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2023 AUTOBACS SUPER GT Round.5 SUZUKA GT 450km RACE

公式練習 8月26日(土) 天候:晴れ 路面:ドライ

 4月に開幕した2023年のSUPER GTはいよいよ後半戦。シリーズ第5戦の舞台は、三重県の鈴鹿サーキットだ。TGR TEAM ENEOS ROOKIEは、今季ここまで惜しいレースを数多く展開しつつも、最上位は第1戦岡山、第2戦富士の4位。第4戦富士では悔しい取りこぼしもあっただけに、チャンピオン争いにしっかり踏みとどまるためにも、この第5戦では少なくとも表彰台以上を得ておきたい。そんな一戦に向けて、チームは8月25日(金)の搬入日から酷暑のなか、万全のレースウイークを送るべく準備を進めた。
 迎えた8月26日(土)の予選日も、鈴鹿サーキットは午前9時15分からの公式予選の段階で気温33度/路面温度39度とこの時季らしい暑さとなった。今回もレースは長丁場ではあるが、タイトな鈴鹿では予選グリッドの位置がかなり重要となる。午後の予選に向け、ENEOS X PRIME GR Supraは今回は山下健太がステアリングを握りコースイン。予選に向けたセットアップを進めていった。
 山下はコースイン後、5周目に1分48秒839というタイムを記録。その後一度ピットに戻った後、12周を走り再度ピットへ。大嶋和也にステアリングを託した。
 交代した大嶋は、14周に渡ってロングランを行い、セットアップを進めていく。その後一度ピットに戻った後、専有走行の時間を使って再度コースへ。24周を走って公式練習を終えることになった。ただ、「硬めのタイヤでのフィーリングがかなり良くなかったです」と大嶋の感触はいまひとつ。その後もサーキットサファリやフルコースイエロー訓練の時間を使いながら、予選に向けたセットアップの改善を進めていくことになった。
 結果的にENEOS X PRIME GR Supraの公式練習の順位は9番手。決して悪いわけではないが、予選でこの順位ではQ2進出はできない。
 TGR TEAM ENEOS ROOKIEは午後の公式予選に向けて、さらなるセットアップの改善を進めていった。

公式予選 8月26日(土) 天候:晴れ 路面:ドライ

 迎えた午後の公式予選は、直前に行われたFIA-F4第7戦の決勝レースの遅れにより、10分ディレイとなる午後3時20分から行われた。
 日射しは相変わらず強く、気温33度は午前と変わらず、路面温度は52度まで上昇。難しい予選となることが予想された。
 今回ENEOS X PRIME GR SupraのQ1のアタッカーを務めたのは大嶋。午後3時53分から始まったGT500クラスのQ1に臨むと、計測3周目にアタックを敢行していく。「公式練習の後、セットアップをいろいろ変えていきましたが、まだオーバーステアは強かったものの、かなり良くなっていました」というENEOS X PRIME GR Supraで、1分47秒831というタイムを記録した。
 ただ、このところGT500クラスでの公式予選ではライバル勢が速い。終わってみれば、大嶋の順位は11番手。Q2の山下にバトンを繋ぐことはできなかった。
 大嶋は「予選は仕方ない。決勝レースでいかに良いペースで走れるかが大事だと思っています。レースはチャンスがあると思うので」と翌日の決勝に向けしっかりと切り替え、逆襲を誓い予選日を終えることになった。

決勝レース 8月27日(日) 天候:晴れ 路面:ドライ

 予選後、鈴鹿サーキットには雨が降ったこともあり迎えた8月27日(日)の決勝日の朝はいくぶん涼しさもあったが、午前中の間に気温はグングン上昇。気温33度/路面温度50度というコンディションで午後2時45分に決勝レースがスタートした。
 ENEOS X PRIME GR Supraのスタートドライバーを務めたのは山下。豊田章男オーナーも見守るなか、山下は前を行く#3 Z GT500を追っていく。#3 Z GT500はランキング首位で、燃料流量リストリクターの調整が入っていることからパワーの面では厳しいはずだが、なかなか山下の攻略を寄せ付けない走りをみせる。
 ただ、5周目に#3 Z GT500は早々にピットイン。2回の給油を伴うピットイン義務をこなしていく。山下も少しでもポジションを上げるべくプッシュを続けていくと、やや早めとなる17周を終えてピットイン。ここでドライバー交代を行い、大嶋にステアリングを託した。
 GT500クラスは早めにピットインを行い、コースの空いたところを走るアンダーカットを狙う陣営と、オーソドックスにレースを3等分してピットインを行う陣営に分かれていくことになったが、ENEOS X PRIME GR Supraが選んだのは前者。大嶋のペースも良好で、30周目にGT500クラスの全車がピットインを果たすと、大嶋は5番手に浮上。早々にピットインし3番手に浮上していた#3 Z GT500、#39 GR Supraとのギャップを縮めていくと、34周目には4番手に浮上してみせた。
 大嶋はそのまま#39 GR Supraを追ってレースを進め、自らの最低義務周回数となる27周をきっちりとこなすと再度ピットイン。ふたたびENEOS X PRIME GR Supraには山下が乗り込んだ。ピットアウト後、山下はふたたびプッシュを続けていき、ライバルたちが2回目のピットインを終えると、49周目にGT300車両のアクシデントにより導入されたフルコースイエローの解除後、#39 GR Supraを先頭とした4台による3番手争いに追いついていくことになった。
 このレースではセーフティカー導入が必要となりそうな大きなアクシデントは起きず、クリーンな展開のままレースが進んでいくことになるが、山下は4台によるバトルのなか、57周目の日立Astemoシケインで#38 GR Supraをパスし5番手へ。さらに翌周、デグナーカーブで4番手を走っていた#17 NSX-GTがGT300車両と接触した隙に4番手に浮上した。
 山下はさらに3番手の#39 GR Supraを追っていくが、最後は4位でチェッカーを受けることになった。今季3回目の4位か……と思われチームには悔しさもにじんだが、レース後、2位だった#23 Z GT500が再車検の結果失格となり、ENEOS X PRIME GR Supraはひとつ繰り上がり3位という結果となった。
 すでに大嶋も山下もサーキットを後にしており、今季初の表彰台には登壇できない3位となったが、この結果ランキングでも4位に浮上することになった。首位とは17ポイント差。まだまだ射程圏内につけている。次戦SUGOは燃料流量リストリクターの調整が入るが、ひとつでも多くのポイントを積み重ねるべく、次戦に臨む。

DRIVER  大嶋 和也 Kazuya OSHIMA
公式練習は硬めのタイヤでのフィーリングが良くなくて、その後セットアップを変えていってからはかなり良くなってはきましたが、公式予選は厳しかったですね。仕方ないです。決勝レースではいかに良いペースで走れるかがカギだと思っていましたが、結果的に表彰台に登ることはできなかったものの、今年初の3位ということで嬉しく思ってます。当然ながら優勝が欲しかったので、もう少し良いクルマを作ることができたら良かったな、と悔やまれる部分もありますが、チームみんなの力で、今回のクルマのパフォーマンスの中での完璧なレースができたのかなと思います。前回の失敗から反省して改善してより良いチームになってきていると思うので、ここからさらにポイントを重ねてしっかりチャンピオン争いに加わっていきたいです。

DRIVER  山下 健太 Kenta YAMASHITA
決勝レースではスタートから#3 Z GT500をかわそうと頑張りましたが、なかなか抜くことができませんでした。最初から17周でピットインすることは決めていたので、そのなかでフルプッシュしようと思っていました。大嶋選手に交代した後の最終スティントではペースも良く、フルコースイエローのタイミングの後には3番手集団に追いつき、タイミング良くオーバーテイクすることができたので良かったですね。そのまま3番手まで浮上することができれば良かったのですが、最後は向こうがペースも上がったので、抜けなかったのが悔しかったですね。とはいえ11番手からここまで追い上げられたのは良かったです。次戦のSUGOでも上位に入らなければいけないと思いますし、予選で頑張ることができれば、レースでもさらに上を目指せると思います。

DIRECTOR 高木 虎之介 Toranosuke TAKAGI
決勝ではみんなが良いレースを展開してくれて、戦略もうまくいっていました。最後は#39 GR Supraに追いつくことができましたが、サクセスウエイトがあちらの方が軽かったので、抜くことはできませんでした。結果的にはレース後の再車検の結果、3位に繰り上がったので、表彰台に登壇することこそできませんでしたが、良かったです。今回は落とせないレースだと思っていましたからね。ただこのところ、GR Supra勢が公式予選で苦しい展開が続いてしまっています。本来であればもう少し良いグリッドからスタートしたいところなので、次戦のSUGOも予選からさらに上を狙っていきます。もちろん、もうひとつ表彰台、そして優勝を獲らなければチャンピオンはないと思っているので、次戦もチームでひとつになって頑張っていきたいと思います。