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2022 AUTOBACS SUPER GT 第5戦FUJIMAKI GROUP SUZUKA GT 450km RACE

<公式練習:8月27 日(土) 天候:曇り 路面:ドライ>

2022 年のSUPER GT は、いよいよシリーズ後半戦を迎えた。僅差の争いの長丁場のレースを戦い抜き、7位に食い込んだ第4戦富士を終え、TGR TEAM ENEOS ROOKIE のランキングは、首位と1ポイント差の2位となっていた。

シーズン後半戦幕開けのレースとなる第5戦鈴鹿は、伝統の夏の耐久レース。第4戦同様450km というレース距離で争われるが、厳しい暑さとの戦いでもある。そんな一戦の舞台となる鈴鹿サーキットは、テクニカルではあるがパワーが必要なコース。ENEOS XPRIME GR Supra はサクセウエイトが50kg を越えており、燃料流量リストリクターが絞られた状態で中盤戦を戦っている。一発の速さはどうしてもウエイトが軽いライバルに劣ってしまうが、それでも長いレースだけに挽回のしようもある。

チームは曇り空ながら気温30 度を超える暑さのなか、8月27 日(土)の予選日を迎えることになった。

 午前9時25 分からスタートした公式練習は、まずは大嶋和也がENEOS X PRIME GR Supra のステアリングを握りコースイン。午後の予選に向けたセットアップを進めていく。二度のピットインを行った後、10 周目からはロングランをトライしていった。大嶋は20 周をこなした後、山下健太に交代。こちらも決勝を見すえたロングランを行っていくと、GT300クラスの専有走行に向けピットへ。GT500 クラスの専有走行でアタックシミュレーションを行った。ここで山下は1分47 秒647 を記録するも、結果は13 番手。続くフルコースイエローの訓練ではふたたび大嶋がドライブしセットの煮詰めを続けていったが、やはり燃料流量リストリクターの影響が大きく、コース1周が長い鈴鹿とは言え、上位とは差がある。決勝も450km という距離だが、予選順位もレースに向けては重要だ。チームはQ2 進出を目標に据え、さらに午後の公式予選に向けてENEOS X PRIME GR Supra を仕上げていった。


<公式予選:8月27 日(土) 天候:曇り 路面:ドライ>

この日は公式練習でGT500 の専有走行直前に赤旗中断があった影響で、タイムスケジュールはややずれ込み、当初予定から20 分遅れとなる午後3時20 分から公式予選がスタートした。GT300 クラスの予選Q1 スタート時には気温31 度と、やはり厳しい暑さのなかでのセッションとなった。

 午後3 時53 分からスタートしたGT500 クラスの公式予選Q1。

ENEOS X PRIME GR Supra は山下がQ1 のアタッカーを務めた。開始から5分というタイミングでコースインした山下は2周をウォームアップに使い、3周目にアタックを仕掛けた。ここで山下は1分46 秒211 というタイムを記録したが、上位陣は1分45 秒台に入っている。終わってみればENEOS X PRIME GR Supra の順位は14 番手。目標としていたQ2 進出には届かず、そのまま予選を終えることになってしまった。

 予選後、山下は「 明日巻き返すための作戦を考え、取り返していきたい」と語れば、大嶋も「僕たちもしっかりポイントを獲らなければならない。まずは追い上げるためにも、みんながミスなく戦えるようにしよう」とチームを鼓舞し、翌日の決勝に向けて準備を整えていった。


<決勝レース:8月28 日(日) 天候:晴れ 路面:ドライ>

48月28 日(日)の決勝日、鈴鹿サーキットは午前中こそ薄曇りだったものの、昼ごろから晴れ間が広がり、気温28 度、路面温度39 度という暑さのなかで午後2時30 分からの決勝レースを迎えた。直前のウォームアップ走行でENEOS X PRIME GR Supra のフィーリングを確認し、スタートドライバーを務めた山下健太は14 番手からスタートを切っていった。

 しかしオープニングラップ、まさかの光景が飛び込んでくる。

GT500 の集団のなかにいるはずのENEOS X PRIME GR Supra が、コース上でストップしているのだ。1周目の攻防のなかで11 番手スタートの#37 GR Supra、15 番手スタートの#12 Zとバトルを展開する最中、2台に挟まれるかたちとなってしまい、スピンを喫してしまったのだ。

 幸いダメージはなく、山下は集団を追いかけていく。空いたスペースを走っていたことから順調に前との差を詰めていったが、実は今回、チームは攻めた作戦を用意していた。

450kmのレース距離で2回の給油をともなうピットストップが義務となっていたが、チームは8周目に山下をピットに呼び戻したのだ。ここで給油のみのピット作業を行うと、ふたたび山下がステアリングを握ったままピットアウトしていった。同様の作戦は#8 NSX-GT も採っていたが、1回目の給油ピット義務を実質的なタイヤ無交換作戦でこなし時間を短縮。後半を担う大嶋のスティントも長くはなるが、ペースが悪くなければジャンプアップも可能な作戦だ。山下はその後も着実に周回を重ねていくと、通常の均等割りに近い作戦で走るライバルたちに先行されることはあっても、他車のピットイン等もあり34周目には6番手まで浮上。ポイント圏内を見据え始めた。

 今回の鈴鹿はアクシデント等も少なく、中盤までフルコースイエローやセーフティカーが出ないまま推移していった。そんななか、山下は42 周という長丁場を走り切るとピットに向かい、大嶋に交代。タイヤ交換、給油を済ませピットアウトした。この時点でラップダウンにはなってしまったが、他車のピットインで入賞圏内まで取り戻すことも可能な展開となっていた。
しかし49 周目、130R でGT300クラスの車両が激しくクラッシュしてしまい、レースはセーフティカー導入となってしまった。通常早めにピット作業をこなしていた場合は有利になることも多いのだが、それはあくまで周回遅れになっていない場合。セーフティカーによって一度上位は僅差に整えられるが、同一周回ならばチャンスになるものの、今回ラップダウンとなっていたため1周差で隊列が組まれてしまい、挽回のチャンスが奪われてしまった。

 レースは54 周目にリスタートを迎えたものの、同様の作戦を採っていた#8 NSX-GT が13 番手、ENEOS XPRIME GR Supra が14 番手という位置となってしまった。大嶋はあきらめずに戦いを続けていったものの、リカバリーのチャンスはなく、14 位でチェッカーを受けることになった。

この結果、ポイント獲得はならずENEOS X PRIME GR Supra はランキング5位まで後退することになってしまった。ただ全体的にランキングは混戦で、TGR TEAM ENEOSROOKIE に逆襲のチャンスはまだ3戦残されている。「今回やってみてうまくいかなかったのは仕方ない。残り3戦あるので、切り替えてしっかり戦っていきましょう」と豊田大輔GM はチームを勇気づけた。


ドライバー/監督コメント

DRIVER 大嶋 和也 (Kazuya Oshima):「クルマとしては悪いものではありませんでしたし、タイヤ選択として難しい面はあったものの、レースまでにしっかりと戦えるクルマを作ってきたと思います。ポイントを獲れるくらいポテンシャルを上げてきたつもりでしたが、難しいレース展開でした。14 番手からのスタートだったこともあり、攻めた作戦を採っていきましたが、特にセーフティカーのタイミングが僕たちには味方せず、勝負権を失うことになってしまいました。悔しいですが、こればかりはどうにもなりません。なんとか次戦以降に向けて良いクルマを作っていきたいですし、周囲のライバルもいよいよ重くなってきました。チャンピオンを狙うならば今後の結果はマストですし、得意のスポーツランドSUGO、オートポリスと続くので、どちらも表彰台に乗れるくらいに攻めていきたいです」

DRIVER 山下 健太 (Kenta Yamashita):「公式予選ではQ1 突破を目指していましたが、なかなか厳しかったですね。結果的に14 番手となりましたが、良いところはあり、コーナリングでもライバルに負けていないところもありました。でも、順位はサクセスウエイトなりの結果になってしまいましたね。レースでは1周目、2台に挟まれヒットされるかたちとなり、スピンしてしまいました。その後はレース展開にも泣かされてしまいましたが、悔しいです。セーフティカーが入った場所が良くなかったのかもしれませんが、あまり良い流れが来ませんでした。次戦からは長いレースはありませんし、単純に速いチーム、速いドライバーが勝つレースになってくると思います。しっかりと戦って、ポイントランキングも取り返していきたいです」

DIRECTOR 高木 虎之介 (Toranosuke Takagi):「セーフティカーランに泣かされてしまう結果となってしまいました。あの展開になってしまうと、パフォーマンスがあるチームなのかそうでないのか分からなくなってしまいますね。2回目のピットストップを行って、先頭集団からラップダウンの状態になっていたので、その後セーフティカーが入ってしまうともう周回遅れのままになる。優勝は無理だったにしろ、6〜7位くらいまでは行くチャンスがあったかもしれないだけに悔しいです。スタート直後のスピンも誤算でした。もちろん仕方がないことでしたが。クルマのパフォーマンスも悪くはなかったものの、それを活かし切れなかったです。ポイントランキングでも5位になってしまいましたが、ここが耐えどころだと思っています。次戦以降上位を目指していきたいと思っています」


SUPER GT 第2戦 富士スピードウェイ リザルト


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