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2025 AUTOBACS SUPER GT Round.7

PRACTICE 公式練習
10月18日(土) 天候:晴れ〜雨/路面:ドライ〜ウエット

スポーツランドSUGOで行われた第6戦では貴重な4ポイントを獲得し、シリーズランキング2位につけたTGR TEAM ENEOS ROOKIE。2025年のSUPER GTもいよいよ残すは2戦となったが、その山場のひとつとも言えるのが第7戦オートポリス。3時間という長丁場であり、タイヤに厳しく毎年レースペースを保つのが難しいコースでもある。また、獲得ポイントにともなうサクセスウエイトが半減する一戦で、この第7戦でいかに高得点を得るかが最終戦に向けて重要となる。そんな第7戦オートポリスに向け、TGR TEAM ENEOS ROOKIEは念入りな準備を整え臨んだ。
 そんな一戦の走行初日となった10月18日(土)は午後から雨の天気予報が出ていたが、早朝のサーキットは晴天。午前9時25分からの公式練習は気温24度/路面温度31度というコンディションで始まった。
 ENEOS X PRIME GR Supraはまずは大嶋和也からステアリングを握りコースインし、すぐに1分35秒758というベストタイムを記録すると、途中赤旗中断も挟みながら、2回のピットインを行いながらセットアップを確認。福住仁嶺に交代し、ふたたびセットアップを続けていったが、走り出しこそ晴天だったものの、上空はみるみるうちに雲が増えていった。
 フルコースイエローの訓練等も挟みながら福住は一度ピットに戻り、ふたたび大嶋がドライブ。GT500クラスの専有走行の時間にふたたび福住がドライブしたが、この頃には雨が降り出し、路面コンディションはどんどん悪化していった。通常、専有走行ではベストタイムが更新されることが多いが、ここではタイムは更新されず。ENEOS X PRIME GR Supraはこの公式練習を12番手で終えることになった。
 予選での戦力図は分からないままだったが、大嶋は「いけるんじゃないかと思います」とセットアップには自信をみせた。

QUALIFY 公式予選
10月18日(土) 天候:雨/路面:ウエット/ドライ

GT300クラスのQ1でストップ車両があり、GT500クラスの公式予選Q1は15分遅れとなる午後3時33分に始まった。10月18日(土)は午後に入ってからもオートポリスは雨が降ったり止んだりで、Q1を担当した大嶋にとっても難しいコンディションの中での予選となった。
 Q1はかろうじてドライコンディションのままで始まることになったが、いつ雨が降ってくるか分からない。一刻も早くアタックするのが常道だ。コースイン直後の場所取りから熾烈で、大嶋はそのなかでわずかにコースアウトするシーンもあった。
 ただ、その後しっかりとコースに戻ると、1分33秒317というタイムをマーク。7番手でQ2進出を果たしてみせた。「結果的にクリアでアタックできたので良かったです」と大嶋。
 GT300クラスのQ2でもアクシデントが起きるなど、GT500クラスの予選Q2は遅れ、午後4時17分にスタートすることになったが、この間に雨が強くなり、コースはヘビーウエットになってしまった。Q2を担当した福住は、そんななかいち早くアタックを決め、1分39秒853を記録。3番手につけることになった。

RACE 決勝レース
10月19日(日) 天候:曇り/路面:ドライ

10月19日(日)の決勝日、オートポリスは事前に雨の天気予報が出ていたが、幸い早朝まで霧に覆われていたものの、午後1時10分から迎えた決勝レースは曇り空のもと迎えた。路面もドライで、気温22度/路面温度25度というコンディションでレースが始まった。ENEOS X PRIME GR Supraのスタートドライバーを務めたのは福住だ。
 このオートポリスはタイヤに厳しいコースで、長い3時間の決勝でいかにタイヤを護り、ペースを保っていくかが重要なファクターとなる。TGR TEAM ENEOS ROOKIEはそのセットアップを土曜日から探してきたが、序盤こそ3番手を守りながらレースを進めた福住だったものの、12周目に7番手争いのなかでクラッシュが起きフルコースイエローからセーフティカーランとなった後、少しずつフロントタイヤに摩耗感を感じてくる。ややペースが鈍り、19周目には#37 GR Supraの先行を許してしまう。29周目には3番手に戻ったものの、さらにENEOS X PRIME GR Supraには別の不調が訪れてしまった。ピットとドライバーの間を繋ぐ無線が少しずつ聞こえづらい状態となった。
 福住はなんとかわずかに聞こえた交信のなかで1回目のピットタイミングを確認し、33周を終えピットイン、大嶋に交代した。ただ、交代後も無線の不調は悪化する一方。また大嶋のスティントで履いたタイヤも、福住のフィードバックを得て選択したものだったが、結果的に大嶋が「失敗だったかな」と振り返る。GT500の上位陣は僅差の争いとなっていたが、#17 CIVIC TYPE-R GTを抜けない間に他車に先行を許してしまうなど、苦戦を強いられてしまう中盤戦になった。
 このレースでは2回のピットインが義務づけられているが、大嶋は2回目のピットインのタイミングをうかがうも、この頃には無線の不調が悪化しており、チームも対応に苦慮してしまうことに。大嶋は61周でピットインすることになったが、展開のなかでベストなタイミングではなく、コースに戻るもジャンプアップはならず順位は8番手となった。
 最終スティントではいくぶんペースは取り戻したものの、78周目には再度#17 CIVIC TYPE-R GTの先行を許し、9番手に。その後もペースに苦しんだが、大嶋はENEOS X PRIME GR Supraをなんとか9位でフィニッシュさせ、2ポイントを得た。
 このレースでは、ランキング首位だった#1 GR Supraがリタイアしており、もしもっと前の順位でゴールできていたら、ランキング首位で最終戦を迎える可能性もあった。それが叶わなかったことをチームは全員で悔しがった。
 激闘を続けてきた2025年のSUPER GTも、残すは2週間後の第8戦もてぎのみ。首位とのポイント差は『6』に縮まり迎える最終決戦。チャンピオンという目標へ、そしてチーム全員が悔いの残らない2025年にするために、TGR TEAM ENEOS ROOKIEは全力を尽くしていく。

大嶋 和也
Kazuya OSHIMA DRIVER

「今週はずっとクルマに対して『こうしたい』という気持ちが残ったままの週末だったような印象があります。そんな中で、予選では最低限の頑張りはできたと思いますし、決勝も無線が聞こえにくくなり、コミュニケーションがなかなかとれない中でなんとかポイントを獲ることができたので、最低限の戦いはできたと思います。一方で、ランキング上位がリタイアするチャンスだったにも関わらず、それを活かせなかったので、メチャクチャ悔しいですね。クルマのスピードとしては、もう少しうまく戦えたようにも思いますが、すべてがうまくいきませんでした。自力でのタイトル獲得ができなくなったことも悔しいですが、最終戦はポール・トゥ・ウインを狙うだけです。気持ちを切り替えて頑張ります」

福住 仁嶺
Nirei FUKUZUMI DRIVER

「キツいレースになりましたね。第1スティントを担当しましたが、ある程度厳しさを予測し対策していたものの、まだまだ足りず、公式練習のロングランから抱えていた問題が改善されていませんでした。その中でも、タイヤを労ったりと気を遣いながら走ったものの、なかなかペースを上げられず苦しいスティントになりました。その後も無線のトラブルが出てしまい、大嶋選手のスティントでは完全に聞こえなくなってしまって。チームもバタバタしてしまいました。そんな中でも大嶋選手がなんとか耐えてくれてポイントを獲れたので、その点は感謝しています。最終戦に向けわずかにポイント差は縮めることができましたが、今回は将来に繋げる良い機会になりました。最終戦は頑張るだけだと思います」

豊田 大輔
Daisuke TOYODA GENERAL MANAGER

「例年このオートポリスでは、我々は予選は良くても決勝で苦戦する傾向がありました。今回はセットアップの考え方を変えて臨み例年と比べても戦える印象があったので、力強い走りと良いタイヤ選択、ピットインができれば良い結果が残せるだろうと思っていました。ただ決勝では無線のトラブルもありました。今季2回目で対策もしていたのですが、再発したときにどういうオペレーションをするかを決め切れていませんでした。また戦略もうまくはまらなかったと思います。ポイント差を詰めるチャンスで詰め切れなかったので、我々に足りないところがあったと思います。ただ、最終戦ではまだチャンスがあります。できることをすべてやり、我々が目指す戦いを完遂して笑顔で終えられればと思います」

武田 敏明
Toshiaki TAKEDA DIRECTOR

「荒れるレースになることは予想していましたが、公式予選では3番手を得ることができたので、表彰台を狙って決勝レースに臨みました。ただタイヤについても苦戦しなかなかペースを上げることができず、また無線のトラブルがあり、なかなかピットとドライバーの間でコミュニケーションを取ることができませんでした。荒れた展開のなかで苦労することになってしまいましたね。そんな中で、ドライバーふたりが頑張ってくれたおかげでなんとかポイントを獲ることができたのが、チームにとっても唯一の救いになったのではないかと思っています。とにかく最終戦もてぎに向けては、チャンピオン争いはもちろんのこと、チーム全員がやるべきことをしっかりとやって全力で臨みたいと思っています」