NEWS & REPORT

全日本スーパーフォーミュラ選手権2024 第2戦

フリー走行 5月18日(土) 天候:晴れ 路面:ドライ
2024年の全日本スーパーフォーミュラ選手権は、3月の開幕戦から約2ヶ月のインターバルを経て第2戦を迎えた。舞台は、大分県日田市のオートポリス。アップダウンがあり、シーズンを通しても最もタイヤに厳しいとも言われている難しいコースだ。
 ただ、大嶋和也にとっては表彰台獲得をはじめ、数多くの思い出がある相性が良いコースでもある。今季まだ成し遂げられていない予選Q2進出、そしてポイント獲得を目指してレースウイークに臨んだ。
 迎えた予選日のオートポリスは、この時季らしい爽やかな晴天に恵まれたものの、やや風が強い。docomo business ROOKIEと大嶋は、このレースを前に練り上げてきたセットアップを確認すべく、午前9時15分からスタートした土曜フリー走行に臨むと、3〜4周のショートランを繰り返しセットアップを進めていった。
 途中、#53 Jujuがトラブルのためコースサイドにストップしたことからセッションは一時赤旗中断となったが、大嶋はその直前に1分27秒818というベストタイムを記録。このフリー走行は11番手と中団で終えることになった。
「セットアップは機能している感じはありますが、走り出しの感覚とアタックでのグリップの感覚が違うのは気になります」と大嶋はフリー走行を振り返った。
 しかし感触は決して悪くない。「それでも11番手ですからね。昨年も走り出しはトップ10でしたし、予選のコンディションでしっかりバランスがとれればと思います」と大嶋は午後の予選に向けた手ごたえを語った。もちろん、目指すところはQ1突破。「十分に狙えると思います」と大嶋は手ごたえを感じていた。
 とはいえ、現在のスーパーフォーミュラは本当にわずかなコンディションの変化、そしてわずかなミスで予選順位が大きく変わってしまう。docomo business ROOKIEは午後の予選に向け、さらにセットアップを追求していった。

公式予選 5月18日(土) 天候:晴れ 路面:ドライ

 午後2時からスタートした公式予選は、気温27度/路面温度47度と初夏の陽気のもと迎えた。Q2進出をかけ、大嶋は公式予選Q1のA組に出走し、まずは一度コースインした後、ピットに戻り、残り5分を切ってから再度コースイン。アタックラップに入っていった。
 大嶋は5周目、1分27秒927までタイムを伸ばしていく。悪くないタイムだ。しかしライバルたちがチェッカーを受けると、大嶋の順位は7番手。Q2進出が可能になる6番手まであと0.089秒届かず、無念のQ1敗退となってしまった。
「1コーナーに少し飛び込みすぎてしまったのと、最終コーナーでアンダーステアが出てしまって。そこそこクルマも決まっていたのでもったいなかったです」と大嶋は予選後、悔しさを露わにしていた。
 その後に行われたB組ではコンディションの変化か、大嶋のタイムは3番手に入るものだっただけに、悔しさもなおさらだ。
「アタックの仕上がりの割に順位は上だったので、クルマはレベルが高いと思います」と大嶋はセットアップへの手ごたえとともに、決勝レースでの追い上げを誓った。

決勝レース 5月19日(日) 天候:晴れ 路面:ドライ

 迎えた5月19日(日)の決勝日も、オートポリスは晴天に恵まれた。午前10時から行われたフリー走行では、途中クラッシュもあり赤旗中断があったが、そんななか大嶋はロングランのフィーリングを確かめ、好感触を得ていた。
 気温24度/路面温度38度というコンディションのもと、午後2時50分から行われた決勝レース。大嶋は13番手からスタートを切ったが、1コーナーへの位置取りのなかでポジションを落としてしまい、序盤は17番手で戦っていくことになった。大嶋の序盤の感触はあまり良くないものだったが、それでも周囲よりもペースは良さそう。大嶋は#55 松下信治にターゲットを定め、バトルを仕掛けていった。ただ、#55 松下に必要以上にペースを乱されては上位は逃げていってしまう。
 そこでチームは、ピットインが可能となる10周になると、すぐに大嶋を呼び戻した。チームが得意とするアンダーカットで、順位を上げていこうという作戦だ。docomo business ROOKIEのクルーたちは期待に応え、迅速にタイヤ交換を行うと、大嶋をコースに戻していった。
 ここからはいかにクリーンエアのなかで高いペースを保ち、レース後半以降にタイヤ交換を行うライバルたちを抑えることができるかが勝負どころ。そんななか、前日からクルマに好感触を得ていた大嶋は、好ペースでレース中盤を戦っていった。
 41周のレースのうち、26周を終えて全車がピット作業を終えると、少しずつポジションを上げていた大嶋の順位は11番手。あとひとつ順位を上げることができればポイント獲得だ。ただ、後方からはこのところ近い順位を走ることが多い#7 小林可夢偉が接近。30周目に先行を許してしまい、大嶋は12番手に。ポイント獲得を目指し、大嶋はレース序盤にも競り合った#55 松下をはじめとした集団とのバトルを戦っていくことになった。
 大嶋はレース終盤の40周目、1コーナーから4コーナーにかけての攻防でついに#55 松下をオーバーテイクし、これで11番手にポジションアップ。終盤に至ってもタイヤのグリップは損なわれておらず、大嶋は高ペースを保ったまま、チェッカーまで10番手につけていた#7 小林を追った。
 しかし41周のレースを終え、大嶋は#7 小林には届かず11位でチェッカーを受けることになった。予選でも決勝でも目標に1ポジション届かず、大嶋とdocomo business ROOKIEにとっては悔しいオートポリス戦となってしまった。
 ただクルマのポテンシャルは間違いなく昨年より高くなっている。次戦の舞台は、昨年4位に入りチーム全体が喜びに沸いたスポーツランドSUGOでの一戦だ。「ハードルが高くなっています(苦笑)」と大嶋はまずは目標達成を掲げたが、それでも期待せずにはいられないだろう。


DRIVER  大嶋 和也 Kazuya OSHIMA
「決勝日のフリー走行からフィーリングも良かったですし、リヤのグリップ感が高かったので、レースも期待していました。ただ、決勝ではやはりもう少しリヤの感触が欲しかったですね。スタート直後は位置取りが良くなくて順位を落としてしまいましたが、序盤をのぞきペースは悪いものではなかったと思います。予選でもわずかにQ2に届かなかったですし、ポイントに届かなかったのは悔しいです。次戦はスポーツランドSUGOでのレースですが、昨年のこともあったので少しハードルが高くなってます(苦笑)。でも今年の流れから考えると、まずはQ2進出、そしてポイントを獲ることができれば良いかな、と思っています。もちろん昨年以上を目指したいところはありますが、余計なことをせず着実にできることをやって、ポイント獲得を目指したいです」

DIRECTOR 石浦 宏明 Hiroaki ISHIURA
「今回は予選もQ2進出にわずかに足りない悔しさがありましたし、決勝でも目の前までポイントがあったので、こちらも悔しい展開となってしまいました。レースペースは非常に良く、戦略でもかなり多くの台数をアンダーカットができました。終盤までタイヤも保っていたので、クルマとしてはかなり戦闘力があったと思います。今まではレースで苦しくなることがありましたが、ペースを保つことができたのはポジティブなところです。スタート直後の混乱で順位を落としたことなど、ロスもありましたが、それがなければポイントに届いたのではないでしょうか。予選から少し流れに恵まれませんでしたが、チームとしては着実にレベルアップしていると思うので、結果はいずれついてくると思っています」