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2022 AUTOBACS SUPER GT 第7戦 FAV HOTEL AUTOPOLIS GT 300km RACE

<公式練習:10月1日(土) 天候:晴れ 路面:ドライ>

9月17〜18日に開催された第6戦SUGOでは、思わぬ苦戦を強いられてしまい、ポイント獲得までわずかに届かなかったTGR TEAM ENEOS ROOKIE。チャンピオン争いに残るためには、残す2戦で大きなポイントを獲得しなければならない。そのためにも負けられない第7戦の舞台は、大分県日田市のオートポリス。アップダウンと中速コーナーが続く、タイヤに厳しい特異なコースだ。
 とはいえ、TGR TEAM ENEOS ROOKIE、そして大嶋和也にとっては相性の良いコースのひとつ。さらに、これまで苦しめられてきたサクセスウエイトも半減した。チームは優勝を狙うセットアップを施し、10月1日(土)の走行開始に備えた。
 すでに季節は10月だが、気温は25度を超える汗ばむ陽気のなか、午前9時20分に公式練習がスタートした。ENEOS X PRIME GR Supraは山下健太がステアリングを握りコースイン。二度のピットインを行い、1分34秒525というベストタイムを記録した後に大嶋に交代すると、2回のピットインを経て、このオートポリスでは非常に重要となるロングランをトライ。セットアップを進めていった。このコースは決勝ペース、さらに予選グリッドも非常に重要となる。どちらもバランスをとることが重要だ。
 大嶋は終盤、専有走行の時間帯にアタックシミュレーションに臨むが、#3 Z GT500のストップや、#17 NSX-GTのクラッシュもあり赤旗中断が相次ぐことに。もちろん他チームも同様に予選に向けた最後の調整を行えなかったが、その後に行われたフルコースイエローのテスト、サーキットサファリの時間では山下がENEOS X PRIME GR Supraのステアリングを握り、限られた走行時間を有効に使いながら、午後の予選に向けたセットアップを確認していった。
 公式練習の順位は6番手。中盤戦ではずっと予選Q1突破がならず、悔しい予選日を送ることが毎戦に続いていたが、今回はQ1突破を果たすことができる感触を得ることができていた。


<公式予選:10月1日(土) 天候:晴れ 路面:ドライ>

迎えた午後3時からの公式予選。開始時の気温25度、路面温度40度という暑さのなか、午後3時33分からGT500クラスのQ1がスタートした。今回Q1のアタッカーを務めたのは大嶋だ。セッション残り5分でコースインすると、タイヤをウォームアップさせ3周目にアタックを展開。感触も良く、1分32秒440というタイムを記録し6番手へ。チームにとって6戦ぶりとなるQ2進出を果たしてみせた。
 GT300クラスのQ2をはさみ、午後4時11分にスタートしたGT500クラスのQ2。陽が傾くなか、これまでQ1で多くの悔しい思いをしてきたアタッカーの山下は、それまでの悔しさをぶつけポールポジション獲得を目指すべく、残り4分でコースインすると、同様に3周目にアタックに入っていった。ただ「少しウォームアップが早すぎました」とセクター1、2こそ好感触で通過するも、セクター3ではタイヤのグリップダウンが始まっており、苦しいドライブを強いられてしまう。それでも1分32秒119というタイムを記録したが、僅差のなか5番手という順位に。ポールを狙っておいりさらに0.1秒速ければ3番手だっただけに山下は悔しがったが、決勝の上位進出に期待を高めることになった。


<決勝レース:10月2日(日) 天候:晴れ 路面:ドライ>

ひさびさにトップ争いができる感触を得て、迎えた10月2日(日)の決勝日。1万1000人もの来場者を集め、朝からサーキット周辺の道路が混雑するなど賑わいをみせるなか、当初予定から5分遅れとなる午後1時35分、決勝レースのスタートを迎えた。この日のオートポリスも晴天で、気温26度、路面温度46度というコンディションのなか、スタートドライバーを務めた大嶋はグリーンシグナルとともにENEOS X PRIME GR Supraのアクセルを踏み込んだ。
 オープニングラップをグリッドどおりの5番手で終えた大嶋は、前を走る#17 NSX-GTを追っていくが、3周目を過ぎたあたりから6番手につけるランキング2位の#12 Z GT500が大嶋の背後を脅かしにかかる。しかし8周目、前方にGT300クラスの集団が近づくと、このトラフィックをうまく使いながら大嶋はポジションをしっかりと守っていった。フィーリングも決して悪いものではなく、大嶋はトップグループ同様のラップタイムで走行を続けていくも、16周目にはGT300クラスのアクシデントの処理のためにフルコースイエローが導入される。このタイミングは大嶋にとってはあまり良いものではなく、前にGT300車両がおり、ややギャップが広がってしまった。ただ、序盤戦の上位陣の順位は膠着状態。多くのチームがトラフィックを避けるべく早めのピットインを行う作戦を採っていくことになるが、ENEOS X PRIME GR Supraも同様で22周を終えると大嶋はピットイン。ひとつでも順位を上げるべく、チームもピット作業を迅速に行い、山下をコースへ送り出した。
 この作戦が功を奏し、ENEOS X PRIME GR Supraは後半戦に向けポジションをひとつ上げ、4番手につける。あとひとつ順位を上げれば表彰台圏内だが、トップ3とは少し間隔があり、逆に後方からは序盤からポジションを争っていた#12 Z GT500、ピットイン後に順位を落としていた#19 GR Supraが近づいていった。山下は長いスティントでタイヤを守りつつ、順位も守るというミッションを着実にこなし、レース終盤を迎えていった。
 そんななか、レースが51周目に入るところで、ふたたびGT300車両のストップによりフルコースイエローが入る。またもGT300車両が前におり不利な状況で、リスタート後も山下の背後からは#12 Z GT500が接近しバトルとなったが、しっかりと抜きどころを抑え、4番手を死守していった。
 しかしレースも残りわずかという63周目、グリップダウンに苦しむ山下に対し、ついに#12 Z GT500が並びかけてきた。1コーナーから3コーナーにかけて2台はサイド・バイ・サイドの戦いを展開するが、イン側を死守した山下に対し、#12 Z GT500はアウト側の汚れた部分に入ってしまいコースアウト。この間に山下の背後には#19 GR Supraが浮上してきた。
 さらにタイヤが苦しくなるなか、#19 GR Supraはチェッカーまで猛攻を仕掛けてくるが、最後まで集中を保った山下は4番手を死守。最後は0.576秒差で#19 GR Supraを下し、ENEOS X PRIME GR Supraは4位でフィニッシュした。
 惜しくも表彰台は届かなかったが、この4位で大嶋/山下組は8ポイントを加算。チャンピオン争いにかろうじて踏みとどまることになった。長いシーズンも残すは最終戦のみ。開幕戦のようにポール・トゥ・ウインを飾り、あとは他車の結果を待つのみ。TGR TEAM ENEOS ROOKIEは奇跡の逆転を目指し、最終戦に挑む。


ドライバー/監督コメント

DRIVER 大嶋 和也 (Kazuya Oshima):「サクセススウェイトも半減し、フィーリングもかなり良くなっていました。昨年とは異なるセットアップで臨みましたが、その感触も良く、今季これまで取り組んできたことを活かしながら臨みました。レースでは優勝を狙っていただけに追い上げられず悔しいところではありますが、思っていたよりもタイヤの摩耗も苦しかったですし、まわりのタイムを見るとこれが僕たちの今回の限界だったのかな、と思います。しかしそんななかでも山下選手が最後までタイヤが苦しいなかでも順位を守ってくれました。やれるだけのことはやれたのではないでしょうか。チャンピオン争いの可能性も残りましたが、他力本願なところもあるので、そこは気にせず、最後は優勝してシーズンを終えられるように頑張っていきたいと思っています」

DRIVER 山下 健太 (Kenta Yamashita):「予選ではポールポジションを狙っていましたが、少しウォームアップが早すぎてしまって。セクター3ではかなりタイヤが厳しくなってしまいました。予選に向けて感触は良かっただけに悔しいですね。決勝については、優勝を狙っていたものの、そこまでのペースはなく、長い後半スティントのなかで残り5周あたりからかなり苦しくなってしまいました。しかしそこでなんとか抜かれず、チャンピオン争いに残ることができました。相手次第なところはありますし、運によるところも多くはなりましたが、可能性を残すことができたのは良かったです。この週末はGR Supra勢が苦しい状況でしたが、そのなかで最上位で終えることができたのは良かったですね。最終戦もてぎでは、もうポールポジションから優勝を目指すだけです。頑張ります」

DIRECTOR 高木 虎之介 (Toranosuke Takagi):「表彰台に乗りたかったところですけどね。そんななか、終盤非常にタイヤが苦しくなるなかで、なんとか山下選手がポジションを守り切ってくれて良かったです。チャンピオン争いの臨みもギリギリで残すことができましたし、最終戦でポール・トゥ・ウインができれば何かが起きるかもしれません。望みを捨てずに戦っていきたいですね。もちろん今回はサクセススウェイトも半分になったので、本来もっと結果が欲しいところではありましたが、まわりも速かったです。また、今回のレースではフルコースイエローが入るたびに前にGT300車両がいたりと、アンラッキーな部分もあったレースでした。そんななかでもこうしてしっかりとレースウイークを戦いきることができたので、その点は前向きにとらえています」


SUPER GT 第7戦 リザルト


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