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2023 AUTOBACS SUPER GT Round.2 FUJIMAKI GROUP FUJI GT 450km RACE

〈公式練習 5月3日(水) 天候:晴れ 路面:ドライ〉


 目まぐるしく天候が変わるなか、序盤から上位争いを展開しつつも、最後はピット作業の差で表彰台を逃すことになってしまった第1戦岡山から、TGR TEAM ENEOS ROOKIEは多忙なスケジュールを経て、ゴールデンウイークの一戦となる第2戦富士を迎えた。チームにとっては本拠地での地元レースであり、負けられないラウンドだ。2021年、2022年と開幕戦で優勝を飾っていたことから、この第2戦は重いサクセスウエイトハンデを負っていたが、今回は戦える重さだ。
 今シーズンはコロナ禍の規制も明け、走行初日となる5月3日(水・祝)から非常に多くのファンが詰めかけるなか、午前9時05分からの公式練習に臨んだ。第1戦はレースウイークを通じて不安定な天候だったが、この日の富士はまさに五月晴れ。上着も不要な暖かさのなか、ENEOS X PRIME GR Supraは大嶋和也がステアリングを握りコースイン。セットアップを確認していった。「走り出しからすごくフィーリングは良かったです。特にロングランのペースが良かった」という大嶋は、好感触を得ると赤旗中断を挟みつつ12周を走りピットイン。早々に山下健太に交代する。
 代わった山下もすぐに決勝レースを見据えたロングランのテストを敢行。その後もピットアウト〜インを繰り返しつつ、セッション終盤には1分27秒639というベストタイムを記録。2番手という好位置で公式練習を締めくくった。
「公式練習からすごく調子は良かったです。選んだタイヤも合っている印象ですし、一発のタイムもロングランも良い感触でした」と山下もひさびさにENEOS X PRIME GR Supraに抜群の好感触を得ていた。
 公式練習の後も、フルコースイエローの訓練では大嶋がステアリングを握りロングランを実施。またひさびさに復活したサーキットサファリでも大嶋と山下がわずかな時間ながらドライブし、ENEOS X PRIME GR Supraは予選に向けて着実に仕上げられ午前の走行を終えることになった。

〈公式予選5月3日(水) 天候:晴れ 路面:ドライ〉


 GT300クラスの公式予選Q1に続き、午後3時48分にスタートしたGT500クラスの予選Q1。爽やかに晴れていた午前に比べるとやや雲が増え、気温も低下していたが、そんななか、ENEOS X PRIME GR Supraは山下をQ1のアタッカーに据えた。
 山下はしっかりとタイヤをウォームアップさせると、4周目にタイムアタックを行う。ここで1分26秒968を記録すると、さらに翌周もアタックを行ったが、まさかの1分26秒968と、2周続けての同タイム。とはいえQ1突破には十分のタイムで、4番手でQ2の大嶋和也に繋いだ。
 GT300クラスのQ2を挟み、午後4時26分にスタートしたGT500クラスのQ2。ENEOS X PRIME GR Supraに乗り込んだ大嶋は、タイヤをウォームアップさせ6周目に1分26秒962を記録する。ただ、「思ったよりタイヤのウォームアップが来なかった」ため、チェッカーをギリギリで通過すると再度アタックを敢行。1分26秒743までタイムを縮め、4番手に浮上してみせた。
「ロングランの方が良さそうなので、チャンスがあると思います」と決勝に向けて好位置につけ、大嶋はレースにへの自信をみせた。

〈決勝レース5月4日(木) 天候:晴れ 路面:ドライ〉

4万8600人という大観衆が訪れ、晴天のなか迎えた5月4日(木・祝)の決勝日。予選4番手という好位置につけ、レースに向けて大きな自信をもっていたTGR TEAM ENEOS ROOKIEの大嶋と山下だったが、午後1時30分のスタート直後から、レースは思わぬ展開となっていった。
 スタートドライバーを務めた大嶋だったが、オープニングラップからタイヤが温まらない。決勝に向けて自信を持って選んでいたタイヤが、レースのコンディションに合わなかったのだ。1周目、大嶋はズルズルと順位を落とし9番手へ。その後、タイヤに熱が入ってからもグリップがなく、「なんとかやっとついていける状態」となってしまう。#19 GR Supraを先頭とした6番手争いの集団に食らいついていくも、まったく予想だにしない苦戦となってしまった。
 大嶋は#17 NSX-GTや#1 Z GT500、#39 GR Supraとのバトルを戦いながら、タイヤを保たせつつレースの3分の1を消化。さらにポジションは下がってしまっていたが、34周を終えピットに戻り、山下にステアリングを託すことになった。
 山下は、大嶋が履いていたタイヤとは異なる種類のタイヤをチョイス。前日にロングランで手ごたえを得ていたもので、ここから追撃を開始した。46周目に#17 NSX-GTを、50周目に#19 GR Supraをパスし、ポジションを奪還。さらに60周目には#3 Z GT500をかわし、71周目には#23 Z GT500の背後へ。73周目にはこれをオーバーテイクするなど、ハイペースで順位を戻していく。
 山下は66周を終えてふたたびピットインし、これで今回のレースで義務づけられていた2回のピットインをこなす。ここからは再度の追い上げだ。
 73周目には10番手までポジションを上げると、そこから他車のピットイン等もあり、74周目に9番手、75周目には8番手に浮上。83周目には#37 GR Supraをかわし、7番手まで浮上した。すると山下の前方に、バトルを繰り広げていた#8 NSX-GT、#17 NSX-GT、#3 Z GT500の集団が近づいてくる。しかしレースの残り周回が少なくなっていった。
 しかし諦めない山下にさらなるチャンスがやってきた。96周目、3番手を走っていた#24 Z GT500がアクシデントによりストップ。これで同じ周に#3 Z GT500をかわしていたENEOS X PRIME GR Supraは5番手につける。すると、今度はチェッカー間際の99周目、3番手だった#8 NSX-GTがガス欠症状に見舞われた。
 これで山下は4番手に上がるが、前を行く#17 NSX-GTを追撃するも、先にチェッカーを迎えてしまった。ENEOS X PRIME GR Supraの順位はグリッドと同じ4位。序盤の苦しい展開からすれば素晴らしいリカバリーだったが、予選までは勝てる手ごたえがあっただけに、チームにとっても表彰台に乗れない悔しさが残った。
 レース後、2日間チームを見守った豊田章男チームオーナーは「勝ちたかったね」とメンバーに声をかけ、さらに「でもシーズンはまだ2戦。勝つよ。どこかで」と全員を鼓舞した。そう。まだシーズンは始まったばかり。得点も積み重ねているこの2戦は、今後のシーズンに活きてくるはずだ。

DRIVER  大嶋 和也 Kazuya OSHIMA
決勝レースでは絶対に強いはずだと選んでいたタイヤが、まったく発動しない状況で自分も驚きました。温まってからは追い上げようと思っていたのですが、熱が入ってからもグリップがなくて。正直、序盤はついていくのでいっぱいいっぱいでしたね。クルマの調子が良かっただけにストレスがたまる序盤戦になってしまいましたが、みんなで選んだタイヤですからね。仕方ないです。それに山下選手が良い感触で走ってくれて、あの位置まで追い上げてくれたのは良かったです。まだ課題はありますけどね。次戦の鈴鹿は得意なわけではありませんが、なんとか上位に入りたいと思いますし、今季は2戦連続で4位に入っているので、上位フィニッシュしてシリーズを優位に進められるようにしたいと思っています

DRIVER  山下 健太 Kenta YAMASHITA
今回2種類のタイヤがあり、序盤の大嶋選手が苦しい展開だったので、僕のスティントからは違うタイヤを履きました。前日からロングランに手ごたえはあったので、なんとか巻き返せればと思っていましたが、ライバルのストレートスピードが速かったりと、パッと抜ける状況でもありませんでした。60周をかけてやっと4位まで上がりました……という感じですね。ただ序盤、大きくポジションを落としてしまったことを考えると、最低限の結果かな、と思います。優勝を目指していましたし、うしろからスタートした車両が優勝しているので悔しさはあります。次戦の鈴鹿はあまり得意ではありませんが、地道にポイントを獲り、あまりサクセスウエイトを積まない状況で第4戦の富士に乗り込みたいですね。そこで優勝したいと思っています。

DIRECTOR 高木 虎之介 Toranosuke TAKAGI
4位まで戻すことができましたが、スタート直後のタイヤが思ったより発動しなかったのが痛かったですね。山下選手に交代してからは普通に戦うことができていたので、予定と大きく変わってしまいました。これほどアクシデントがないレースは初めてではないかというくらい珍しいレースでしたが、そんななかでなんとか粘っての4位だったので、その点は評価できるのではないでしょうか。次戦は鈴鹿サーキットでのレースですが、相性としてはあまり良くはありません。とはいえ、今季は2戦連続の4位ということでしっかりとポイントを獲れています。今後もしぶとく戦っていきたいですし、取りこぼしは絶対にできません。今回も一時はポイント圏外になってしまっていたので、それを考えれば良い結果だったかもしれませんね。