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2022 AUTOBACS SUPER GT 第8戦 MOTEGI GT 300km RACE GRAND FINAL

<練習走行 11月5日(土) 天候:晴れ 路面:ドライ>

4月に岡山国際サーキットで開幕した2022年のSUPER GTは、いよいよ最終戦を迎えた。優勝を飾った第1戦から長いシーズンを戦い、TGR TEAM ENEOS ROOKIEはこのモビリティリゾートもてぎでの第8戦に、チャンピオンの権利を残して臨むことになった。
 とはいえ、そのハードルは非常に高い。ランキング首位の#3 Z GT500とのポイント差は20点。ENEOS X PRIME GR Supraの大嶋和也と山下健太がチャンピオンを獲得するためには、まず大前提として11月5日(土)の公式予選でポールポジションを獲得し、1ポイントを獲得する必要があった。これが実現できない時点でチャンピオンの権利を失ってしまう。
 TGR TEAM ENEOS ROOKIEはそんな一戦に向け、セットアップを施しもてぎに持ち込んだ。今回のもてぎからはパドックエリアにもファンの来場が実現し、晴天のもとひさびさにSUPER GTらしい盛り上がりをみせるなか、午前9時35分からの公式練習に臨んだ。ENEOS X PRIME GR Supraはまず大嶋が乗り込みチェックを行っていくが、フィーリングは悪いものではないにしろ、いかんせんタイムが出てこない。3回のピットイン〜アウトを行いながらセットアップの改善を行っていき、17周を終えてピットイン。山下に交代した。
 山下も3回のピットインを行いながら、GT500専有走行の時間に1分36秒981というタイムを記録する。バランスは悪いものではなかったが、結果は10番手。トップタイムからは0.768秒のギャップがある。
 ポールポジション獲得というミッション達成のためには、まずはQ1を突破しQ2へ進出することが必要だ。感触は悪くないもののタイムが出ない……というのは、あまり良くないパターンにあたる。TGR TEAM ENEOS ROOKIEは当初、Q1を大嶋で突破し、Q2で山下にポールポジション獲得を託す予定だったが、急遽変更。予選Q1のアタッカーに山下を据えることになった。


<公式予選:11月5日(土) 天候:晴れ 路面:ドライ>

公式練習の後、フルコースイエローの訓練の時間も使い、ENEOS X PRIME GR Supraに速さをもたらすべく改善を続けていったTGR TEAM ENEOS ROOKIEは、午後3時53分からの公式予選Q1に臨んだ。この時季らしく陽が傾き、路面温度が急速に下がっていく一方で、路面にはラバーが乗りタイムも上がる。コンディション変化を読みながら、アタッカーの山下はENEOS X PRIME GR Supraを駆りQ1へ向かっていった。
 山下は5周目、1分38秒084を記録すると、6周目に渾身のアタックを展開していく。マークされたタイムは1分36秒441。しかし、上位陣は1分35秒台に入っている状況で、ENEOS X PRIME GR Supraの順位は11番手というものになってしまう。そしてこのチェッカーを受けた瞬間、ENEOS X PRIME GR Supraの2022年のチャンピオンの芽は潰えることになってしまった。
 しかもQ1を終えてみると、同じブリヂストンタイヤを履くGR Supraは山下を先頭に11番手から15番手までを占める結果となってしまった。決勝、そして2023年シーズンに向け、タイムが出ない原因の究明が急がれる予選結果となってしまった。


<決勝レース:11月6日(日) 天候:晴れ 路面:ドライ>

感触は悪くないものの、ENEOS X PRIME GR Supraと同じブリヂストンを履くGR Supra勢が予選で揃って下位に沈むまさかの展開となった予選日を終え、TGR TEAM ENEOS ROOKIEは11月6日(土)の決勝日を迎えた。爽やかな晴天に恵まれ、最終戦を見届けようと2万6000人ものファンがスタンドを埋めるなか、午後1時から決勝の火ぶたが切られた。
 ENEOS X PRIME GR Supraのスタートドライバーを務めたのは大嶋だが、決勝に向けチームは、苦境を打開し、来季に繋げるヒントを得ようと、今季一度も試したことがない大幅なセットアップのトライを行い大嶋を送り出した。GR Supra勢のなかにも、ブリヂストン勢のなかにも速い車両はいるのは予選で分かった。ならば、できることがあるはずだ。そんな期待を背負いスタートした大嶋は、レースが始まった直後から好フィーリングを感じ取る。前方で1台が接触でスピンを喫するなか、9番手でオープニングラップを終えると、前を行く#17 NSX-GTを追っていった。
 レースは8周目を終える頃になると、前方にはGT300クラスの集団が迫るが、そんななかアクシデントが起きる。大嶋の2台後方にいた#36 GR SupraがGT300車両と接触。4台が巻き込まれる多重クラッシュが起きてしまったのだ。このアクシデントの処理のためセーフティカーランとなるが、その最中にはストレートでさらにGT300車両のアクシデントが起き、21周目まで長いセーフティカー導入となった。そんななか、直前に#16 NSX-GTを先行していた大嶋は、さらに先行する1台がペナルティで、1台が接触でピットに戻ったこともあり、一気に4番手に浮上する。
 リスタート後にはすぐにピットイン可能なタイミングとなり、ENEOS X PRIME GR Supraも22周を終えピットイン。大嶋から山下に交代する。ここでピットは抜群の作業をみせ、翌周ピットインした#17 NSX-GTを先行。4番手に復帰した。
 レース後半もENEOS X PRIME GR Supraの勢いは止まらない。セットアップ変更で好ペースを手にしていた山下は、ピットインを終えた陣営のなかでトップを走る#100 NSX-GT、2番手の#12 Z GT500を追撃していく。#100 NSX-GTが燃費をセーブしていたこともあってか、トップ3のギャップは接近。三つ巴のトップ争いを展開するしてみせた。
 37周目には全車がルーティンの作業を終え、ENEOS X PRIME GR Supraは3番手につけたが、後方からは序盤のペナルティで順位を落とし、チャンピオン獲得のために猛追をみせていた#3 Z GT500が近づいてきた。ただ山下のペースはトップ2を抜くまでには至らないものの、終始衰えず、#3 Z GT500を退けチェッカー。今季最終戦を表彰台で終える3位フィニッシュを果たした。
 予選の結果により、チャンピオンの可能性はなくなっていたものの、この3位でENEOS X PRIME GR Supraはランキング5位で終えることになった。GR Supra勢の最上位だ。
 シーズンを攻めた表彰台で終えることになり、チームは満足げな表情を浮かべたが、一方でこの戦いをシーズンの早い段階から展開できていれば、また違った結果が見えていたかもしれない。改善点はまだまだある。
 2022年のSUPER GTはこれで一年を終えることになったが、2023年こそ目標のチャンピオンを手に入れるべく、チームはしばし雌伏の時季を迎えていくことになった。


ドライバー/監督コメント

DRIVER 大嶋 和也 (Kazuya Oshima):「3位表彰台で終えることができましたが、正直少し驚きました。予選が終わった後、『このままではダメだ』と、今回も、もちろん来季に向けてもいろいろな改善を考えていきました。GR Supraでも速いクルマがいて、ブリヂストンでも速いクルマがいたので、もっと良い使い方があるはずとトライした結果、今回については正解だったのだと思います。結果を残すことができましたし、来季に向けても方向性をさらに探ることができれば、さらに強くなれると思っています。今季こそチャンピオンを獲りたいと開幕戦で勝ち、途中悔しい思いもしましたが、最後に表彰台を獲ることもできましたし、チームの力を出すこともできた。良いシーズンにはなったのではないでしょうか」

DRIVER 山下 健太 (Kenta Yamashita):「予選で悔しい思いをしたので、決勝レースに向けては今まで試したことがないようなセットアップ変更を行った結果、クルマがすごく良くなりました。また展開にも恵まれていたと思いますし、ピットワークもすごく速かったことで順位を上げることができました。自分がピットアウトした時点で上位でしたし、表彰台で終えられて良かったです。来季に向けたレースになったのではないでしょうか。シーズンを振り返ってみると、他車と走ると良く分かるのですが、速さの面で負けているところが多かったです。エンジンについても、セットアップについても、今回の例をみても分かるとおりまだまだ先があると思っています。いろいろなところで向上しなければいけないと思うので、それを踏まえてオフシーズンも頑張りたいと思っています」

DIRECTOR 高木 虎之介 (Toranosuke Takagi):「決勝レースでは『目標は表彰台』と言っていたのですが、あの予選順位から良く追い上げてくれたと思います。まさか本当に乗れるとは正直思っていませんでした。前からスタートしてあの順位だったら残念だったかもしれませんが、11番手からですからね。悔いが残らない最終戦の結果になったのではないでしょうか。今シーズンも開幕戦で優勝することができましたが、昨年はシーズン途中に苦しい思いをしてきました。今季はそれでも、ポイントを落とさず途中までチャンピオンを争うことができました。ただ、重要な終盤戦は苦しかったですね。とはいえチームもミスなく、今回もタイヤ交換がすごく早かったです。チーム力が上がっていることを実感しましたし、今季得たものをしっかりと来季に繋げていきたいと思っています」


SUPER GT 第8戦 茂木リザルト


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