

PRACTICE
公式練習 5月3日(土) 天候:晴れ/路面:ドライ
開幕戦となった4月12日(土)〜13日(日)の岡山国際サーキットでの第1戦では、ポールポジションからトップ争いを展開、2位で終えたTGR TEAM ENEOS ROOKIE。優勝こそならなかったが、幸先良い開幕ダッシュをみせた。この勢いを繋げるべく臨む第2戦の舞台は、チームの地元である富士スピードウェイでの3時間レースだ。
走行前日となった5月2日(金)の富士は荒天に見舞われていたが、迎えた5月3日(土)のサーキットは五月晴れ。朝から富士山が顔を出し、ゴールデンウイークの陽気に誘われ多くのファンが詰めかけるなか、午前9時から公式練習がスタートした。
ENEOS X PRIME GR Supraは、前週TGRRの活動でドイツのニュルブルクリンクでレースを戦っていた大嶋和也が、その疲れもみせずにステアリングを握りコースイン。まずはセットアップの確認などさまざまな作業を行っていく。ただ、ENEOS X PRIME GR Supraのフィーリングは「そこまでバチっとクルマが決まっていたわけではなかった」と大嶋が語ったように、いまひとつの感触。また第1戦で2位表彰台を獲得したことから、32kgのサクセスウエイトを搭載しており、これが影響していた。
大嶋はストップ車両による赤旗中断を含め5回のピットアウト〜インを繰り返しながらENEOS X PRIME GR Supraの調整を進めていき、福住仁嶺に交代。フルコースイエローの訓練の時間もうまく使いながら周回を重ねていった。
福住もセットアップの確認を行っていきながら、GT500クラスの専有走行の時間帯でアタックシミュレーションを実施。ここで1分27秒897というベストタイムを記録した。結果としては10番手だが、午後の公式予選でQ2に進出するためには10番手以上が必要。ギリギリのラインにあった。チームはQ2進出をたぐり寄せるべく、午後に向けセットアップの調整を行った。


QUALIFY
公式予選 5月3日(土) 天候:晴れ/路面:ドライ
予選日の富士スピードウェイは、午前に続き晴天が終日続き、午後2時から行われた公式予選は気温20度/路面温度33度というコンディションのもと迎えた。
GT300クラスのQ1に続き、午後3時41分からスタートしたGT500クラスのQ1では、大嶋がENEOS X PRIME GR Supraのステアリングを握った。
じっくりとタイヤを温めていった大嶋は、5周目にアタックを展開していくと、1分27秒341というタイムを記録。翌周も再度アタックを行ったが、こちらはタイムを伸ばせず1分27秒813というタイムとなった。ただ、近年のGT500クラスは0.1秒タイムが違えば大きく順位が変わってしまう。ENEOS X PRIME GR Supraの順位は11番手で、0.047秒差でQ2進出を逃してしまった。
「完璧にアタックを決めればQ1は通れるかな、と思っていましたが、予想以上に僅差でしたね。ミスをしたわけでもありませんが、その0.1秒をどこかで持ってこられたかもしれません」と大嶋は悔しがった。
11番手という予選順位となったENEOS X PRIME GR Supraだが、富士は追い上げが可能なコース。翌日の巻き返しを誓った。

RACE
決勝レース 5月4日(日) 天候:晴れ/路面:ドライ
前日の公式予選ではQ2進出はならなかったENEOS X PRIME GR Supraは、迎えた5月4日(日)の決勝レースに臨んだ。午後2時11分、気温24度/路面温度38度というコンディションのもと始まった決勝で、スタートを務めたのは福住だ。
福住はオープニングラップから混戦のなかふたつポジションを上げ、1周目を9番手で終えると、他3台のGR Supraとのバトルを戦っていく。セットアップとしては改善の方向にあり、ポテンシャルは十分ではあったが、一方でトラブルも起きていた。無線のトラブルがあり、チームからの声は聞こえても福住の声が届かない。21周目、GT300車両のストップでフルコースイエローが入ったが、その後も福住は可能な限りのコミュニケーションをとりつつ、9番手でレースを戦っていった。
今回、ペースはあることは確認できたことから、チームは2回の義務ピットインをなるべく遅らせ、前が開けたときにスパートをかけるオーバーカットと呼ばれる作戦を採った。ライバルが続々ピットに向かう中、福住はコース上にステイ。42周目には首位に立つとスパートをかけ、44周を終えピットへ。大嶋に交代した。
ただ、コースに戻った大嶋に異変が。SUPER GTでは、ドライバーのクールダウンのためにヘルメットに導風用のダクトとカバーがついており、カバーを通じて冷風が送られるが、カバーごと外れてしまったのだ。なんとか大嶋はダクトとカバーを分割したが、市販車でのドライブのようにカバーを置いておく場所がない。大嶋は足の間にカバーを挟んでドライブすることを強いられた。
このドタバタの間にロスがあり、#12 Z NISMO GT500、#100 CIVIC TYPE-R GTに先行されてしまうなど作戦にほころびが生じ始めてしまった。大嶋はドライブしづらい状況ながら必死にペースを保ち、ふたたび他車のピットインにともない順位を上げると、85周を終えピットへ。福住に再度交代したが、ここでピット作業時間がかかってしまい、さらにピットアウト後も福住はコクピット内でシートベルトにわずかなトラブルが発生。この処理を強いられた。
速さ以外の部分で大きなロスがあり、コースに戻るとENEOS X PRIME GR Supraの順位は11番手。ただ、ようやく万難を排した福住はそこからフレッシュなタイヤとペースの良さを活かしオーバーテイクショーを展開した。93周目にひとつポジションを上げると、ここからなんと5台抜きを達成。レースも残りわずかの110周目、序盤なかなか抜けなかった#37 GR Supraをかわし6番手に浮上してみせた。
結果、ENEOS X PRIME GR Supraは6位でフィニッシュした。速さはあったが、無線、ヘルメットのダクト、ピット作業などで失ったタイムを考えれば、もっと前にはいけたはずで、6位は喜びと悔しさが入り交じる結果となった。この6位をどう活かせるかは今後のシーズン次第。次戦、TGR TEAM ENEOS ROOKIEはひさびさの開催となるマレーシアでの一戦に臨む。



大嶋 和也
Kazuya OSHIMA DRIVER
「速さ以外の面でいろいろなことがあったレースでしたが、最後は福住選手が諦めずに追い上げ、オーバーテイクをみせてくれたおかげで、なんとか被害は最小限に収められたのではないかと思います。ただ、そのタイムロスを考えると表彰台に上がることができた可能性もあったレースだと思うので、悔しいですし少し課題が残ってしまったレースウイークになってしまいましたね。反省しなければいけません。次のレースはマレーシアのセパンサーキットが舞台ですが、今年僕たちはテストに参加して、すごく調子が良かったです。ただ、そのときのセットアップは日本に戻ってきてからは、あまりうまくいってないセットアップなんです。どういうクルマを作っていこうか、今から少し悩みますね」

福住 仁嶺
Nirei FUKUZUMI DRIVER
「レース序盤のスティントでは僕からの無線が聞こえないトラブルがありました。ペースは良さそうではあったのですが、クルマのセットアップのコンセプトからストレートスピードが伸びなかったので、なかなか追い抜きはできませんでした。前走車がいる状況では空気が乱れ、なかなか苦戦してしまいましたね。前からスタートできれば良かったですが、仕方ない部分もあります。レースストラテジーとしては、僕たちは引っ張っていく作戦でしたが、大嶋選手のダクトの問題、さらにピット作業でもロスがあったりといろいろバタバタしてしまって。最後に6位に戻れたのは良かったですが、最低限の結果かなと思っています。戦略が良かったのかも含め、次のマレーシアまでしっかり分析したいです」

豊田 大輔
Daisuke TOYODA GENERAL MANAGER
「本来であればもっと上を狙っていました。福住選手も大嶋選手も良いペースがあったんですけどね。また作戦としても、ライバルが先にピットインしたらクリアで走れると思っていたのですが、なかなか思うような展開にはなりませんでした。また途中、クルマ以外の面でヘルメットのダクトの問題などもあったり、2回目のピットインでミスがあったりと、それぞれ5〜6秒はロスがあったと思います。そこからなんとか巻き返しての6位でしたが、最悪の中での最善は尽くせたのではないかと思います。いろいろなミスがあったなかで、大嶋選手、福住選手のふたりがドライバーの力でリカバーしてくれました。次のセパンでのレースに向けて、ふたりに気持ち良く走ってもらえるよう改善したいと思います」

武田 敏明
Toshiaki TAKEDA DIRECTOR
「ウォームアップから無線のトラブルがあり、レース序盤にも再発してしまいました。また大嶋選手のスティントではヘルメットのダクト、終盤の福住選手でもトラブルと、ドタバタのレースになってしまいました。作戦としては他チームとは違う戦略を採りオーバーカットしたかったのですが、ドタバタによるロスタイムが響いてしまいました。ドライバーふたりがコース上で挽回してくれたからこそ6位に入ることができたので、ふたりの頑張りに尽きると思っています。次のセパンは我々もテストに行っていますし、他チームよりデータはあると思っています。今回ドタバタしましたが、シーズンを通して振り返ったら今回ポイントを獲れて良かったな、と言えるよう次のレースでしっかり戦っていきたいです」
ROOKIE Racing 2025 SUPER GT PARTNER
