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2023 AUTOBACS SUPER GT Round.6 SUGO GT 300km RACE

公式練習 9月16日(土) 天候:曇り 路面:ウエット/ドライ

2023年のSUPER GTはいよいよシーズン終盤。迎えた第6戦の舞台は、宮城県のスポーツランドSUGOだ。タイトでツイスティなコースで、波乱も多い。サクセスウエイトもシーズンで最も重くなるレースだが、そういったラウンドでこそポイントを重ねることができれば、タイトルにも近づく。TGR TEAM ENEOS ROOKIEは、そんな一戦に向けて9月16日(土)の予選日に臨んだ。
 8月から9月上旬まで、チームにとっては堪える暑さが続いていたが、迎えた予選日のSUGOの天候は、時折小雨が舞う曇り。前夜から降り続いた雨は早朝には小康状態になったものの、路面コンディションはウエット。レコードラインはやや乾いているという、スポーツランドSUGOらしいダンプコンディションとなっていた。
 気温自体はそれほど高くはないが、湿度が高く蒸し暑いなか、ENEOS X PRIME GR Supraはまず山下健太が乗り込みコースイン。とはいえ路面がまだいまひとつ乾ききっておらず、山下はすぐにピットに戻ると、コンディションの良化を待って40分ほどピットでステイ。開始から56分ほどでふたたびコースインすると、8周を走りセットアップを確認していった。
 すぐに大嶋和也に交代し、ショートランを行っていったが、序盤ステイしていたこともあり時間が足りない。この段階ではセットアップに満足し切れていない部分もあったが、一度のピットインをはさみ8周を走った後GT300車両のクラッシュによる赤旗中断があり、ふたたびピットイン。山下にふたたびENEOS X PRIME GR Supraのステアリングを託した。
 赤旗再開後、GT300の専有走行でもクラッシュがあり、その後のGT500の専有走行で山下はニュータイヤを履くと終了間際に1分11秒450というタイムを記録した。
 ENEOS X PRIME GR Supraの順位は11番手。悪いフィーリングではないが、Q2進出のためにはさらなる改善が必要。フルコースイエロー訓練も使いながら、調整を進めた。 

公式予選 9月16日(土) 天候:曇り 路面:ドライ

 公式予選は午後2時40分からGT300クラスのQ1が行われたが、開始直前にサーキットに強めの雨が降った。そのため路面は一気にウエットに転じることに。しかしGT300クラスのQ1のうちに雨が止むと、今度は一気にドライとなっていった。
 GT300クラスQ1のB組ですでにスリックタイヤの方が速くなっていたことから、ENEOS X PRIME GR SupraのQ1のアタッカーを務めた山下はスリックを履きコースイン。タイヤをウォームアップさせ、短いコース距離のなかタイミングを調整しアタックラップに入っていった。
 4周目、山下は1分10秒613を記録し、Q2進出が見えたかに思えたが、他車のタイムアップによりバンプアウト。9番手となってしまった。
 実は山下のアタック時、最終コーナーでわずかにミスがあり、タイムロスを喫してしまっていた。
「アンダーステアが出て、ラインを外してしまいました。Q2進出がギリギリな状況だったので限界を攻めたのですが、そこまで攻める必要もなかったかもしれません」と山下。とはいえ苦しい中で山下が全力を尽くしてくれた結果。9番手から決勝レースの追い上げを期することになった。

決勝レース 9月17日(日) 天候:曇り 路面:ドライ

 9月17日(日)の決勝日は朝から1万8500人ものファンがSUGOを訪れ、賑わいをみせるなか午後1時30分、気温28度/路面温度33度というコンディションのもと、決勝レースの火ぶたが切って落とされた。ENEOS X PRIME GR Supraのスタートを務めたのは大嶋だ。
 スタートからタイヤの高いグリップを感じていた大嶋は、序盤9番手につけると、前を行く#3 Z GT500を追っていく。5周を過ぎるころになると、前にはGT300クラスの集団が出現し、非常に狭いスポーツランドSUGOのコースのあちこちでバトルが勃発。大嶋も混戦のなか#3 Z GT500をかわし8番手へ浮上。#39 GR Supraを先頭とする5番手争いのなかでレースを進めていった。
 ただ、その後は僅差ながら大嶋のペースも少しずつ苦しくなっていき、順位変動もなかなか生まれない。大嶋は#24 Z GT500の後方につけ、8番手のまま周回。26周目には#100 NSX-GTにかわされたものの、その#100 NSX-GTが28周を終えピットへ。アンダーカットを阻止すべく、大嶋も29周を終えピットイン。山下にステアリングを託した。大嶋のスティント中盤からタイヤの状況が苦しくなってきていたことから、山下には別の種類のタイヤを履かせ、後半での追い上げを目指した。
 TGR TEAM ENEOS ROOKIEのメカニックたちはいつものように迅速な作業をみせ、ピット作業を終えてみると、前を走っていた#37 GR Supraや#100 NSX-GTを先行することに成功する。ただ、すぐに#100 NSX-GTが後方から接近。やや後半スティントのタイヤに苦しみ始めていた山下は、#100 NSX-GTに対してディフェンスに回ることになってしまった。
 37周目、山下は#100 NSX-GTとテール・トゥ・ノーズで最終コーナーを立ち上がり、GT300クラスの車両をパスしていく。背後にいた#100 NSX-GTも山下同様に抜こうとしたが、GT300車両がピットに向かおうとし、2台は接触してしまう。弾かれた#100 NSX-GTは姿勢を乱し、ガードレールに激しくヒット。レースはセーフティカーランから赤旗中断となってしまった。#100 NSX-GTのドライバーに大きな怪我が無かったのは不幸中の幸いだった。
 レースは午後3時20分に再開され、セーフティカーランから44周目にリスタートを迎えるが、中断前の位置取りの関係上、トップ3以外の車両は1周近い差がつけられてしまう。
 それでも山下は、トップ3に続く位置を占めようと#24 Z GT500や#3 Z GT500とのバトルを展開していき、山下は#3 Z GT500に一度かわされながらも再度抜き返すことには成功したが、その間に今度は#1 Z GT500が接近。63周目には先行を許してしまう。山下はその後も粘り強くレースを戦ったものの、最後は7位でチェッカーを受けることになった。
 レース後、トップでチェッカーを受けていた#17 NSX-GTが失格になったことから、ENEOS X PRIME GR Supraの順位は最終的に6位となった。苦しいなか堅実にポイントを得たことで、まだトップと14点差で残り2戦を迎えることになった。チームは終盤での逆転を狙っていく。

DRIVER  大嶋 和也 Kazuya OSHIMA
決勝レース序盤はそこそこタイヤのグリップ感も良く、ストレートスピードが苦しいものの、前の集団に食らいつくことができ、良い展開になるかとも思いましたが、僕のスティント中盤からタイヤが厳しくなってしまいました。無線でかなり苦しい状況を伝えてはいたのですが、ペースは悪くないとのことでした。後半、同じタイヤでいってもとてももたない雰囲気があったので、持っていた別の種類のタイヤでいきましたが、山下選手のペースを見てみるとどちらも苦しかったのかもしれません。少し辛いレースになってしまいましたね。なんとかしないといけません。次戦オートポリスからはサクセスウエイトも軽くなりますし、燃料流量リストリクターのハンデもなくなります。残りふたつは得意なコースなので、2連勝できるように頑張っていきたいと思います。

DRIVER  山下 健太 Kenta YAMASHITA
走り出しからあまり速さがなく、決勝レースではピットアウトした時点でペースの苦しさがありました。しかしピットワークでみんなが頑張ってくれたおかげで、2台ほど先行することができましたが、後方から#100 NSX-GTが迫ってくる展開となりました。ただそこでああいった大きなアクシデントがあり、赤旗中断となってしまいました。リスタート後は4位を目指して頑張っていたのですが、他車を抜いたり抜かれたりと、これが今回の精一杯の結果だったのだと思っています。とはいえ、ランキング首位とはポイント差も縮まりましたし、次のオートポリスはチームとしても得意としているコースです。あきらめずにチャンピオン争いに食らいついていきたいと思っています。

DIRECTOR 高木 虎之介 Toranosuke TAKAGI
フィニッシュ時は7位、最終的な結果は6位ということでしたが、序盤は良い感じで走れていたものの、赤旗中断になったときにほぼ周回遅れに近い状態になってしまって。4〜5番手くらいにはなれるとは思っていたのですが、そこからペースに苦しむことになってしまいましたね。前を走っていたクルマたちは軽かったですし、もう少し速く走ることができていればまた展開も違ったかもしれません。コンディション等もありますが仕方ないですね。トップ3は速かったですが、4位は見えていただけに悔しいところです。これでランキングの順位も少し下がってしまったかもしれませんが、次戦のオートポリスはチームもドライバーも得意としていますからね。毎年結果も良いですし、良い選択をして最終戦に繋げたいと思っています。