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2024 AUTOBACS SUPER GT Round.7

公式練習
10月19日(土) 天候:雨 路面:ウエット

 9月に行われた第6戦スポーツランドSUGOでは、セーフティカーラン中のまさかのスピンによるペナルティで、表彰台を狙えるレースを9位で終えることになってしまったTGR TEAM ENEOS ROOKIE。チャンピオン争いに踏みとどまるためには、もうひとつも落とすわけにはいかない。必勝の決意をもって臨む舞台は、大分県のオートポリス。タイヤに厳しく、アクシデントも多い3時間レースだ。
 そんな一戦に向け、チームは10月18日(金)にサーキットで準備を進めた。この日のオートポリスは秋晴れに恵まれ、日中は上着がいらないほどのコンディション。チームはENEOS X PRIME GR Supraの準備をしっかりと整えたが、気になったのは翌日の天気予報。この日は終日雨の予報が出ていた。
 10月19日(土)の予選日、その予報は的中してしまった。早朝のオートポリスは細かい雨が降り、阿蘇の山間にあることから霧が深く、SUPER GTの走行直前に予定されていたFIA-F4の公式予選はキャンセルとなってしまった。
 午前9時20分から予定されていたSUPER GTの公式練習も、天候が回復せず当初20分、さらに20分とディレイが繰り返されていった。やや霧が晴れたかと思えば雨脚が強まり、なかなかコースインできないまま時間が過ぎていくことになった。
 三度のディレイを繰り返した結果、午前10時30分、公式練習のキャンセルが決まってしまった。午前の公式練習で一度も走れないまま、午後の公式予選をぶっつけ本番で迎えることになってしまった。
 ただ、この日のオートポリスは荒天が続き、午後2時50分から形式を変更して予定された公式予選も強い雨の影響でキャンセルに。前戦SUGOでは公式練習のタイムが採用されたが、今回は翌日10月20日(日)の午前8時から公式予選が行われるスケジュールに変更された。
 日曜の天気予報はドライ。チームは翌日に向けて準備を進めた。

公式予選
10月20日(日) 天候:曇り 路面:ウエット

 一夜明けたオートポリスは、天気予報では曇りとなっていたが、早朝のオートポリスはまだ霧が立ちこめ、路面は濡れている状況だった。
 午前8時からGT300クラスの公式予選がスタートしたが、気温12度/路面温度13度という肌寒さのなか、コース上はなかなか乾いていかない。午前8時30分からGT500クラスがコースインし、ENEOS X PRIME GR Supraは福住仁嶺がステアリングを握りコースへ。まずは30分間の計時予選のスタイルということもあり、ウエットタイヤを履いて一度タイムを出していくことになった。
「思っていたよりもウエットタイヤが温まらず、スリックに切り替えましたが、一度戻って最後まで待つことにしました」という福住は、チェッカー周に向けてアタックを展開。ここで1分33秒326までタイムを縮めてみせ、3番手につけた。
「ポールポジションを狙える可能性もあったので悔しいところもありますが、チームの判断も良かったです」と地元九州でのレースでの好位置に福住は笑顔をみせた。
 午後の決勝でこの3番手を結果に繋げるべく、短いインターバルを使ってチームは作業を続けた。

決勝レース
10月20日(日) 天候:曇り 路面:ドライ

 公式予選終了後から、わずか2時間30分間のインターバルでウォームアップ走行が行われるなど、慌ただしい一日となった10月20日(日)。少しずつ天候は回復し、午後1時20分からの決勝レースは曇り空のもと迎えたが風も強く、気温17度/路面温度24度という数字以上に肌寒さを感じるコンディションでレースの火ぶたが切って落とされた。
 ENEOS X PRIME GR Supraのスタートドライバーを務めたのは福住。1周目、まずは2番手に浮上するものの、その後はペースに苦しんでしまう。2周目には#23 Z NISMO GT500の先行を許し、6周目には4番手にドロップしてしまう。その後はポジションを守ったものの、21周目には5番手へと後退した。
 その後、#19 GR Supraのストップによりレースはセーフティカーランとなるが、解除直後、福住はピットイン。大嶋和也に交代した。
 ピットアウト後、大嶋は後から作業を行った#37 GR Supraを防ぎつつレースを進めていたが、後方からはさらにピットアウト後ハイペースで追い上げる#17 CIVIC TYPE-R GTが近づいてきた。バトルの中で#37 GR Supraをかわしてくると、38周目100Rで、大嶋の背後からオーバーテイクをしかけてきた。
 大嶋は無理なディフェンスをしていたわけでもなかったが、#17 CIVIC TYPE-R GTがアウト側からENEOS X PRIME GR Supraをオーバーテイクにかかる。しかし、ENEOS X PRIME GR Supraのリヤにヒットするかたちで体勢を乱し、クラッシュしてしまった。これでレースはふたたびセーフティカーランとなった。
 幸いENEOS X PRIME GR Supraにはダメージがなさそうで、大嶋は7番手でセーフティカーラン終了後も中盤のレースを進めていたが、55周目、大嶋に対してドライブスルーペナルティが課された。接触が危険なドライブ行為とされてしまったのだ。大嶋はすぐにペナルティをこなすと、再度の追い上げを目指した。
 チームは60周目、規定のドライブ時間を終えた大嶋をピットに戻すべく指示を出した。早めのピットインを狙ったが、そんなタイミングで#64 CIVIC TYPE-R GTがクラッシュ。3回目のセーフティカーが導入されてしまった。このタイミングはピットに入れない。また、セーフティカー前にピットに入っていれば順位を上げる可能性があったものの、解除後のピットインは不利が大きい。ENEOS X PRIME GR Supraにとっては流れを掴みきれない展開となってしまった。
 解除後、チームは大嶋をピットに戻し、ふたたび福住に交代する。ただ、戻ってみれば順位は10番手。76周目に#38 GR Supraをかわし9番手には浮上したものの、最後はGT300車両のアクシデントで4回目のセーフティカーとなり、追い上げもそこまでとなってしまった。第7戦の順位は9位となった。
 ポイントは得たものの、ペースの苦しさ以上の順位は可能だった。流れに乗り切れないままレースを終えることになってしまったENEOS X PRIME GR Supra。シーズンはもう残り2戦しかない。この鬱憤を晴らすためには、勝利しかない。

DRIVER  大嶋 和也 Kazuya OSHIMA
スタートから福住選手のコメントもあまり良くなかったですし、早めにピットインして僕に交代しました。序盤とは異なるタイヤで出たものの、ピックアップの症状があって厳しい展開になりましたね。接触については、まさかあそこで当たるのかと思いましたし、ペナルティが出るか分からなかったのでそのまま走行していましたけど、あまりペースが良くなくて。スティント後半は燃費を気にせずプッシュした頃にはペースも戻り、トップと変わらないペースで走ることが出来ていたので、ちょっとした違いがあったのだと思います。惜しいところにはいましたが、今回はうまくはまらなかったですね。次はもてぎですが、昨年はすごくスピードがあって良い印象があるので、それを参考にして戦いたいですし、残り2戦、割り切って勝ちにいくだけだと思います。

DRIVER  福住 仁嶺 Nirei FUKUZUMI
公式予選は3番手につけることができましたが、レースはうまくいかず、9位で終えることになってしまいました。スタートを担当したもののペースが上がらず、早めのピットインで大嶋選手に交代しましたが、その後もそれほどペースを上げられない印象がありましたね。結果的に接触があってペナルティを受けることになってしまいましたが、その後のセーフティカーランの前にピットに入ることができていたら、ペナルティを帳消しにすることができた可能性もあったと思いますが、そこもうまくいかなかったです。最終的に1台を抜き9位にはなりましたが、全体を通して苦しいレースになりました。次はもう優勝しかないくらいのポイント差がついてしまいましたし、第8戦もてぎは優勝だけを目指してできることをすべてやっていきたいと思っています。

DIRECTOR 高木 虎之介 Toranosuke TAKAGI
すべてがうまくいかないレースになってしまいました。公式練習がないレースウイークでしたが、全体的にスピードも少し足りませんでしたし、ピットインのタイミングもすべてが合いませんでした。決勝の2回目のストップは、セーフティカーランが出る周で、ちょうど大嶋選手が規定の周回数を終えるタイミングだったんです。ピットインの指示は出していたのですが、最終コーナーに差しかかっていたところでセーフティカーになってしまって。まさに1周足りませんでした。ペナルティなど、レースの流れも含めて本当に噛みあわないレースになってしまった印象です。次戦から燃料流量リストリクターも外れますし、チャンピオンは難しいかもしれませんが、残り2戦勝つしかないと思っています。2勝を挙げてシーズンを終えるしかないですね。