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全日本スーパーフォーミュラ選手権2022 第3戦

土曜フリー走行:4月23 日(土) 天候:晴れ 路面:ドライ

4月9日(土)〜10 日(日)に行われた第1戦/第2戦では、オフシーズンにつかみかけた浮上のきっかけをさらに活かすことができず、苦しい開幕戦となったdocomo business ROOKIE。開幕からわずか2週間というインターバルで迎えた第3戦の舞台は、三重県の鈴鹿サーキットだ。

その前週、SUPER GT ではポール・トゥ・ウインという完璧に近い勝利を飾っていたROOKIE Racing は、その勢いをスーパーフォーミュラにも活かすべく、多忙なスケジュールながら鈴鹿に向けて準備を整えてきた。

この鈴鹿では、3月に公式合同テストが行われ、大嶋和也とdocomo business ROOKIE は2日間たっぷりとメニューをこなしてきた。当然、チームにとっては多くのデータがある。ただ、3月とは気温が大きく異なっており、また今回は二輪の走行があることから、コンディションも大きく変化することが予想された。ただチームにとっては、今季から加わった東條力チーフエンジニアの豊富な経験が強い味方になるはずだ。

今回は第1戦/第2戦の富士とは異なり、2021 年までと同様土曜にフリー走行と公式予選、日曜にフリー走行と決勝が行われるスケジュール。迎えた4月23 日(土)は、晴天に恵まれ気温20 度、路面温度27 度というコンディションのもと、午前9 50分からフリー走行がスタートした。

 大嶋はまずは1分39 秒267 というラップタイムをマークし、3〜4周ごとに頻繁にピットインを繰り返しながら走行を重ねていく。コクピットの大嶋のフィーリングは良好で、これまで積み重ねてきた成果が、ようやく現れている印象があった。大嶋はライバルたちよりも少し早めのタイミングでアタックシミュレーションを行い、1分38 秒477 というラップタイムをマークする。最終的に、このフリー走行で大嶋の順位は13 番手。これまでの2戦では下位だったが、中団グループに食い込む結果に。チームと大嶋は、午後の公式予選に向けて着実に戦える手ごたえを得た。


第3戦 土曜公式予選4月23 日(土) 天候:晴れ 路面:ドライ

フリー走行でたしかな感触を得て迎えた午後の公式予選。天候は薄曇りだが、気温24 度、路面温度31 度というコンディションのもとQ1 のA組から出走した大嶋は、まずは一度コースインした後、ピットに戻り待機。残り3分というタイミングでピットアウトし、アタックラップに入っていった。

ここで大嶋は1分37 662 というタイムをマーク。その時点で5番手につける。上位6台がQ2 に進出することができるが、手ごたえは十分だ。

Q2 進出はいまのチームにとっての最大の願い。祈るような気持ちでタイミングモニターを見つめた。しかしその直後、タイムアップするライバルたちの前に、大嶋の順位は7番手へ。あとわずか届かず、Q2 進出はならなかった。

「持ち込みから悪くなく、良い材料を選び変更していけましたが、あとひと息足りませんでしたね」と大嶋は悔しさをみせつつも、「戦える手ごたえはある」と翌日の決勝に向け、さらに足りないところを補いたいと語った。

 浮上のために、欲しいのは1ポイント。13 番手という位置は十分ポイントが狙える位置だ。チームは良い流れを決勝レースに繋げるべく、決勝に向け夜遅くまで作業を続けた。


第3戦 決勝レース:4月24 日(日) 天候:雨 路面:ウエット

公式予選後、豊田章男チームオーナーから「相手の背中が視界に入ってきた。決勝レースではぜひ存在感を示してください!」というメッセージも届くなど、明るい雰囲気のなか4月24 日(日)の決勝日を迎えたdocomo business ROOKIE

ただ、事前の天気予報どおり、この日は鈴鹿サーキットには朝から雨が降り出し、午前8時45 分からのフリー走行では、気温16 度、路面温度19 度という状況、そしてウエットコンディションのなか行われていった。

大嶋はレインタイヤでのフィーリングを確認していくが、前日に続き感触は良い。またウエットともなれば荒れた展開になることも想像できる。途中ストップ車両の発生で赤旗中断があったものの、大嶋は1分55 876 というベストタイムをマークし、13 番手でフリー走行を終えた。

この日の雨は、なかなか止む雰囲気がない。途中サポートレース等の間にも雨が降り続き、迎えた午後1時42 分からの8分間のウォームアップでもやはりウエット路面。そこで再度チェックを行った大嶋は、午後2時30 分からの決勝レースに臨んだ。

大嶋は13 番手からのスタートだったが、幸い水が溜まっているイン側のグリッドではなく、レコードライン上にあるアウト側のグリッドからスタートを切った。激しい混戦と水煙のなか、大嶋は1周目ふたつポジションを下げ、15 番手で通過する。スーパーフォーミュラでは巻き上げる水煙が非常に大きく、なかなかオーバーテイクには至らない。とはいえ大嶋のフィーリングは良好で、集団が離れはじめてからの追い上げに期待がかかった。

しかし、そんな大嶋とチームの明るかった雰囲気が5周を過ぎたあたりから暗転してしまう。急激に大嶋のペースが下がり始めてしまったのだ。6周目から8周目にかけ、ひとつずつポジションが下がってしまう。スタート時に設定していたタイヤ内圧(空気圧)が発熱にともない上がりすぎ、本来のグリップが出せなくなってしまったのだ。同様の症状に見舞われているマシンは他にもいたが、大嶋は11 周を終え、たまらずピットイン。内圧を低めに設定したタイヤに交換した。

このまま良い雰囲気を終わらせたくない。チームは大嶋を6秒台という迅速なタイヤ交換で送り出す。ピットアウト後、周囲が1分59 秒台〜2分台というラップタイムで走るなか、大嶋は1分58 秒台を連発し始めた。

しかし31 周というレース距離では、たった1回のピットストップが致命傷になってしまう。大嶋の好走も虚しく順位が上がることはなく、大嶋は19位でフィニッシュすることになった。

スタート時の内圧の判断が悔やまれるところだが、これもレース。またひとつチームは経験を積んだと前を向いた。次戦オートポリスは、大嶋にとっても得意とするコースだ。docomo business ROOKIE の逆襲の準備は間違いなく整った。


ドライバー/監督コメント

DRIVER 大嶋 和也 (Kazuya Oshima):「決勝日は雨になりましたが、午前のフリー走行からウエットコンディションでのフィーリングは悪くなく、決勝レースに向けた手ごたえをずっと感じていました。ただレースでのスタート時の天候の読み、さらにタイヤの内圧を読み誤ってしまいました。もう少し低い内圧でレースにいく選択ができていれば、後半スティントはトップと同じペースで走れていたので……。公式予選までは確実にクルマが速くなっている手ごたえはありましたし、レースでもタイヤを換えた後のスティントは、トップと同じような非常に良いペースで走れていました。正直この結果は悔しいですが、次戦のオートポリスは僕自身も得意なコースなので、そこで上位争いができる準備が整ってきたのだと思いたいです」


監督 片岡龍也 (TATSUYA KATAOKA):「結果としては、スタート時のタイヤの空気圧の選択を読み間違えてしまったということです。その結果としてピットインを強いられることになりました。ただタイヤを換えてからのパフォーマンスは満足いくものでしたし、もしスタート時の空気圧を正しいものにしていたら……と考えると、期待がもてるレース内容だったと思います。とはいえ、その選択ができなかったということは、今までの戦略がどちらかというと安全な方向に振らざるを得なかったということです。ただ、こういうレースを積み重ねていくことで、次にチャンスが来たときに失敗はしないと思います。目の前の結果だけを言えばもったいないものでしたが、チームとしての経験の積み上げにはなっているので、間違いなく次に繋がるレースになったと思います」


第3戦 リザルト


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