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2025 SUPER FORMULA Round.09 / Round. 10

PRACTICE フリー走行
10月10日(金) 天候:曇り/路面:ドライ

2025年の全日本スーパーフォーミュラ選手権は、スポーツランドSUGOで行われた第8戦から約2ヶ月のインターバルを経て、第9戦・第10戦を迎えた。舞台は静岡県の富士スピードウェイ。チームの地元で行われる一戦だ。ちょうど3ヶ月ほど前にも第6戦・第7戦が行われ、大嶋和也が衝撃的な今季限りでのスーパーフォーミュラ引退を発表した場所でもある。
docomo business ROOKIEにとって、大嶋と戦うことができるのは残り4レース。チームにとっても、そして大嶋にとっても納得がいく走りを目指すべく、10月10日(金)午前11時から始まった専有走行1回目に臨んだ。気温21度/路面温度31度というコンディションのもと、大嶋はまずアウトラップを走り、その後5周ずつのショートランを繰り返しながら、セットアップを確認していった。
専有走行1回目では、開始から40分を過ぎてから一度赤旗中断があったが、その後大嶋はニュータイヤでの走行は行わず、1分23秒690でまずは15番手で1回目の走行を終えた。
午後2時30分から行われた専有走行2回目は、午前同様曇り空。気温20度/路面温度28度というコンディションで始まった。午前同様、大嶋はピットアウト〜インを繰り返しながらセットアップを確認。開始から35分が経過したタイミングで、300Rにストップ車両が発生したことから走行は赤旗中断となったが、再開後にはアタックシミュレーションも実施した。
ここで大嶋は1分22秒945というタイムを記録し、16番手という順位で専有走行2回目を終えることになった。ただ、この専有走行では上位から下位まで超僅差。0.3秒タイムが上がれば8番手も見えてくる。
この2回の専有走行について、大嶋は「なんというか、妙に乗りにくいんです」と振り返った。「ただ乗りにくい割にグリップはあるんです。そこが今の悩みですね。苦戦しながら乗っているのにタイムは出ているので、うまく合わせればタイム差も小さいのでチャンスはあるかもしれません」
スーパーフォーミュラは本当にわずかなセットアップの違いが大きな感触の差に繋がる。チームは大嶋に乗りやすいクルマを作るべく、翌日に向け準備を進めた。

Round.09 QUALIFY 第9戦 公式予選
10月11日(土) 天候:雨/路面:ウエット
迎えた10月11日(土)の富士スピードウェイは、朝から雨模様となった。午前10時10分から行われた公式予選は気温17度/路面温度20度というコンディションで、Q1のA組の走行開始時、細かい雨粒が降り続きウエットで予選が始まった。
 大嶋はA組に出走し、タイヤをウォームアップさせアタックを展開していく。ダンロップコーナーではわずかにコースアウトするシーンもあったが、なんとかコースに復帰しアタックを継続。5周目には1分33秒481を記録するも、Q1突破には届かず。8番手という順位となった。
「前日まで感じていた乗りづらさについては、それほど悪い印象はなかったです」と大嶋は予選を振り返った。
 ただ、今シーズンはウエットコンディションでの予選はそれほど多いわけではなく、その影響が響いてしまった。
「データがないこともあり、タイヤの内圧の設定がすごく難しくて、コンディションが良くなってきたときにはタレてしまいました。苦しい予選でしたね」
 とはいえ、予報では午後の決勝もウエットが予想されていた。チームは予選から得られたものを活かし決勝へ準備を進めた。

Round.09 RACE 第9戦 決勝レース
10月11日(土) 天候:雨/路面:ウエット

 公式予選の後も富士スピードウェイは細かい粒の雨が降り続き、午後3時から予定されていた決勝レースに向けたスタート進行開始時にも、コースコンディションはウエット。ただタイヤのグリップのレベルとしては走れるもので、チームと大嶋はスタート前のレコノサンスラップを使って、フィーリングを確認していった。
この時点で、大嶋の感触としては「決勝の後半で強いクルマなのでは」というフィーリングを抱いていた。
「雨量が少ない状態でレースが始まったら追い上げられるかもしれない」と大嶋は期待を抱きながら気温17度/路面温度19度というコンディションで始まった決勝に臨んだ。ただ、スタート時にはやや雨が強かったこともあり、レースはセーフティカー先導のもと始まった。
大嶋は14番手から発進したが、2周目に前を走っていた#50 小出峻がピットインしたことで、13番手に浮上。レース開始に備えクルマをウィービングさせ、タイヤの内圧をなんとか上げようとトライを続けていった。
 しかし、セーフティカーランの状態で前車が巻き上げる水しぶきが大きく、なかなか視界がクリアにならない。この日は風もなく、余計に視界不良が続いていた。
 レースは6周完了時点で赤旗中断となってしまう。大嶋も一度クルマから降りることになったが、その間に少しずつ雨脚は弱くなっていった。
レースコントロールは午後3時48分にセーフティカーランを再開させることになったが、またも雨がやや強くなってきてしまった。さらに少しずつ日没が近づくとともに霧も立ちこめはじめてしまう。
結果的にセーフティカーランは14周まで続くことになったが、視界不良は最後まで改善することなく、2回目の赤旗が提示されることになった。
 そのままレースは再開されず、第9戦は14周完了時で終了となった。大嶋は結果的にひとつポジションを上げ13位でレースを終えた。
「レースが始まれば追い上げられる期待はあったんですけどね。悪くはなかったと思うのですが」と大嶋はレースを戦えなかったことを悔しがった。
 翌日の第10戦は、曇りの天気予報が出ていた。チームはふたたびドライが予想される日曜に向け、準備を進めた。

Round.10 QUALIFY 第10戦 公式予選
10月12日(日) 天候:曇り/路面:ドライ

 終日雨が降り続いた第9戦から一夜明け、富士スピードウェイは曇り空ながら雨は止み、ところどころコース上に濡れたところが残っているものの、ドライコンディションとなっていた。
前日同様午前10時10分から始まった公式予選では、大嶋はQ1のA組から出走した。ドライの走行は10月11日(金)の専有走行ぶりだが、大嶋はタイヤをウォームアップさせていくと、金曜に感じていた乗りづらさがなくなっていることを感じた。「リヤのグリップ感がすごく出ている」と大嶋は好アタックをみせ、1分23秒760を記録。見事6番手でQ1突破を果たしてみせた。
続くQ2では、7分間というわずかなセッションのなかでタイムを伸ばせず1分23秒324と12番手に留まってしまうが、それでも決勝レースでポイントを狙うには良い位置につけることができた。
「決勝レースに向けて自信がもてそうなバランスになっていると思います」と大嶋は午後のレースに向けてポジティブな表情をみせた。
狙うは第7戦以来のポイント。チームは決勝に向けて万端の準備を整えていった。

Round.10 RACE 第10戦 決勝レース
10月12日(日) 

迎えた午後3時の決勝レースだが、スタート進行開始直前から富士スピードウェイには濃霧が立ちこめてしまう。レース開催を目指し、10分間のディレイが何度も繰り返されたが、午後3時35分、レースの中止が決まってしまった。大嶋にとっても手ごたえがあっただけにレースを戦いたいところだったが、天候には勝てなかった。
この第10戦の中止で、富士大会は満足にレースを戦うことができないまま終えることになった。
大嶋和也がスーパーフォーミュラを戦うことができるのは、11月21〜23日に鈴鹿サーキットで開催される最終大会のみとなった。docomo business ROOKIEは最終大会に向けて全力を尽くしていく。


大嶋 和也 
Kazuya OSHIMA DRIVER


「金曜の専有走行では思ったようなクルマの動きではありませんでしたが、第9戦の雨のなかでは内圧調整に苦しんだところはあったものの、戦える雰囲気もあったので、ウエットのなかレースを戦いたかったですね。ドライになった第10戦では金曜の違和感は消えていましたし、ピークは出なかったものの決勝に強そうなクルマの雰囲気はあったので期待をしていましたし、戦略としても面白かったと思います。走れていたらとは思いましたが、霧は仕方ないですね。次はいよいよ最終大会の鈴鹿ですが、しばらく鈴鹿でスーパーフォーミュラでは走っていないので、どんなパフォーマンスなのかは分かりませんが、最後の大会ですからね。このチームでやってきたことを出し切れれば良いな、と思っています」

石浦 宏明 
Hiroaki ISHIURA DIRECTOR


「第9戦は視界不良で、第10戦は濃霧でまさか決勝レースを戦うことができない週末になるとは思ってもみませんでした。こればかりは天候のことなので仕方ないと思いながら、僕もファンとしてこういう経験もあるので、やっている側からすると申し訳ない気持ちもあります。また大嶋選手の残り少ないレースが減ってしまったのが残念ですね。次の鈴鹿大会は最後の一戦ですし、今回の分もみんなでサポートして良いレースにしたいと思います。今回はQ1を突破したりと良い場面もありましたし、すべて噛みあえば表彰台にいけるパフォーマンスがあるのは見えています。最終大会でしっかりまとめ上げられればと思っています。最終大会の鈴鹿では、ぜひ大嶋選手を応援してもらえたらと思います」