NEWS & REPORT

2023 AUTOBACS SUPER GT Round.7 AUTOPOLIS 450Km Race

公式練習 10月14日(土) 天候:曇り 路面:セミウエット

 4月に開幕したSUPER GTの2023年シーズンは、いよいよ残すところ2戦。チャンピオンを目指しシーズンを戦ってきたTGR TEAM ENEOS ROOKIEにとっても、いよいよ正念場となる第7戦を迎えた。舞台は、大分県日田市のオートポリス。アップダウンが激しく、タイヤにとってはシーズンでも最も厳しいコースのひとつ。しかも今シーズンは450kmの長丁場で争われる。いったいどんなレースになるのか、事前に予想もできない一戦とも言えた。
 チームはそんなレースに向けてさまざまなシミュレーションを行い、準備を整えて10月14日(土)の公式予選に臨んだ。前夜にオートポリスは雨が降っており、早朝に雨は止みわずかに濡れたところが残っていたものの、午前9時25分から行われた公式練習はほぼドライコンディションで迎えることになった。
 ENEOS X PRIME GR Supraはこの公式練習では、まずはコンディションの好転を待ってしばらく経ってから大嶋和也がステアリングを握りコースイン。4周目に1分34秒490というタイムを記録し、一度ピットに戻った後に再度コースイン。合計で11周を走った後、山下健太に交代した。
 山下はそのまま決勝レースを見据えたロングランのテストを行っていき、10周をピットインせずに走行。結果的に専有走行の時間帯に赤旗が出たこともありアタックは行わず、最終的に大嶋が記録したタイムで13番手で公式練習を終えることになった。
 その後、ふたたび大嶋がステアリングを握りフルコースイエローのテスト、さらにサーキットサファリも使って再度ロングランを行っていくことになったが、「タイヤ摩耗に一抹の不安はありますが」と大嶋が語ったように、タイヤに関しての心配はありながらも、セットアップを続けていった結果、予選、決勝に向けて自信を深めていくことになった。
 チームは午後の予選に向け好位置を得るべく、さらなるセットアップの煮詰めを行っていった。

公式予選 10月14日(土) 天候:曇り 路面:ドライ

 この日のオートポリスは、午前から時折晴れ間が差すものの、いまひとつスッキリとしない。風が冷たく、秋を感じさせる天候となっていた。
 そんななか、午後3時33分から始まったGT500クラスの公式予選Q1でアタッカーを務めたのは山下。決勝レースではタイヤ次第ではあるが、まずはコース上で良い位置につけるべく、できる限り前のグリッドにつけることが重要だ。
 このところ僅差のGT500クラスでQ1を突破することは至難の業で、ここ数戦ENEOS X PRIME GR SupraはQ1をなかなか突破することができていなかったが、山下は4周目、1分31秒900という素晴らしいタイムを記録。2番手につけ、Q2の大嶋に繋げることに成功した。その走りに応え大嶋も午後4時11分からのQ2で渾身のアタックを展開。1分31秒999というタイムで2列目4番手グリッドを獲得した。
「ポールを狙っていましたが、思ったよりまわりが速かったですね。ひさびさに良い位置につけられました」と大嶋は好位置獲得に笑顔をみせた。ロングランもライバルに比べても多くトライしており、決勝に向けての手ごたえを得ていた。

決勝レース 10月15日(日) 天候:晴れ 路面:ドライ

 予選日から一夜明けた10月15日(日)のオートポリスは、朝から多くのファンが詰めかけるなか、晴れ間も見えはじめた。ただこの日は風が強く、事前の天気予報に比べても思うように気温が上がってこない状況だった。
 そんななか、迎えた午後1時30分からの決勝レースで、ENEOS X PRIME GR Supraのスタートドライバーを務めたのは山下。スタート直後から2番手の#19 GR Supraのペースが上がらず、山下はそれに抑えられる展開に。1周目には混戦のなかで#17 NSX-GTの先行を許し、5番手につけた。とはいえ、上位陣はトップの#16 NSX-GTこそ逃げ始めていたものの、ペース良く集団を抜けることができればトップ争いに加わることもできそうだった。
 しかし5周が経とうかという頃になると、山下はタイヤのグリップに苦しみ始めることになってしまった。他車のタイヤカスが表面にくっつき、取れなくなってしまうピックアップの症状が出始めてしまったためだ。もちろんライバルたちも同様に見舞われる症状ではあるが、選んだタイヤの種類によって度合いは異なる。7周目、山下は#19 GR Supraをかわし4番手に返り咲いたものの、10周目には#38 GR Supraの先行を許してしまい、翌周には#37 GR Supraにもかわされ6番手に。その後はなんとかポジションを守ったが、タイヤ摩耗にも苦しみ防戦一方のレース展開となった。
 山下はそんな苦しい序盤をなんとかしのぎきり、二度のフルコースイエロー導入を経て27周を終えピットイン。ここでタイヤを替えるとともに大嶋に交代し、苦境の打開を目指した。
 ただ、大嶋が履いたタイヤもすぐに苦しい状況となってしまう。ENEOS X PRIME GR Supraは10〜11番手を争う展開に。大嶋はなんとか60周までスティントをこなしていくと、ふたたびピットインし山下にステアリングを託した。
 ただ、日射しはあるものの路面温度は大きく下がり、やはり山下もペースを上げることができなかった。8番手で終盤のレースを戦っていくことになったが、前を行く集団とはややギャップも離れ、後方の#100 NSX-GTに抜かれることはないものの、思うようなペースアップはできず、「どうにもできなかった」という辛い展開のままチェッカーへ。ENEOS X PRIME GR Supraはそのまま8位でフィニッシュすることになった。
 ポイント獲得は果たしたものの、上位陣とは根本的にペースが異なり、なおかつこの第7戦の結果、悲願とも言えたチャンピオン争いの権利を失うことになってしまった。開幕戦から戦い続けてきた王座への挑戦は、この第7戦で潰えてしまうことになった。
 TGR TEAM ENEOS ROOKIEにとっては悔しさが大きい一戦となってしまった。しかし、2024年の飛躍に繋げるためにも「最終戦は良いレースにしよう」とサーキットでチームを鼓舞し続けた豊田大輔GMはメンバーに語りかけた。
 今シーズン、ENEOS X PRIME GR Supraはまだ優勝を飾ることができていない。タイトルへの権利は失ったとはいえ、チームは最終戦もてぎで優勝を飾り一矢報いて今シーズンを締めくくるべく、一丸となって臨んでいく。

DRIVER  大嶋 和也 Kazuya OSHIMA
僕たちが持ち込んだタイヤに摩耗の懸念もあったのですが、セットアップでカバーできるのではないかと思っていました。しかし予想以上に今年は決勝レースのペースに苦戦することになってしまいましたね。かなり悔しい結果になりました。とはいえ、他の種類のタイヤを履いていても苦戦しそうな雰囲気もありましたし、このオートポリスについてはタイヤ選択もクルマづくりも、もう少し考えなければいけないと感じました。レースについては、やれるだけのことはやれたと思います。ピットのタイミングなども間違いはなかったと思いますが、なんにせよペースが足りませんでした。チャンピオン争いの権利もなくなってしまったので、すぐに切り替えることはできませんが、最終戦でなんとか優勝できるよう、今から頑張っていきたいです。

DRIVER  山下 健太 Kenta YAMASHITA
公式予選では良いタイムを出すことができて4番手グリッドを獲得することになり、決勝レースに向けても期待していた気持ちはすごく大きかったのですが、オートポリスはロングランの差が出やすいサーキットで、公式練習からその点を意識してロングランのシミュレーションを行ってきたものの、いざ実際のレースになってみたら予想以上にピックアップの症状など、さまざまなことがあり、ライバルに抜かれまくってしまいました。ペースも上がらず、もうどうしようもなかったです。今回の結果でチャンピオン争いの権利も失ってしまったので、今シーズン終わったな……という印象です。最終戦に向けては、今の時点ではなかなか前向きにもなれないくらいにショックでした。本当に悔しいです。

DIRECTOR 高木 虎之介 Toranosuke TAKAGI
ここが勝負のラウンドだったのですが……。オートポリスは本当に難しいコースです。ピックアップやGT300に引っかかってしまってペースを落としたりと、いろいろなことがありました。もちろん速く走れるときは走れるのですが、すぐにピックアップがついてしまいます。それもつく人はつくし、つかない人はつかないですし。毎年こんなレースではありますが、結果的には合わせきることができませんでしたね。チャンピオン争いの権利は失うことになってしまいましたが、まだランキングでも少しでも順位を上げることができるでしょうし、何より今シーズン優勝をすることができていません。最終戦はノーウエイトの戦いになりますが、そのなかでなんとか今季初優勝を飾れるように頑張っていきたいと思います。