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2025 SUPER FORMULA Rd.5

PRACTICE
フリー走行 5月17日(土) 悪天候のため走行キャンセル

 2025年は4戦中3回のポイント獲得を果たし、2024年までの悔しさを払拭する強さをみせているdocomo business ROOKIEと大嶋和也。この調子をさらに繋げ上位を目指すべく臨んだ第3大会の舞台は、大分県日田市のオートポリス。阿蘇の山間に位置し、多くのアップダウンがあるチャレンジングなコースだ。大嶋にとってはこれまでのキャリアでも数多くの良い思い出があり、自身も「好きなコース」と語るサーキットでもある。
 そんなオートポリスでの第3大会だが、今回は1大会1レース制の第5戦として争われた。5月17日(土)は、タイムスケジュールとしては午前9時15分からフリー走行が、午後2時から公式予選が予定されていたが、この日のオートポリスは朝から深い霧と強い風雨に見舞われており、大会審査委員会は午前8時20分の時点でタイムスケジュールの変更を発表。フリー走行は1時間20分遅らせることになった。ただ、朝からの風雨は弱まったものの、厚い霧はまったく晴れることはなく、午前9時50分には再度スケジュールを変更。午後2時30分からフリー走行が行われ、公式予選は5月18日(日)に変更されることになった。
 ただ、オートポリスの天候はこの日は終日回復しないまま推移した。午後2時30分のフリー走行開始時、オートポリスは依然として深い霧に包まれており、この時点で大会審査委員会から、フリー走行の中止が発表された。この日、スーパーフォーミュラは1周も走行しないまま終了した。
 タイムスケジュールは三度変更され、5月18日(日)は午前9時40分から、40分間の計時方式の公式予選が行われることになった。この週末、1周もしないままいきなり予選を迎えることになった。
 ただ、大嶋は「今シーズンはずっと調子が良いですし、持ち込みのセットアップも良いですからね」とワンデー開催に向けて自信をみせた。
「予選のコンディションがどうなるかは分かりませんが、オートポリスは得意なコースですし、逆に僕たちにはチャンスが広がっているのではないでしょうか。明日は頑張りたいですね」という大嶋とチームは、翌日の走行に備えつつ、足早にオートポリスを後にすることになった。


QUALIFY
公式予選 5月18日(日) 天候:曇り/路面:ドライ

 夕刻まで霧が晴れることがなかった5月17日(土)から一夜明け、5月18日(日)のオートポリスはわずかに霧が残り、うっすらと路面に濡れた部分が残っていたものの、天候は好転。午前9時40分から公式予選が始まった。今週、スーパーフォーミュラが走るのは初めて。この40分間の中でセットアップの確認、さらにタイムアタックを行わなければならない。
 多くのドライバーたちが、ニュータイヤを矢継ぎ早に投入しアタックを続けていき、大嶋も同様にアタックを展開。9周目には1分28秒065を記録した。
 ただ、40分間のなかで各車がアタックを繰り返しており、大嶋が記録したタイムも他車に引っかかってのもの。最後はチェッカーに向けて再度アタックしたものの、コースアウト車両が発生し、ほぼ全車のベストタイムが抹消となった。大嶋の予選順位は14番手というものだった。
「フロントのグリップが低くて、上位を狙える感触はなかったものの、トップ10くらいは狙いたかったです」と大嶋は慌ただしく終わった予選を振り返った。
 約3時間半後にやってくる決勝に向け、チームは準備を進めた。

RACE
決勝レース 5月18日(日) 天候:曇り/路面:ドライ

 公式予選後、オートポリスは雲が多い状態が続き、午後1時35分から行われた決勝コースイン時には、わずかな降雨もあった。天気予報でもレース中に雨が降る可能性がわずかにあり、決勝ではスリックタイヤでスタートし、天候の変化をみながらピットのタイミングを決めるのが常道とも思われた。
 しかし、大嶋と石浦宏明監督は、雨が降らないと賭けレース序盤にピットインを行う作戦を立てた。スタート進行時にタイヤのタレを感じていた大嶋のリクエストに応え、チームはグリッドでセットアップを変更。タイヤに厳しいオートポリスに対応した修正を加えていった。
 最終セクターに霧が流れる曇り空のもと迎えたスタート直後、大嶋は13番手にポジションアップ。感触も良いようで、ペースも悪くない印象だった。
 このレースはピットウインドウがない一戦で、スタート直後からタイヤ交換義務をこなすべくピットインするライバルが出はじめた。石浦監督は「もう少し後でのピットインを考えていた」というが、大嶋としてはペースの良さを活かしたい。チームとタイミングについて相談すると、3周を終えてピットインした。
 ただここで思わぬトラブルが。スーパーフォーミュラでは、ジャッキアップを機械が行うが、これにトラブルがあり、5秒ほどを失ってしまった。ピットイン前、大嶋の前にいた#65 イゴール・オオムラ・フラガの前には出たものの、タイヤが発熱する前に先行を許した。
 その後も大嶋は粘り強くレースを戦っていったが、20周目、コースアウト車両が発生し、セーフティカーが導入された。タイヤ交換をこのタイミングまでしていなかった車両は、この機を逃さずピットイン。この集団はピットのロスタイムを稼ぎ、さらにニュータイヤの恩恵を活かしレース後半を戦っていくことになった。
 大嶋はそれでも、2〜3ポジションアップでポイント圏内に届く位置につけていた。25周目のリスタート後も、大嶋は後方から迫るライバルに対して粘りの走りをみせていたものの、終盤大嶋も少しずつタイヤが厳しくなってきてしまった。30周目、大嶋は#39 大湯都史樹の先行を許すと、その後も#6 太田格之進、#19 高星明誠にかわされてしまうなど、ポジションダウン。最後までポイントを争う集団のなかにはつけたものの、最後は15位でフィニッシュすることになった。今季は3回のポイント獲得を果たしていたものの、第1戦以来ひさびさに入賞を逃す結果となった。
 地力のペースはもっていながらも、天候不良によるスケジュールの変更、ワンデー開催と変則的なレースとなったことが、大嶋には味方しなかった。
 とはいえ、ポテンシャルがあることは間違いなさそうだった。チームは地元の富士スピードウェイで行われる7月の第4大会を前に、6月6〜7日に行われる公式テストを使ってさらなるポテンシャルアップを図っていく。

大嶋 和也 Kazuya OSHIMA DRIVER

「公式予選ではフロントのグリップが低かったので、上位を狙える雰囲気ではありませんでしたが、トップ10は狙いたかったです。ただ引っかかったり、最後のアタックができなかったりしたのは残念でしたね。
レースについては、良いペースはあったとは思ったのですが、最後はかなり厳しくなってしまいました。タイヤがタレてしまったら、今度はピックアップがあったりして。速さも少し足りなかったですし、僕自身ももう少しブロックもうまくやれたかもしれません。
ピットのロスも含めて、朝から出し切れないレースでしたね。ただ次の富士までにテストもありますからね。有意義なテストにしたいです。第6戦は僕がスーパーフォーミュラに出て100戦の節目になります。気持ちいいレースにしたいですね」

石浦 宏明 Hiroaki ISHIURA DIRECTOR

「難しい天候でしたが、僕たちは雨が降らない方向に賭けてレースに臨みました。そんななか、大嶋選手が序盤からアグレッシブに攻めてくれて、ピットインのリクエストがあったので早めに入りました。
ただ、機材のトラブルがあり5秒くらいロスしてしまったのが痛かったですね。あれがなければ展開は変わっていたでしょうし、ポイント圏内では戦える手ごたえがありました。セーフティカーランにも泣かされましたね。機材トラブルの原因をしっかり特定したいですし、大嶋選手にも申し訳ないことをしてしまいました。ただペースとしては十分得点圏で戦えるものだったと思います。
今季強くなっているとは思いますが、トップ争いまでには足りないところもあるので、また次戦富士頑張りたいと思います」