

PRACTICE – 公式練習
5月3日(日) 天候:曇り/路面:ドライ
2026年からGT300クラスに参戦を開始したTEAM ENEOS ROOKIEは、4月に行われた第1戦岡山では苦戦を強いられつつも、まずはしっかりと完走し初陣を終えた。ただ、迎える第2戦富士を前に、思わぬ報せがチームに届いた。
今季大きな期待をもってTEAM ENEOS ROOKIEからSUPER GTにデビューした鈴木斗輝哉はまだ19歳で、初心運転者期間だったが、交通違反の点数が溜まり再講習が必要になってしまった。もちろんレース出場のためには運転免許が必要となるため第2戦富士には出場ができない。チームオーナーのモリゾウが「まわりに相談できなかった。こちらの責任」と悔やむ事態となってしまったが、鈴木には再起を期待しつつ、チームは急遽代役を探した。白羽の矢が立てられたのは、WEC世界耐久選手権で活躍する元F1ドライバーの小林可夢偉だった。
ただ、いかに可夢偉と言えど、エントリー発表後の交代にはさまざまな手続きが必要な上に、2年間シリーズに参戦していないGT300クラスのドライバーには、ルーキーテストが必要となる。なんとか手続きを終え、ルーキーテストは5月3日(日)の公式練習で受けることになった。
そんな5月3日の富士スピードウェイは曇天で、気温22度/路面温度34度というコンディションで午前10時30分から公式練習が始まった。
当初、チームはまず石浦宏明が2回のアウトインをこなしてから可夢偉のルーキーテストを行う予定だったが、リスクを考え当日朝にプランを変更。1回のアウトインでルーキーテストを行ったが、これが幸運を呼んだ。ルーキーテストに必要な12周を終えようかというタイミングで、セッションは赤旗中断となってしまった。
幸い、赤旗でピットインした可夢偉の周回数はちょうど12周。しかも、再開後に石浦のドライブで再コースインした直後、ENEOS X PRIME AMG GT3にはトラブルが起きてしまった。もし当初のプランだったら、可夢偉はレースに出場することができなくなるところだった。
「僕はまだまだもってますね(笑)」と可夢偉。予選に向けた確認が行えなかったことは残念ではあるが、まずはチームはホッとした雰囲気に包まれた。


QUALIFY – 公式予選
5月3日(日) 天候:曇り~雨/路面:ドライ・ウエット
公式練習の結果、可夢偉の出走が認められ、チームは午後2時20分から行われる公式予選に向け、ENEOS X PRIME AMG GT3の修復を急いだ。
雲が増え、強い風が吹くなか、気温21度/路面温度27度というコンディションで迎えた公式予選。Q1突破を目指し、まずは石浦がステアリングを握りアタックに向かった。予選に向けた確認をしっかり行えていない状況ではあったが、Q2に繋げるべく石浦は1分36秒148というタイムを記録。6番手につけQ1を突破し、さすがの実力をみせた。
続くQ2では可夢偉がアタックに臨んだが、メルセデスAMG GT3の経験こそあるものの、特殊なSUPER GT用のニュータイヤを組み合わせてのアタックの経験はない。石浦のアドバイスをもとにGRコーナーのブレーキングに入るが、止まりきれずにオーバーランしてしまうシーンも。ただ、翌周にはきっちり合わせ込み、1分36秒010を記録。14番手につけた。
予選後、ドライバーふたりは修復を成し遂げたチームに感謝を伝えつつ、モリゾウを交え予選を振り返り和気あいあいとした雰囲気に包まれた。

RACE – 決勝レース
5月4日(月・祝) 天候:晴れ/路面:ドライ
明けた5月4日(月・祝)の富士スピードウェイは、前夜から降り出した雨は朝に止み、晴天に恵まれた。風は強かったものの5万800人もの観衆を集め、気温24度/路面温度43度というコンディションのもと午後2時から決勝レースが始まった。
ENEOS X PRIME AMG GT3は、前日公式練習での走行が少ない状況ではあったが、可夢偉もこれまでの経験をもとに、エンジニアにさまざまなアドバイスを送り、セットアップを改良していった。14番手からレースに臨んだENEOS X PRIME AMG GT3に乗り込んだ石浦は、その感触の良さを感じ取ると、1周目から3ポジションアップし11番手へ。さらに8周目から3周連続でひとつずつ順位を上げ、8番手に浮上してみせた。
7番手を走っているのは、同じ車種だがタイヤが違う#4 メルセデス。ROOKIE Racingにとってはファミリーのひとりである片岡龍也選手がドライブしている。石浦は僅差の戦いを展開していくが、なかなか先行することができずにいた。そこで、早めにピットインしアンダーカットを狙う作戦を採り、28周でピットイン。いよいよGT300初レースとなる可夢偉にENEOS X PRIME AMG GT3を託した。
ピットアウトすると、作戦が功を奏し可夢偉は#4 メルセデスを先行することができたが、背後にピタリとつかれ熾烈な戦いが中盤も継続していく。しかも可夢偉にとっては、#4 メルセデスは国内外のレースでともに戦ったチームでもある。「まさかここで!?(笑)」という相手でもあったが、片岡選手とのフェアなバトルをエンジョイ。GT500車両のストップによるフルコースイエロー導入後、一時先行される場面もあったが、冷静に抜き返すシーンも展開した。
可夢偉は70周を終えて、その大役を終えるとふたたび石浦に交代。中盤のバトル、そして自らの仕事をしっかりと終えたことに対して、可夢偉は笑顔を浮かべた。
ただそんな急遽の参戦ながら可夢偉の好走、そしてチームにもたらしたものはTEAM ENEOS ROOKIEの今後にプラスになるものだった。
そんな可夢偉の活躍を引き継いだ石浦は、93周目に#52 GR Supraがペナルティで後退した後は6番手に浮上。レース終盤、#777 アストンマーティンを抑えながらきっちりと走り切り、そのまま6位でフィニッシュしてみせた。TEAM ENEOS ROOKIEにとっては、待望の初入賞だ。
レース前の急遽のドライバー交代劇から始まった第2戦だが、チームは可夢偉という頼もしい存在を得て、初ポイント以上に多くの糧を得た。
2026年のSUPER GTは第3戦マレーシアが延期になっており、次戦は8月の第4戦富士となる。そしてその時には、鈴木斗輝哉がチームに復帰する。今度は斗輝哉と一緒にさらなる高みを目指すべく、TEAM ENEOS ROOKIEは約3ヶ月のインターバルを有効に使いながら、ポテンシャルアップを目指していく。



石浦 宏明 – Hiroaki ISHIURA – DRIVER
「今回、小林可夢偉選手に来てもらうことになりましたが、そもそもルーキーテストをクリアしなければレースを走ることもできなかったので、決勝でこうして力強いレースができてありがたく思っています。ROOKIE Racingの仲間の層の厚さが助けてくれたと思っています。レースでも可夢偉選手はクルマに乗り慣れていることもあって、いろいろな技を繰り出してバトルをしてくれましたし、普通のドライバーにはできない仕事をこなしてくれました。セットアップにもすごく貢献してくれて、レースでは自分もすごく良いペースで走ることができました。ピット戦略もうまくいきましたね。斗輝哉選手も今日のレースを悔しい思いで観ていたと思うので、次戦この6位を上回る結果を目指して頑張りたいです」
小林 可夢偉 – Kamui KOBAYASHI – DRIVER
「決勝レースではお互い良く知る片岡龍也選手、しかも4号車とのバトルになりましたが、『まさかここで!?』と驚きました(笑)。でもすごく楽しかったですね。正直、SUPER GT用のタイヤをまだ理解しきれていない中でのレースで、どこまでいって良いか分からない中での戦いでしたが、燃費をセーブしながら引っ張るのが僕のミッションだったので、それはしっかりとできたのではないかと思っています。ポジションを落とさず走ることができましたしね。結果的に6位入賞することができて良かったです。公式練習でのトラブル等もあり、うまく走れた感覚はありませんでしたが、GT300ルーキーらしい経験で(笑)、自分としての最大限の仕事はできたのではないでしょうか」


山村 豊 – Yutaka YAMAMURA – GENERAL MANAGER
「鈴木斗輝哉選手が出場できない中で迎えたレースウイークでしたが、まずは次戦、戻ってきてくれることを待ち望んでいます。そんな中で、今回は小林可夢偉選手が力を貸してくれることになりましたが、今回我々が使っていた35番ピットは、ROOKIE Racingにとっても原点とも言えるピットなんですね。チームの初期に、可夢偉選手走ってもらったことを思い出させるレースだったと思います。そんな一戦で、チームにとっての初ポイントを獲得することができてうれしく思いますし、ここからまた一歩一歩やっていきたいと思います。とはいえ、ライバルとの差もまた分かった一戦でした。次戦、斗輝哉選手も帰ってきてもらい、また等身大の自分たちの力をみせつつ、良くしていけたらと思っています」
関谷 利之 – Toshiyuki SEKIYA – DIRECTOR
「今回は綱渡りどころではなく“糸渡り”のようなレースウイークでした(苦笑)。可夢偉選手のルーキーテストもギリギリでしたしね。でも可夢偉選手はすごく燃費も良かったですし、決勝レースですごく良いデータをもたらしてくれました。さすがでしたね。今後ストラテジーの考え方が変わりますし、次戦鈴木斗輝哉選手が戻ってきたときに、もっと彼も幅が広がると思います。次戦、斗輝哉選手が戻ってくることがすごく楽しみですし、我々もその準備をしっかりとしていきたいと思っています。今回は6位入賞ということで嬉しい気持ちもありますが、それ以上に得たものが大きいレースだったと思います。チームみんなもミスなく取り組んでくれましたし、良い週末を送ることができました」

