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全日本スーパーフォーミュラ選手権2023 第3戦

〈フリー走行4月22日(土) 天候:晴れ 路面:ドライ〉

 富士スピードウェイで幕を開けた2023年の全日本スーパーフォーミュラ選手権。第1戦/第2戦からわずか2週間のインターバルで迎えた第3戦の舞台は、三重県の鈴鹿サーキット。3月には今シーズン開幕前に唯一のテストが行われたコースだ。
 docomo business ROOKIEと大嶋和也は、このテストでこれまでとは違う手ごたえを得ていた。このレースウイークにもその好調さを繋げたい。特に今季、第1戦ではポイント獲得を果たしており、その勢いのままさらなる上位進出に向けた期待をもってチームは鈴鹿サーキットに乗り込んだ。
 迎えた4月22日(土)の予選日、鈴鹿サーキットは快晴に恵まれた。ただ前日から風が強く、メインストレートで追い風。この風に対する対応、さらに今回は二輪レースとの併催ということもあり、バイク走行後のコンディション変化への対応が重要となった。さらに、鈴鹿は富士と比べてもオーバーテイクはしづらい。予選でしっかりと上位進出を果たすことが重要だ。
 そんな予選に向け、当初予定から5分遅れとなる午前11時00分にフリー走行がスタートした。セッション開始後すぐに#55 ジェム・ブリュックバシェがコースアウトして赤旗中断となったが、大嶋は再開後にコースイン。セットアップを進めていった。
 大嶋はアウトラップから計測2周を行いピットに戻り、これを繰り返していった。「風も強かったですしバランスも悪く、テストのような状況では走れませんでした」と大嶋は語ったが、コンディションに対応するべく、チームはセットアップ修正を進めた。
 終盤、アタックラップのシミュレーションを行おうかというタイミングで、#7 小林可夢偉がデグナーカーブ立ち上がりでクラッシュ。走行は5分延長された。
 再開後、大嶋はアタックシミュレーションを行い、1分38秒130を記録。19番手と、やや苦しいものではあったが、0.2秒変わればトップ10も見えてくる僅差。予選に向けて、細かな調整を進めていった。

〈第3戦 公式予選 4月22日(土) 天候:晴れ 路面:ドライ〉

 フリー走行後、二輪の決勝等を挟み午後3時55分から迎えた公式予選。大嶋はQ1のA組からアタックに臨んだ。今回、フリー走行でニュータイヤを1セットしか使用していなかった大嶋は、あるトライに出た。通常、1セットをチェッカー周に向けて温めアタックするのが通常だが、2セット使用できることから、すぐにコースインした後アタックを一度行い、ピットインし再度もう1セットのニュータイヤでのアタックを行う作戦に出たのだ。
 大嶋はまず1セット目のニュータイヤで1分38秒156を記録。「二輪が走った後だったのでコンディションとしては苦しかった」というタイムだったが、ライバルたちが走行するとともに、コンディションが上がってきた。ピットに戻った大嶋は、2セット目のニュータイヤを履くと、残り3分で再コースイン。ここで一気に1分37秒615と、1セット目よりも0.5秒以上のタイムアップを果たしたが、上位陣は1分36秒台に入っていく。午前から抱えていたバランスの悪さが尾を引いてしまった。
「事前にもっと変えてこなければいけなかったのかもしれません。やはり苦しかったです」という大嶋は、予選総合では18番手という順位となった。

〈第3戦 決勝レース 4月23日(日) 天候:晴れ 路面:ドライ〉

 迎えた4月23日(日)の鈴鹿サーキットは、前日に続き晴天に恵まれた。ただやはり風があり、気温も前日より高め。そんななか、午前11時05分から30分間のフリー走行が行われた。大嶋はこの時間を使い、燃料を積んだ状態でのセットアップをはじめ、さまざまなトライを続けながら周回。13周を走り、1分40秒929というベストタイムを記録。4番手で走行を終えた。
 ここで得られたフィードバックをもとに、8分間のウォームアップを経て迎えた午後3時45分からの決勝レース。5番手スタートの#5 牧野任祐がグリッドでエンジンストールに見舞われたことから、レースは1周減算の30周で争われた。またエクストラフォーメーションラップ時、7番手だった#65 佐藤蓮がトラブルでピットインし、大嶋は17番手からスタートしている。
 ウォームアップで行ったスタート練習時、ストールを喫してしまっていた大嶋は、クラッチに不安があり、比較的無難なスタートとなったものの、ポジションキープの17番手でオープニングラップを終える。序盤、大嶋は#6 太田格之進らとバトルを展開したが、トラクション、リヤの安定感が不足しており、思ったようなレース展開に持ち込むことはできなかった。
 そんななか、10周を終えピットウインドウがオープンすると、上位陣でも少しずつタイヤ交換を行っていった。大嶋もふだんはこのタイミングでピットに入ることが多かったが、今回は終盤タイヤが厳しくなることも考え、ピットインを遅らせる作戦に出た。
 大嶋はその後、最後尾から追い上げてきた#5 牧野任祐を従えながら、ピットイン車両が出るごとにポジションを上げていく。そんななか、6番手まで順位を上げた19周目、首位だった#53 大湯都史樹がピットアウト後、#1 野尻智紀とS字でクラッシュ。レースはセーフティカーランとなった。
 ピットインのタイミングをうかがっていたチームは、チャンスとばかりに大嶋をピットへ呼び戻した。前回の富士でミスがあったチームも、今回はパーフェクトな作業で大嶋を送り出す。ただ再度コースインしたタイミングで複数台が通過しており、ピットイン前から順位はそれほど大きく変わらず、大嶋は16番手となっていた。
 しかし、大嶋はこの時点でニュータイヤを履いており、タイヤがフレッシュな状態。24周目のリスタート後、大嶋は#18 国本雄資をかわすと、#19 関口雄飛のストップもあり、最後は13位で30周のレースをフィニッシュすることになった。
 ポイント圏内まであとわずかの順位となったが、そのあとわずかを上げるのが今のスーパーフォーミュラの難しさ。しかし、昨年からは悩みの次元は一段上がっている。次戦は大嶋にとって多くの良い思い出が残るオートポリスが舞台。今季2回目のポイント獲得を目指していく。

DRIVER  大嶋 和也 Kazuya OSHIMA
「レースではいろいろなトライを行ってきましたが、決勝レースのペースを見ると、午前のフリー走行からは良くなってきたと思います。ただやはりリヤの安定感が少しありませんでした。難しいですね。スタートは直前のウォームアップ走行で失敗してしまったこともあり、マージンをもってスタートしました。その後の展開については、セーフティカーが導入されたことで救われましたね。あと少しのペースがあればもっと追い上げられましたが、大事なところでトラクションがかからず、オーバーテイクの領域に入れない。やはりもう少しリヤの安定感があればと思います。次戦のオートポリスは僕自身得意としているコースですが、チームにあまりデータがないので、ある程度僕のイメージから良い持ち込みセットができればと思います」

DIRECTOR 石浦 宏明 Hiroaki ISHIURA
「開幕前の鈴鹿テストの調子が良かったので期待をもって臨みましたが、タイヤのフィーリング等も変わり、バランスに苦しんでいる印象でした。予選では入念に計算して2回アタックを行ったりもしましたが、予選でもバランスに苦しんでいましたね。決勝ではセットも大きく変更して、次戦のオートポリスも見据えたトライを行ってきましたが、ウォームアップ走行があったこともあり、バランスは取れていたと思います。レースももう少しペースがあればポイント圏内に届いたと思います。ピット作業もミスはありませんでしたし、ピットインのタイミングも狙いどおりで、終盤フレッシュなタイヤで抜いていくことができました。ただ13位という結果が今の実力だと思います。ここから一歩ずつ、まわりに対し速く走れるようなクルマを作っていきたいです」