

PRACTICE
公式練習 8月23日(土) 天候:晴れ/路面:ドライ
変則的なスプリントフォーマットで行われた富士スピードウェイでの第4戦では、レース2で福住仁嶺が嬉しい優勝を飾り、今季初勝利を成し遂げたTGR TEAM ENEOS ROOKIE。ポイントランキングでも4位に浮上し迎えた第5戦は、シリーズ後半戦の幕開けの一戦であり、タイトル争いを考えても重要なレースだ。
そんな一戦の舞台は、三重県の鈴鹿サーキット。今回は通常の300kmレースで、サクセスウエイトも戻る。ENEOS X PRIME GR Supraはウエイトが67kgと50kgを超えたことで、1段階燃料流量リストリクターが絞られパワーダウンをしている。ただ、第4戦富士のレース1で大嶋和也がチームとともに作り上げたセットアップの感触を活かせば、上位進出は決して不可能ではない。チームは準備を万全に整え、8月23日(土)の予選日を迎えた。
この週末の鈴鹿サーキットは真夏の暑さで、午前10時20分から始まった公式練習は気温32度/路面温度42度という酷暑のなかで始まった。ENEOS X PRIME GR Supraはまずは大嶋和也がステアリングを握りコースイン。途中、#37 GR Supraが逆バンクでクラッシュしたことで赤旗中断があったものの、3回のピットアウト〜インを行いながらセットアップを確認した。
「走り出しは『あれ?』と思うところもありましたし、選んだタイヤに違和感はありましたが、富士からかなりポテンシャルはキープできています」と大嶋は好感触を語った。また「ロングランの方が感触が良い。決勝は面白いレースになりますよ」と自信をのぞかせた。
交代した福住も「昨年から鈴鹿は速かったですし、走り出しこそ改善点はありましたが、大嶋選手が良いセットを作ってくれました」と同様に好フィーリングを得た。終了間際には福住が1分47秒627を記録し5番手で公式練習を終えた。


QUALIFY
公式予選 8月23日(土) 天候:晴れ/路面:ドライ
暑さ対策もあり、午後3時15分と比較的遅めの時間から始まった公式予選だったが、それでも気温34度/路面温度47度と酷暑は変わらないままのコンディションとなっていた。
ENEOS X PRIME GR SupraはQ1のアタッカーに福住を据えた。4周目、1分46秒238を記録すると6番手につけきっちりとQ2進出を果たした。
「アタック自体は正直言うと満足できるものではありませんでしたが、それなりにまとめられましたしQ2に繋げられて良かったです」と福住。
続くQ2では、大嶋がアタックを担当した。少しずつ気温が下がっていくなか、大嶋は1分46秒355を記録。8番手につけた。サクセスウエイトと燃料流量リストリクターの影響を考えれば悪くない位置だ。
さらに予選後、7番手だった#100 CIVIC TYPE-R GTが走路外走行によってベストタイムが抹消された。これでENEOS X PRIME GR Supraは7番手に繰り上がった。状況の中ではベストな位置とも言える。
「ストレートは苦しいので抜くのは大変そうですけど、レースが楽しみです」と大嶋は好位置獲得に笑顔をみせた。

RACE
決勝レース 8月23日(土) 天候:晴れ/路面:ドライ
公式予選から一夜明けた8月24日(日)の鈴鹿サーキットもやはり暑さが厳しく、午後3時30分から迎えた決勝レースは、気温35度/路面温度52度というコンディションのもと迎えた。
ENEOS X PRIME GR Supraのスタートドライバーを務めたのは福住。オープニングラップを7番手とグリッドどおりで終えると、2周目には4番手だった#24 Z NISMO GT500のコースアウトもあり、6番手に浮上。前を走る#64 CIVIC TYPE-R GTを追っていった。ただ、やはり燃料流量リストリクターの影響もあり、オーバーテイクは容易ではない。それでも福住は燃費を考えつつ、あきらめずプッシュを続けた。
そんななか、4周目には後方で争っていた#24 Z NISMO GT500と#17 CIVIC TYPE-R GTがAstemoシケインで接触。これでレースはセーフティカーランとなる。10周目にリスタートを迎えたが、ここで福住は機を逃さずS字コーナーで#64 CIVIC TYPE-R GTをオーバーテイク。これが後のレースに大きな好影響を及ぼすことになった。
福住は手綱をゆるめることなく、4番手の#12 Z NISMO GT500を追っていく。ミニマムスティントとなる18周を迎えるころには、セーフティカーの影響でようやくGT300の集団が現れたことから、GT500陣営の中ではピットに向かうチームも多く見られたが、福住はコース上にステイ。前が開けたところでプッシュを続け、20周目にピットに飛び込み大嶋に交代した。このプッシュ、そしてピットの素晴らしい作業が功を奏し、ENEOS X PRIME GR Supraがコースに戻ると、なんと実質の2番手に浮上した。後方からは先にピットインしていた#3 Z NISMO GT500が近づいたものの、大嶋はこれを退け、逆に突き放してみせた。
予選前から決勝に大きな期待を寄せていた大嶋は、その言葉の勢いどおり今度はトップの#23 Z NISMO GT500に接近していった。一時その差は1秒を切るほどにもなり、緊迫のトップ争いは大いにサーキットを盛り上げていった。
ただ終盤、GT300クラスのストップ車両、さらにタイヤバーストによるパーツ飛散で、二度のフルコースイエローが出た。この時、大嶋の前を走っていたGT300車両がトラブルで規定の速度から5km/h遅い速度しか出せず、差は開いてしまう。
大嶋はその後もプッシュを続け、チェッカーまで懸命に#23 Z NISMO GT500を追った。ただ、最後まで追いつくことはかなわず、5.768秒差の2位でフィニッシュすることになった。
優勝に届かなかったのは悔しいところではあるが、サクセスウエイトの状況を考えれば優勝に匹敵するほどの素晴らしい結果と言える。ドライバーふたりの速さ、ENEOS X PRIME GR Supraの速さ、戦略、そしてチームの頑張りが実を結んだ。
これでランキングでも2位に浮上した。今季残すは3戦。サクセスウエイトはさらに厳しくなるが、TGR TEAM ENEOS ROOKIEはさらに挑戦を続けていく。



大嶋 和也
Kazuya OSHIMA DRIVER
「サクセスウエイトが厳しいレースでしたが、チーム全員が完璧な仕事をできた週末だったと思います。7番手から臨んだ決勝では、スタートから福住選手が燃費もセーブしながら、64号車を早めにオーバーテイクしてくれたことがその後の展開に向けて非常に大きかったと思いますし、ピット作業もメカニックのみんなが頑張ってくれました。僕自身もアウトラップを速く走ることができたので、この結果に繋がったと思います。今シーズン途中までは少しセットアップがうまくいかず苦戦してしまいましたが、ここへ来てクルマのパフォーマンスを上げることができました。サクセスウエイトは厳しい状況ですが、まだまだ次戦以降も上位を目指して頑張ります」
福住 仁嶺
Nirei FUKUZUMI DRIVER
「公式練習の走りはじめは少しバランスに苦戦しましたが、しっかり改善でき、予選では幸運もあり7番手で終えることができました。決勝は僕が前半スティントを担当しましたが、セーフティカーランのリスタート後に64号車をかわすことができたことで戦略の幅が広がりましたし、マージンを広げることができました。また燃費走行を少しできていたので給油時間も削れましたし、チームのおかげでピットも早く、想像より前の順位でコースに復帰できました。大嶋さんのアウトラップが速かったことや、その後のペースも非常に良かったことで結果的に2位となり、かなり満足できる結果となりました。ここからかなり重くなりますが、今回のようなレースで次戦もポイントを稼いでいきたいと思います」


豊田 大輔
Daisuke TOYODA GENERAL MANAGER
「素晴らしいレースになりました。優勝に値する結果だったと思いますね。サクセスウエイトを考えたら、5位くらいでも十分に良い結果でしたが、2位を獲れたのは本当にすごいことだと思います。何より、チームが目指す戦い方ができたことがいちばんですね。速いクルマ、ドライバーだけではなく、ピット作業、適切なタイミングでのピットインがすべてできたレースでした。予選でも決勝でもドライバーふたりが頑張ってくれました。福住選手が64号車を抜いてくれたことが大きかったですし、エンジニアの判断が素晴らしかったです。アウトラップの大嶋選手の頑張りもすごかったです。みんなの凄さが噛みあったレースでした。チームとしてより勢いに乗れるような戦いができたレースでしたね!」
武田 敏明
Toshiaki TAKEDA DIRECTOR
「今週末は決勝レースもそうですし、走り出しからベースセットが決まっていて、ドライバーふたりからも好感触を得ていました。タイヤ選択もこのコンディションに合っていましたし、第4戦から良い流れできていましたね。サクセスウエイトで厳しいかと思っていましたが、公式予選でも決勝でも、ともに速さも強さもあったと思います。ピット作業も完璧で、大きく順位を上げることができましたし、TGR TEAM ENEOS ROOKIEとして素晴らしいレースができました。これでシリーズランキングも上がりました。今後の数戦はサクセスウエイトが厳しくなるとは思いますが、今回のような自分たちのレースをしっかり戦うことができれば必ず良い結果が得られると思っています」

