NEWS & REPORT

2022 AUTOBACS SUPER GT 第4戦FUJIMAKI GROUP FUJI GT 100Lap RACE

<公式練習:8月6日(土) 天候:曇り 路面:ウエット/ドライ>

8位3ポイントをもぎとり、ランキング首位タイを死守した第3戦鈴鹿から2 ヶ月超。2022 年のSUPER GT は、長いインターバルを経て第4戦となる富士スピードウェイでの一戦を迎えた。シーズン中のこれほどまでに長いインターバルは珍しいが、その間もTGR TEAM ENEOS ROOKIEは他カテゴリーのレースを戦いつつ、SUPER GT での中盤戦を戦うためにしっかりと準備を整えてきた。シリーズはここまで3戦を終え、ライバルたちも少しずつサクセスウエイトを積み始めている。そのなかでしっかりと大きなポイントを積み重ねることが、チャンピオンに向けても重要だ。特にこの第4戦、そして続く第5戦はレース距離も長く、ポイントも大きい。

 そんな一戦は8月6日(土)午前9時からの公式練習からスタートした。前日から小雨模様だった富士スピードウェイだが、この日は朝から濃い霧が立ちこめ、一時は公式練習開始がディレイするのではないかとも思われたが、オンスケジュールでスタートした。ただ開始直後はわずかに路面に濡れたところが残っている状況。そんななか、ENEOS X PRIME GR Supra は山下健太がステアリングを握りコースイン。開始後すぐにスックに交換すると、セットアップを調整しながら走行。21 周目、1 分28 秒596 というベストタイムをマークし、大嶋和也に交代する。ENEOS X PRIME GRSupra のフィーリングは悪いものではなく、大嶋も継続してセットアップを煮詰めていった。

 大嶋は最後に10 分間設けられた専有走行ではアタックは行わず、継続して行われたフルコースイエローの訓練、さらにひさびさにSUPER GT に復活したサーキットサファリで大嶋が継続してステアリングを握り、午後の公式予選に向けセットアップを煮詰め続けていった。

 公式練習でのENEOS X PRIMEGR Supraの順位は12番手。長いレースとは言え、午後の公式予選ではQ2進出を目指すべく、チームは作業を続けていった。


<公式予選:8月6日(土) 天候:晴れ 路面:ドライ>

午前同様、曇り空のもと迎えた午後3時からの公式予選。GT300 クラスのQ1 に続き午後3時35 分にコースオープンとなったGT500クラスのQ1 に、ENEOS X PRIME GR Supra は大嶋をアタッカーに据えた。

午後に入っても気温は21 度ほどで、本来想定していたものよりは低いが、大嶋は4周をウォームアップに費やし、5周目にアタックを仕掛けていく。

 ここで大嶋は1分27 秒706 というタイムをマーク。さらに翌周には再度アタックを展開すると、1分27 秒683 までタイムを縮めていった。しかし、今回からENEOS X PRIME GR Supra はサクセスウエイトが52kg を越え、燃料流量リストリクターが絞られている。そのためライバルよりもパワーの面で厳しくなっていた。
それが響いたか、終わってみればENEOS X PRIME GR Supra は10番手。Q2 進出はならなかった。

 とはいえ、フィーリングは悪いものではない。「あとほんのわずか足りなかったが、細かいところをエンジニアと相談して詰めていきたい」と大嶋は前を向いた。決勝レースは100 周の長丁場。挽回を目指し、TGR TEAM ENEOS ROOKIE は決勝に向けて準備を進めた。


<決勝レース:8月7日(日) 天候:晴れ 路面:ドライ>

4迎えた8月7日(日)の決勝日。この日は豊田章男オーナーも朝からサーキットを訪れた。「今年初めて現地で観るチャンスに恵まれました。いろいろなハンディキャップはあるものの、大事な一戦になります。ぜひ皆さんがふだんやっている姿を観せてもらおうと思います。そして僕にも元気を与えてください」とチームを激励した。

そんな思いに応えるべく、TGR TEAMENEOS ROOKIE のメンバーは気合も新たに、午後2時からの決勝レースに臨んだ。ただ、スタート直前に小雨が舞ったことから、フォーメーションラップが1周増やされ、レースは99周で争われることになった。

 ENEOS X PRIME GR Supra のスタートドライバーを務めたのは山下。

1周目に#100 NSX-GT をかわした山下は、他車のペナルティで8番手にポジションアップ。さらに8周目には#36 GR Supra をかわし、7番手につけていった。
序盤からアクシデント等はなく、緊迫した戦いのなか山下は序盤のレースを戦っていくが、燃料流量リストリクターのハンデの影響も事前の予想ほどではなく、ポールポジションスタートの#19 GR Supra との差を詰めていくと、28 周目にはこれをオーバーテイク。6番手にまで浮上した。

 今回のレースでは2回の給油をともなうピットストップが義務づけられているが、チームはピットインのタイミングをうかがうと、37 周を終え山下を呼び戻した。チームは序盤の頑張りに応え、パーフェクトなピット作業を披露。大嶋和也に交代した。

 前日の予選後には「あと少し」が欲しいと語っていた大嶋だが、チームは期待に応えフィーリングは良好。前を走る#17 NSX-GT に照準を合わせると、52 周目にはこれをかわし6番手に浮上。上位陣は僅差のなかでの争いとなったが、ポイント争いに食らいつく走りを終盤まで続けていった。大嶋は72 周まで走りきり、ふたたびENEOS X PRIME GR Supra をピットに向ける。チームはパーフェクトな作業で大嶋から交代した山下を送り出したが、ライバル勢のなかでは、この2回目のピット作業でドライバー交代を行わなかったり、タイヤ無交換作戦を採るなど、奇策を採るチームが現れ始めた。

 山下は終盤の最終スティントに向けて8番手につけ、前を行く#8 NSXGTを追った。そんななか80 周目、#39 GR Supra がピット作業を行い、山下の前に出る。こちらは最後のピットストップの際、タイヤ無交換作戦を採ってきた。GT500 ではあまり採用されない作戦で、山下は消耗したタイヤの#39 GR Supra をオーバーテイクするべく、ENEOS X PRIME GR Supra をプッシュさせていく。

 しかし相手もこの作戦を成功させるべく入念に準備を進めてきた。最後まで山下は#39 GR Supra を追いつめたものの、1.850 秒届かず、最後はENEOS X PRIME GR Supra は7位のままフィニッシュした。

 この結果、今回優勝した#37 GRSupra に対しポイントランキング首位を明け渡してしまうことになった。高木虎之介監督は「6位に入れればランキング首位は守れたんだけど」とやや悔しそうな表情をみせたが、それでも現状のサクセスウエイトではベストとも言える戦いぶりに、チーム全体を賞賛した。

 もちろんそれは、最後までレースを見守った豊田章男オーナーも同じ思い。ピットに戻ってきた山下をグータッチで迎え、中盤戦の大事な一戦で結果を残したチームをねぎらった。


ドライバー/監督コメント

DRIVER 大嶋 和也 (Kazuya Oshima):「事前の予想よりも予選の成績も良かったと思いますし、サクセスウエイトを考えると比較的良い成績が残せたのではないかと思っています。フィーリングも悪くなかったですし、クルマも決勝に向けて『もうひと声欲しいな』と思っていたところ、ロングランのセットアップを大胆に変えたことが功を奏したと思います。燃料流量リストリクターのハンデが入りストレートで苦しい部分はあったものの、バトルもできましたし、最後も届きませんでしたが追い上げもできていました。荒れる展開ではなかったですが、そのなかでは良い成績が残せたと思います。僕たちのクルマは鈴鹿サーキットでは戦える雰囲気があるので、今回ランキング首位は明け渡したものの、次戦それを取り返せるようにしたいと思っています」

DRIVER 山下 健太 (Kenta Yamashita):「サクセスウエイトのハンデは厳しいものがあったので、予選では10 番手という結果になりましたが、ウエイトを換算してみるとトップとも近いタイムだったと思いますし、悪いものではなかったと思っています。決勝レースについても、サクセスウエイトが厳しいなりに淡々と戦うような展開でしたが、ピットもノーミスで作業をしてくれましたし、最終的に3ポジションアップでフィニッシュすることができました。最後は#39 GR Supra がタイヤ無交換作戦を採ってくることは分かっており、僕たちはタイヤ交換をして抜けると思っていたのですが、残念ながら届きませんでしたね。次戦はまたハンデが厳しくなりますが、ここから1ポイントをもぎとっていく戦いになると思うので、難しい戦いになりますが、なんとか頑張っていきたいと思います」

DIRECTOR 高木 虎之介 (Toranosuke Takagi):「今回は燃料流量リストリクターが1ランクダウンでのレースで、当初のチームとしての目標は5位だったのですが、今回残すことができた7位という結果は、悪くないものだったのではないでしょうか。ピット作業も2回ともノーミスでしっかりと仕事をこなしてくれましたし、すべてがうまくいってのこの結果ですからね。もちろん6位になれればそれが最高な結果でしたが、こうしてポイントも積み重ねることができ、ドライバーふたりも頑張ってくれたと思っています。これからはまた毎戦が正念場になりますし、次戦鈴鹿もまた同様に厳しいレースになると思います。そんななかでも1ポイントでも2ポイントでももぎとっていきたいですし、チーム一丸となって頑張っていきたいですね」


SUPER GT 第2戦 富士スピードウェイ リザルト


ROOKIE Racing の活動は、多くの皆さまのご協力によって支えられています