるペナルティで大量ポイント獲得のチャンスを失ってきたTGR TEAM ENEOS ROOKIEには、いよいよ後がなくなってきた。目標とするチャンピオンのためには、もう1ポイントも落とすわけにはいかない。
チームは強い決意をもって、第7戦オートポリスから2週間のインターバルで第8戦を迎えた。舞台は栃木県のモビリティリゾートもてぎ。例年最終戦として開催され、大嶋和也にとっても、福住仁嶺にとっても多くの思い出があるコースだ。
ただ今シーズンは、第5戦鈴鹿が台風の影響で延期されたことから、最終戦ではない。いつもと少し雰囲気が異なるもてぎで、チームは11月2日(土)の公式練習に向け準備を進めた。
ただ、明けた予選日のもてぎは朝から雨模様となってしまった。第6戦SUGO、第7戦オートポリスとも予選日は荒天で、どちらも公式予選が行われなかった。二度あることは三度……という言葉もあるが、チームは午後2時から予定された公式予選が雨で行われないケースも含め、あらゆる可能性を視野に入れつつ、午前9時から行われた公式練習に臨んだ。
早朝こそ雨は小降りだったものの、コースオープン直前から雨脚が強くなり、路面はヘビーウエット。そんななかENEOS X PRIME GR Supraは福住がステアリングを握りコースインするも、開始直後からストップ車両が続出。たび重なる赤旗中断で思うようにラップを重ねることができなかった。
5周目、福住は1分53秒496というベストタイムを記録すると、直後に出た赤旗のタイミングで大嶋に交代する。ただその後も時折雨脚が強くなり、大嶋も4周するのがやっと。終盤のGT500専有走行、さらにその後予定されていたフルコースイエロー訓練の時間も雨量増加のためキャンセルとなり、ライバルも同様ではあったが、ENEOS X PRIME GR Supraはなかなか走行を重ねられないまま、9番手で公式練習を終えることになった。
公式予選
11月2日(土) 天候:雨 路面:ウエット
公式練習の後、もてぎは一時雨が小康状態となったが、午後2時から予定されていた公式予選を前に、ふたたび雨が強くなってしまっていた。
ただ、今回はGT300クラスのQ1で赤旗があったことから当初予定より大きく遅れたものの、今回はここ2戦と異なり予選は実施。午後2時53分からGT500クラスのQ1が始まった。
アタッカーを務めた福住は「暗く、前も見えづらかったですし、雨量も分かりづらくすごく難しい予選でした」という状況だったが、さすがのスピードをみせ、1分49秒590というタイムで2番手につけてみせた。
GT300クラスのQ2をはさむ間に刻一刻と雨量が変化する難しい状況だったが、午後3時49分からスタートしたQ2を担当したのは大嶋。今回TGR勢はピット位置が最終コーナー寄りで位置取りが難しく、チェッカー周に集中してアタックを展開したが、そのタイミングで大嶋の目前にアタックを終えた車両が出現。1秒近いタイムロスを喫し、1分50秒050に留まってしまった。
やや悔しい状況にはなったが、それでも合算タイムでは5番手に。ENEOS X PRIME GR Supraは上位から決勝を戦うことになった。
決勝レース
11月3日(日) 天候:晴れ 路面:ドライ
荒天となった11月2日(土)の予選日から一夜明け、迎えた11月3日(日)の決勝日は、朝から快晴に恵まれた。コンディションはドライに転じ、朝から3万人のファンがスタンドを埋めるなか、気温21度/路面温度29度というコンディションのもと、午後1時からの決勝レースを迎えた。
ENEOS X PRIME GR Supraのスタートドライバーを務めたのは大嶋。1周目、タイヤの温まりに苦しむ間に5番手から8番手までポジションを落としてしまったものの、フィーリングは悪くない。6周目、9周目にGT300車両のストップでフルコースイエローが導入されたが、その2回のフルコースイエローの間に#16 CIVIC TYPE R-GTをパス。さらに#37 GR Supraがエンジンまわりのトラブルでピットインしたことから、ENEOS X PRIME GR Supraは6番手にポジションを戻した。
21周目にはGT500クラスの上位陣のなかでもルーティンのピットインを行う車両が出はじめ、TGR TEAM ENEOS ROOKIEも作業を準備。22周で大嶋をピットに戻した。チームはいつもどおりの迅速な作業を行い、福住に交代し送り出すも、同時にピットインしていた#100 CIVIC TYPE R-GTに先行を許してしまった。
福住は7番手でレース後半戦を戦っていくことになったが、前に入った#100 CIVIC TYPE-R GTのペースが上がらない。福住は何度もオーバーテイクをしかけていくが、一気に追い抜くことができるほどのペースの差はなく、ジリジリとした展開が続いていった。さらに、なかなか前を抜けない間に福住の背後には#12 Z NISMO GT500、#3 Z NISMO GT500などが追いついてきてしまう。
福住は#100 CIVIC TYPE-R GTを先頭とした7台の集団のなかでバトルを強いられ、思うようにペースを上げられないまま中盤戦を戦うことになってしまった。
福住は44周目、GT300車両のコースアウトによりフルコースイエローが出る直前に#100 CIVIC TYPE-R GTをオーバーテイク。ついに6番手に浮上して集団を抜け出した。
先行したENEOS X PRIME GR Supraのペースは良く、5番手を走る#39 GR Supraを追っていったが、53周目にまさかの事態が。突如としてENEOS X PRIME GR Supraはパワーを失ってしまい、力なくスローダウンしてしまったのだ。
なんとかピットに戻り、トラブルを特定した後、ふたたび福住はチェックのためにコースインしたが、1周だけを走りふたたびピットへ。ENEOS X PRIME GR Supraは53周でレースを終えることになってしまった。
この結果で、TGR TEAM ENEOS ROOKIEはノーポイントで第8戦を終えることになった。そして自動的に、2024年のタイトル争いの権利も最終戦鈴鹿を前に消滅した。
今回ENEOS X PRIME GR Supraを襲ったトラブルは、他のGR Supraにも発生していたエンジンまわりが原因で、トラブルの特定は急務となった。
今シーズンのチャンピオンの可能性はなくなったが、まだ最終戦が残っている。TGR TEAM ENEOS ROOKIEは、まだ今季成し得ていない優勝を遂げるべく鈴鹿へ準備を進める。
DRIVER 大嶋 和也 Kazuya OSHIMA
レースでは序盤、思ったよりもフロントタイヤのウォームアップが悪くポジションを落としてしまいましたが、グリップが戻ってからは良いペースで走ることができました。ストレートスピードが苦しかったのと、少しアンダーステアがあったので抜いていけるほどではありませんでしたが、単独では速いだろうと思っていました。ただ、福住選手に交代してからはライバルに行く手を阻まれてしまって。抜いた後はペースも速かったので、そこから挽回することはできたと思っています。最終的にトラブルでレースを終えてしまい残念な気持ちです。原因は特定できたのでその点は良かったですが、今シーズンは本当にうまくいかないです。最終戦の鈴鹿くらいは気持ち良くレースを戦いたいと思っています。
DRIVER 福住 仁嶺 Nirei FUKUZUMI
レースの後半スティントを担当しましたが、ピットから出たところで100号車に先行されてしまったのが痛かったです。ライバルは低速からストレートスピードが速かったので、うまくブロックされてしまいました。そんななか、GT300との絡みで前に出ることができ、そこからのペースも良かったのですが、結果的にトラブルが出てしまいました。今回GR Supra勢にトラブルが目立ってしまったので、原因をしっかり特定して最終戦の鈴鹿までに対策したいと思っています。今回のレースの結果で、僕たちにはチャンピオンの権利がなくなってしまいましたが、最終戦では何も考えず、自分たちが出せるパフォーマンスを出し切りたいですね。今年は第2戦しか普通のレースができていないので、まずはトラブルをなくし、気持ち良く終わりたいです。
DIRECTOR 高木 虎之介 Toranosuke TAKAGI
悔しいレースになってしまいました。決勝レースはドライコンディションになり、スタート直後こそポジションを下げてしまったものの、ペースは悪くなかったので、少しずつ順位を戻すことができていました。ただ福住選手に交代してからは100号車に阻まれることになってしまって。抜いてからは前に追いつくくらいのペースで走れていましたが、トラブルが起きてしまいました。他のGR Supraにも発生していたものだったので心配していましたが、我々にもトラブルが出てしまいました。最後はトラブルこそ特定し直すことができたのですが、これでチャンピオンの芽もなくなってしまいました。最終戦の鈴鹿は優勝して終わりたいです。今シーズンはまだ一度も勝てていないですからね。