

PRACTICE
フリー走行 4月18日(金) 天候:曇り/路面:ドライ
3月に三重県の鈴鹿サーキットで開幕した2025年の全日本スーパーフォーミュラ選手権は、約1ヶ月強のインターバルを経て第2大会を迎えた。舞台は栃木県のモビリティリゾートもてぎ。例年は夏の開催で酷暑のなかでのレースとなっていたが、今シーズンは春の開催に移動した。
鈴鹿での開幕大会では、第2戦で早くも公式予選Q2進出、さらにポイント獲得とチームとしても上り調子にあるdocomo business ROOKIEと大嶋和也。この第2大会も好結果を残し、さらなるステップに繋げたいところ。今回も1大会2レース制で、チャンスは多いはずだ。
docomo business ROOKIEは第1大会の鈴鹿で2レースに渡って得られたデータとフィーリングをしっかりと解析し、4月18日(金)に1時間2セッション行われたフリー走行に臨んだ。
午前11時から行われたフリー走行1回目は、薄曇りのもと気温24度/路面温度30度と春の陽気で迎えた。大嶋はアウトラップ後、3〜4周ほどのショートランを繰り返しながらセットアップを確認。チェッカー間際にアタックシミュレーションを行い、1分33秒598というタイムを記録。まずは16番手で1回目の走行を終えた。
全国的に気温が上昇していくなか、続く午後2時からのフリー走行2回目は、気温27度/路面温度41度まで上昇。風があるものの、この時季らしからぬ暑さのなかで行われた。大嶋はこの2回目もショートランを繰り返し、6回のピットインを行いながらセットアップを調整。同様に最後のアタックシミュレーションで1分33秒225を記録。14番手という位置で初日を終えることになった。
「良かれと思ってやってきたセットアップがあまり良くなくて、元に戻したもののバランスが少し悪かったです」と大嶋は走行初日を振り返った。
ただ、2セッションとも順位は中団。「バランスが合わない割にはそこそこタイムが出ているので、それが合えば戦えると思っています」とセットアップを煮詰めれば上位に進出できる手ごたえを語った。
チームは4月19日(土)の予選に向け、セットアップを調整していった。


Round.03 QUALIFY
第3戦 公式予選 4月19日(土) 天候:晴れ/路面:ドライ
2回のフリー走行から一夜明け、迎えた4月19日(土)は午前9時20分から、第3戦の公式予選がスタートした。今回大嶋はQ1のA組から出走することになったが、今回A組は強敵ぞろい。そんな中でQ2進出を果たすことができれば、今後に向けても大きな手ごたえを得ることができる。
そんな公式予選は晴天のもと、気温23度/路面温度30度と春を通り越したような暖かさのなか始まったが、大嶋は一度ユーズドタイヤでコースインした後、ニュータイヤを履きピットアウト。アタックラップに入った。
大嶋はここで1分32秒300というタイムを記録したものの、僅差の8番手という結果に。今回はQ2進出はならなかった。
「金曜の状況からはかなり改善したものの、想像以上にコンディションが良くて、グリップのレベルがぜんぜん違いましたね。コンディションに対して旋回性が足りませんでした」と大嶋。まわりの伸び幅に対して合わせ切れない状況となった。
ただ「悪くないフィーリング」があることは間違いない状況だった。大嶋は午後の決勝は16番手から追い上げを目指すことになった。
Round.03 RACE
第3戦 決勝レース 4月19日(土) 天候:晴れ/路面:ドライ
公式予選終了後、併催レースを経て、迎えた午後2時50分からの第3戦決勝レース。午前から続き晴天に恵まれ、気温は季節はずれの30度まで上昇。路面温度も41度と、4月とは思えないコンディションのもとスタートが切られた。
16番手からスタートを切った大嶋は、1コーナーで発生した接触をうまく避けポジションを上げ、11番手でオープニングラップを終える。アクシデントでストップした
2台を回収するためにレースはセーフティカーランとなったが、大嶋はリスタートとなった4周目、前を走る#37 サッシャ・フェネストラズをオーバーテイク。ウォームアップからフィーリングは良く、好ペースを感じていた大嶋は、そのまま9番手を走る#4 ザック・オサリバンを追っていく。ただ、ペースは良いものの前を次々と抜いていくほどの圧倒的なパフォーマンスはない状況。集団の中にいてはせっかくのペースを活かせない。チームはピットウインドウがオープンした10周終了時に大嶋をピットインさせ、タイヤ交換を行った。
チームはいつもどおりの抜群の作業でタイヤ交換を終えたものの、一瞬リヤのジャッキが上がったままの状態になってしまう。さらにジャッキを下ろした間に、前方のピットに#50 小出峻が滑り込んでいた。第1戦も同様にのケースで2台は交錯し大嶋にペナルティが課されている。同じ轍は踏むまいとチームはしっかりと大嶋を制止したが、このわずかなロスで大嶋はポイントを得られるかどうかという位置でレース後半を戦っていった。
ただこの日は終始ペースが悪くなかった。レース後半、大嶋は前を走る10番手の#16 野尻智紀を追撃していく。二度のチャンピオンである#16 野尻に対し、大嶋は何度もオーバーテイクを仕掛けるモーションを繰り出していくものの、ライバルの直線も速く、なかなか追い抜きには至らない。ジリジリとした攻防のなか、後方からは#7 野中誠太も接近。ポイントをかけた緊迫した戦いが続いた。
そんななか、28周目には4番手につけていた#15 岩佐歩夢がトラブルによりストップしたことから、大嶋はひとつポジションを上げ10番手に。待望の入賞圏内に入り、そのまま33周を走破。10位で1ポイントを得ることになった。
第2戦に続く連続得点は大嶋とdocomo business ROOKIEにとって非常にポジティブなものとなったが、「レース中ずっと誰かに引っかかってしまったのでもったいなかったです。またピットタイミングなど課題があるレースになりましたね」と大嶋は暑さのなかでのレースにやや疲れた表情を浮かべつつ、嬉しさ半分、悔しさ半分という表情をみせた。
ペースに苦しむ車両に引っかからないためには、やはり公式予選で前のグリッドを得るしかない。1ポイントをたしかな収穫としつつ、docomo business ROOKIEはさらなる上位獲得に向け、翌日に控えた第4戦に向けて準備を進めた。

Round.04 QUALIFY
第4戦 公式予選 4月20日(日) 天候:曇り/路面:ドライ
第3戦から一夜明けた4月20日(日)のモビリティリゾートもてぎは曇り空。午前9時10分から行われた第4戦の公式予選は、気温20度/路面温度24度というコンディションのもと始まった。
予選Q1はB組から出走した大嶋は、「走れば走るだけ反省点を活かして良い方向に進んでいました」と好感触を得てアタックを決めると、1分32秒583というタイムを記録。見事6番手につけ、今シーズン2回目となるQ2進出を果たしてみせた。チームの雰囲気を大きく上げる結果を残すと、続くQ2でも集団のなかでしっかりと場所取りを行いアタックを展開。1分32秒612を記録した。このタイムは奇しくもSUPER GTのチームメイトである#8 福住仁嶺と同タイムとなったが、タイムを出した順番で大嶋の順位は11番手となった。
決勝でもポイントを狙える順位にチームの雰囲気も盛り上がったが、大嶋からは予選後「このセットアップだと、少し限界も見えてきていますね」とさらなるパフォーマンスアップを見据える言葉も。
第3戦でのポイント獲得、そして第4戦でのQ2進出と上り調子のなか、チームは決勝での好結果に向け準備を進めた。
Round.04 RACE
第4戦 決勝レース 4月20日(日) 天候:曇り/路面:ドライ
迎えた第4戦の決勝レースは、気温26度/路面温度34度というコンディションのもと、午後2時55分にスタートした。大嶋はわずかにポジションを落とし14番手につけるが、その後方では1コーナーでアクシデントが発生。レースは1周目にセーフティカーが導入される。
2025年から導入されたレギュレーションにより、この第4戦はピットウインドウが存在しない。セーフティカーラン時にピットインできれば、取り分が大きい。docomo business ROOKIEは事前に1周目のセーフティカー導入時にはピットインすることを決めており、石浦宏明監督はピットクルーに指示。事前の打ち合わせどおりに大嶋を呼び戻し、ピット作業を行った。
他チームでは2台同時ピットを行うなどロスタイムも発生したが、こういう時には1台体制の優位がある。大嶋は1周目にピットインした陣営のなかでポジションアップに成功。13番手につけ、6周目のリスタートを迎えた。
この週末、走るたびにパフォーマンスを上げてきた大嶋は、リスタート後のペースも悪いものではなく、9周目に#64 佐藤蓮を先行すると12番手に。さらにトラブル車両が発生すると17周目には11番手につける。ただ1周目のセーフティカーラン時、ステイアウトした陣営が前方におり、空気の流れが悪い。大嶋は集団のなか順位の変動なくレース終盤を迎えることになった。
ステイアウト組は21周あたりからピットに向かいはじめ、大嶋の順位はひとつずつ上がっていく。そのうち、この週末図抜けた速さをみせた#5 牧野任祐こそ一度先行した後、オーバーテイクを許すことになったが、レース終盤大嶋は6番手につけ、4番手の#37 サッシャ・フェネストラズ、5番手の#38 阪口晴南を追うレースを続けていった。
ただモビリティリゾートもてぎはオーバーテイクが難しく、最後まで順位の変動はなくフィニッシュを迎えた。大嶋はそのまま6位でフィニッシュ。第3戦に続く今季3回目の入賞、そして2023年第5戦SUGOの4位に次ぐ上位入賞となった。
大嶋にとっては圧倒的なペースがあったわけでもなく、入賞は展開に恵まれたから……という印象ではあるものの、とはいえ6位に食い込めるのは予選でQ2に進出し、上位陣と戦うペースがあればこそ。確実なベースアップを印象づけた。
レース後、6位という結果に対しモリゾウは「苦しいときからやってきたことが、少しずつ実を結んでいます。でも、大嶋選手もチームもQ1を突破してもそれがだんだん通常になってきたということです」と声をかけた。
「我々が悩みながらやってきたことが結果として見え、光が見えていると思います。とにかく続けてください。そして、これからです」
モリゾウが言うとおり、ここから先は表彰台を目指す戦い。docomo business ROOKIEはさらなる高みを狙う。ちろん、さらに目指すはその先。チームがさらなる高みを狙うためにも幸先良いレースとなった。


大嶋 和也 Kazuya OSHIMA DRIVER
「第3戦ではペースがかなり良さそうだったのですが、レース中ずっと誰かに引っかかっているような状況でもったいないレースになってしまいました。抜くまでのパフォーマンスはありませんでしたが、なんとかポイントも獲れましたしね。課題がある中での得点ができて良かったです。
第4戦についても展開に恵まれ、6位に入ることができたのは良かったです。グリップ感があまりなくて、前に仕掛けられるほどのパフォーマンスはなく、前のクルマのペース次第のレースになりましたね。とはいえ5ポイントを得ることができ、良い位置でレースができました。
昨年に比べても成長を感じていますし、今後も可能性があると思います。オートポリスは好きなコースですし、チャンスはあると思っています」

石浦 宏明 Hiroaki ISHIURA DIRECTOR
「今週はかなり攻めたセッティングで持ち込んだのですが、フリー走行では少し調子が悪かったので、そこからはチーム全員で『セッションごとに良くしよう』を合い言葉にして、そのとおりに全セッションでフィーリングも順位も上げていくことができました。
こういうレースができれば次に繋がると思います。開幕大会の第1戦では自分の反省点もありペナルティがありましたが、それさえなければ今季は全レースで入賞できる戦いができています。昨年よりもかなりレベルが高いチームになってきていると感じています。
次戦のオートポリスも、チーム全体が“狙えるサーキット”だと思っていますが、気負わずいつもどおりやれればと思いますし、この先さらにレベルアップして表彰台を狙いたいと思います」
