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2026 SUPER TAIKYU Round 5

 モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり、人とクルマを鍛えることをテーマとしてスーパー耐久シリーズへの参戦を続けてきたROOKIE Racing。『TOYOTA GAZOO ROOKIE Racing』として挑む2026年のシリーズ2戦目の舞台は、大分県のオートポリスだ。
 2025年のオートポリスでは、TGRRはGR Yaris M Conceptの投入を予定していたが、投入は見送り。2025年のニュルブルクリンク24時間レースに参戦していたGR Yarisをそのまま投入し、日本の特徴である高温多湿などの性質が異なる過酷な環境下での走行を通じて、サスペンション性能やエンジン出力などにおける知見を得るトライを行っていたが、これが成功。2026年も同様のトライとして、2026年のニュルブルクリンク24時間でさまざまな知見をTGRRにもたらしていたDAT搭載のGR Yarisに、ニュルで発生したトラブルの対処と改善を行い、そのままオートポリスに持ち込み昨年同様の挑戦を行うことになった。
 そんな第5戦に臨むTGRR GR Yaris DATのドライバーラインアップは、モリゾウ/石浦宏明/大嶋和也/豊田大輔という4人。ニュルブルクリンク24時間とまったく同じドライバーたちで臨むことで、的確なフィードバックを得ていく。
 TGRRが参戦しなかった第4戦スポーツランドSUGOではまだ涼しさもあったが、そこから3週間の間に気温は一気に上がり、標高800mのオートポリスも真夏の陽気となっていた。ニュルとの比較にはうってつけのコンディションとなった。

PRACTICE 特別スポーツ走行/専有走行
7月23日(木)〜24日(金) 天候:晴れ/路面:ドライ

 走行初日の7月23日(木)は、午後0時から行われた1回目の走行は走らず、TGRRは午後3時から行われた2回目から出走した。この日は晴天に恵まれ、高地ながら気温30度を超えるうだるような暑さのなか、TGRR GR Yaris DATは大嶋からステアリングを握りコースインすると、石浦、大輔ともにドライブ。まずはオートポリスというコースにおけるTGRR GR Yaris DATのフィーリングを確認した。
 スーパー耐久ではこのGR Yarisをドライブしたことがなかった大輔は「ニュルブルクリンクではすごくイメージが良かったんですが、こちらだと少し印象が違いましたね。ニュルは車速を落とさず、パワーバンドがあるままでいけたのですが、こちらでは車速をしっかり落とさなければいけないので」と大輔。
 初日の特別スポーツ走行ではドライバーから乗りづらさを訴える声もあり、セットアップの変更にトライ。TGRR GR Yaris DATは翌日の専有走行に臨んだ。
 7月24日(金)はいくぶん暑さも和らぎ、午前9時から専有走行1回目が行われた。終盤は赤旗で走行時間が短くなるセッションだったが、TGRR GR Yaris DATは大嶋がドライブし2分04秒284を記録。セットアップ変更が功を奏し、乗りやすさは大きく改善された。
 そして、午後1時45分からの専有走行2回目には、モリゾウが合流した。6月下旬に「故障を直す手術」を行ってから初めて臨むレースウイークだったが、「普通に1周目から僕たちの1秒落ちで走るくらい」と大嶋監督も驚くほどのペースで10周をこなしてみせた。
 大嶋と大輔もドライブし、TGRR GR Yaris DATは順調に専有走行までの1日半を終えることになった。モリゾウの復帰もあり、チームも明るい雰囲気でオートポリスを後にすることになった。

QUALIFY 公式予選
7月25日(土) 天候:晴れ/路面:ドライ

 特別スポーツ走行、そして専有走行を経て、スーパー耐久第5戦は7月25日(土)を迎えた。この日は事前の天気予報と異なり、朝から晴れ間が広がり、気温もグングン上昇。午前9時45分からのフリー走行は前日よりも暑い状況で迎えた。
 このフリー走行でTGRR GR Yaris DATは、大嶋がステアリングを握りコースイン。7周を走り、2分04秒061というベストタイムを記録した。気温、路面温度の変化や
コンディションの変化に合わせ、木曜に行ったセットアップ変更がこの日もうまく機能しており、好感触でフリー走行を終えた。
 午後1時25分からスタートした公式予選も引き続き酷暑のなかで始まったが、まずAドライバー予選に出走したのはモリゾウ。周囲の声援を受けTGRR GR Yaris DATに乗り込むと、ニュータイヤでしっかりとラップをまとめ、2分05秒563を記録。電源が落ちるトラブルがあったがすぐに解決し、しっかりとこの日のミッションを終えた。
 続くBドライバー予選に出走したのは石浦。2周目に2分02秒297を記録するも、同じST-Qクラスの#104 GR Yarisに僅差で先行されてしまうシーンも。ただ、ドライバーたちがこうしてタイムを競うことができているのも、好調な証拠だ。
 続くCドライバー予選では大嶋が中古タイヤで2分04秒144を記録。最後のDドライバー予選では、前走車に引っかかりながらも大輔が2分06秒096を記録し、しっかりと公式予選を締めくくった。
「モリゾウさんの予選時に電源が落ちた以外は、何事もなく予選日を終えることができました。現状では暑くてタイヤの摩耗などが大変なところはありますが、今のところはすごく順調ですね」と大嶋監督。
 ただ今回の一戦は長丁場。大嶋監督が言うとおり、ドライバーにもタイヤにも厳しいコースでもある。入念に準備を進めながら翌日の決勝レースに備えた。

RACE 決勝レース
7月26日(日) 天候:晴れ/路面:ドライ

 公式予選から一夜明けた7月26日(日)のオートポリスは、朝から爽やかな晴天に恵まれた。前日よりもやや涼しさはあったが、それでもやはり気温はグングンと上昇。午前11時から迎えた決勝レースは、気温29度というコンディションで始まった。
 そんな決勝レースを前に、TOYOTA GAZOO ROOKIE Racingには大きな決断が下された。前日の公式予選後、モリゾウは手術を行った部分にやはり痛みを感じ、決勝レースへの出走を取り止める判断を下した。モリゾウ自身にとっても悔しい決断となったが、もとより無理は禁物。チームはモリゾウの判断を受け容れ、その思いを背負って5時間の決勝レースを戦うことになった。
 そんな思いとともにスタートドライバーを務めたのは大輔。今回、TGRR GR Yaris DATが5時間の決勝レースで立てた目標は133周を走破するということ。トラブルなどがあれば到底届かないであろう数字だ。
 序盤、大輔は同じST-Qクラスの#104 GR Yaris、#55 MAZDA 3を追いながらレースを進めていく。ラップタイムも安定しており、酷暑のなかで着実なドライビングをみせていった。
「ブレーキや、DATの制御、タービンなどクルマのフィーリングが悪い部分で気になるところがあり、その点は次への課題になると思いましたが、ニュルブルクリンクで壊れてしまったところが壊れず走れたことは良かったです」という大輔は、まずは31周まで走破。見守っていたモリゾウに迎えられ、その大役をこなした。
 代わってTGRR GR Yaris DATに乗り込んだのは大嶋。変わらず気温は高く、少しずつレコードライン外に汚れが出はじめるコンディションだったが、こちらもスムーズそのもので、トラフィックでタイムに変動はあるものの、途中フルコースイエローなども挟みながら、2分06秒〜09秒ほどのラップタイムを並べながら周回を重ねていった。
 ただ、スムーズではあるものの、大嶋にとっては「ニュルブルクリンクで少しイヤだな、と感じていた足回りの部分が、このオートポリスではより一層感じました」と振り返る。課題はまだまだ多いことを痛感させたスティントとなった。
 大嶋は70周でふたたびTGRR GR Yaris DATをピットレーンに向けると、今度は再度大輔がステアリングを握った。コンディションは悪くなる一方だが、大輔は2スティントめの疲れを感じさせずラップをこなしていく。ラップタイムも大嶋とは大きく変わるわけではなく、そのスキルの高さを感じさせた。
「これまでいろいろな方のご尽力もあってモータースポーツの世界に入らせていただきましたが、いろんな方に教えていただき、いろんなところで走らせていただいてきました」と大輔は振り返る。
「今日はぶつかることなく、みんなで楽しく、笑顔で走り切ることができましたし、ニュルブルクリンクのリベンジがしっかりできたと思います」
 大輔はそんな思いあふれるスティントを終え、ちょうど100周でピットイン。アンカーを石浦に託した。
 午後4時、チェッカーフラッグを受けたTGRR GR Yaris DATは、石浦の手により最後は135周を走破した。目標に掲げていた133周よりも、2周多く走り切ることができた。
「ノートラブルでしたし、目標を上回る周回数が達成できたので、ニュルのリベンジができたと感じています」と石浦。
「ただ今回、モリゾウさんがドライブできなかったこと、また104号車と差がついていたので、その点はやり残したところですね。ただ来年のニュルに向けて良いスタートが切れたと思います」
 ニュルブルクリンクで壊れたカップリングは、今回は壊れることなく5時間を走った。ただ、課題ももちろん残されている。カップリングの熱対策は一定の効果を得たが、まだ当初の狙いほどの効果はなかった。また、CFDなどでは分からない空力についても、レースという風がまっすぐ当たらない状況や、他車との兼ね合いのなかではまだコントロールを手の内に入れているわけではないことも分かった。
 TOYOTA GAZOO ROOKIE Racingの挑戦はまだまだ続く。スーパー耐久は次戦岡山まで約3ヶ月の間があるが、その間も休むことなく、次なる挑戦へ準備を進めていく。

DIRECTOR’S VOICE
Kazuya OSHIMA 大嶋 和也


「今回はニュルブルクリンク24時間を走ったGR Yaris DATを持ち込みましたが、信頼性は高かったですし、ニュルでのトラブルもしっかり対策ができていたと思います。比較的順調なレースウイークを送ることができました。ただ、ニュルで不満に思っていた部分が日本のサーキットではより顕著に感じましたし、まだまだ課題はありますね。決勝ではモリゾウさんがドライブできませんでしたが、今は無理をする必要がありませんしね。手術後のいちばん大事な時期だと思っていますし、走ればブランクがあっても速いタイムを出せることも分かりましたから、今は安心して休んで欲しいです。次の岡山では、またワクワクするチャレンジができる予定になっています。楽しみにしていただければと思います」