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全日本スーパーフォーミュラ選手権2022 第9戦/第10戦

<金曜フリー走行:10月28日(金) 天候:晴れ 路面:ドライ>

4月に富士スピードウェイで開幕した2022年の全日本スーパーフォーミュラ選手権。docomo business ROOKIEと大嶋和也にとっては決して満足がいくシーズンではなかったが、そんな一年の締めくくりとなる最終大会がやってきた。10月28日(金)〜30日(日)に開催される第21回JAF鈴鹿グランプリがその舞台だ。この週末も第9戦/第10戦と2レースが開催される週末となった。
 ここまで予選Q1突破、そしてポイント獲得を目指して戦ってきた大嶋だが、なかなか思うような感触を得られないまま最終大会を迎えることになってしまった。しかし、きっちりとシーズンを締めくくるためにもこの鈴鹿で目標を果たしたい。10月28日(金)午後1時30分からスタートした専有走行で、docomo business ROOKIEと大嶋は翌日の第9戦に向けセットアップの確認を始めていった。
 この時期らしからぬ暑さのなかスタートした専有走行で、大嶋は3〜5周ほどのランを重ねながら、細かくピットインしつつセットアップの変更を行っていく。「走り出しはバランスがあまり良くなくて、タイムも上がらなかったのですが、決められていたテストを行っていきました」とセッション前半は好ましいフィーリングではなかったものの、その後エンジニアと相談を重ねながら改良を進めていった結果、感触は少しずつ改善していく。
 コンディションが上がっていった終盤、大嶋はニュータイヤを装着しアタックシミュレーションを行っていく。最終ラップとなる23周目、1分38秒697というベストタイムをマークし、チェッカーを受けた。
 結果としては20番手だが、「アタック自体も完璧なものではなかったこともありますが、他とのタイム差がなく、もう少しのところまできています。やっと“攻められる”クルマになってきたと思います」と大嶋の感触はポジティブなもの。翌日の第9戦の予選で「攻めるだけ攻めてみて、どうなるかですね」と大嶋は翌日へ前向きな手ごたえを得ていた様子だった。


<第9戦 公式予選:10月29日(土) 天候:晴れ 路面:ドライ>

一夜明け、迎えた10月29日(土)は、午前9時15分から第9戦の公式予選がスタートした。大嶋は午前9時30分から行われたB組からQ1突破に向けて臨んだが、この日も天候は快晴であるものの前日とは風向きが変わり、追い風のなかで行われた。
 セッション開始とともに一度コースインした大嶋は、一度ピットに戻りニュータイヤに交換。残り5分を切ってからふたたびコースインしていく。大嶋はライバルたちと同様、アウトラップの後1周をウォームアップに費やし、4周目に集中してアタックをかけていった。
 チェッカーを受けた大嶋は、1分38秒157というタイムをマークする。ただ風向きやQ1A組を経てコンディションは大きく向上しており、上位陣は1分36秒台に突入していた。結果は11番手で、目標としていたQ1突破は今回も叶わなかった。
「ポジティブなフィーリングもありましたし、どこがダメというのもないのですが……。多少のミスはあったもののほんのわずかです。でもタイムが伸びない。困った状況ですね」と大嶋。
「決勝はバランスを取って少しでも追い上げられるようにしたいです」とレースに向け調整を進めていった。


<第9戦 決勝レース:10月29日(土) 天候:晴れ 路面:ドライ>

予選後から4時間30分のインターバルで迎えた第9戦の決勝レース。鈴鹿サーキットには豊田章男チームオーナーも駆けつけ、今季最後のレースウイークに臨んでいる大嶋とdocomo business ROOKIEを励ました。
 午前に続き晴天に恵まれ、気温19度/路面温度30度というコンディションのなか迎えた午後2時30分からの決勝では、そんな期待に応えるかのように大嶋は好スタートを決めると、1周目に1ポジションアップ。さらに2周目には#50 松下信治をかわし、さらに4周目には#50 松下にはかわされるも、#36 ジュリアーノ・アレジをかわすなど、後方集団ながら激しいバトルを展開する。今季これまで、なかなかバトルを展開するまでには至らなかったこともあり、「ひさびさにみんなと戦うことができました」と大嶋は好ペースとともにライバルたちとバトルを展開していった。
 8周目には#18 国本雄資をかわし18番手に浮上するが、10周目を迎えると上位陣のなかでもミニマムでのピットインを行う陣営が現れはじめ、大嶋の順位も少しずつ浮上していく。ただ、本来前走車がいるとペースは上がらないものだが、レースでの大嶋は前が開けはじめると、ややペースが苦しくなっていった。
 今回のレースでdocomo business ROOKIEはもともと中盤以降にピットインを行う作戦を予定しており、15周目に大嶋はピットに向かう。ただ、早めにピットインを行った陣営がニュータイヤでタイムを稼ぎ出すアンダーカットを果たしており、ピットアウトした後はポジションダウン。大嶋はふたたび最後尾から追い上げることになってしまった。
 しかしその後も、大嶋のペースはライバルたちに比べても悪いものではなく、20周目には#36 アレジをオーバーテイク。さらに終盤の30周目には#18 国本をかわし19番手に。夕焼けが空を染めるなか、大嶋はそのままきっちりと走り切り、19位でフィニッシュすることになった。
 終始ドライコンディションで、リタイアした車両は1台もなく、結果としては19位と悔しいものではあった。また作戦の面でもパーフェクトとは言いがたかった。レース後、大嶋が履いていたタイヤはまだグリップを残しており、レースにタラレバは禁物ではあるものの、もう少し早くピットインしておいたらもう少し順位を上げられたかもしれない。
 とはいえ、大嶋が待ち望んだ集団に追いつき、バトルをすることができたのは何よりの収穫となった。
 あとは課題となっている予選での向上を果たせば、ポイント圏内を争うこともできるかもしれない。
 docomo business ROOKIEと大嶋はいよいよ今シーズン最後のレースとなる10月30日(日)の第10戦できっちりとシーズンを締めくくるべく、さらなるセットアップ改良を施すために作業を進めていった。


<第10戦 公式予選:10月30日(日) 天候:晴れ 路面:ドライ>

決勝レースで戦える手ごたえをしっかり得た第9戦から一夜明けた10月30日(日、いよいよ2022年のスーパーフォーミュラの最終レースとなる第10戦の予選・決勝日を迎えた。この日も鈴鹿サーキットは快晴で、前日よりも多くのファンが訪れるなか、午前9時05分から第10戦の公式予選がスタートした。
 この日はA組からQ1に出走した大嶋は、今季最後のレースということもあり、「今までとは違うトライ」を施したセットアップを試しQ1に出走した。もちろん専有走行がないことから確認する手立てはないが、2023年以降に繋がる挑戦として、1周のアウトラップの後一度ピットイン。アタックに入っていった。
「欲しかった感触はあった」という大嶋だったが、気合を込めて展開したアタックで記録されたタイムは、1分38秒525というもの。結果はA組の11番手だ。1分37秒台には入りたかったところだけに、大嶋にとってもチームにとっても悔しさがあふれる結果となってしまった。
 後半戦から苦しみ抜いた今季を象徴するかのように、大嶋は第10戦の決勝レースを最後尾の21番手からスタートすることになった。


<第10戦 決勝レース:10月30日(日) 天候:晴れ 路面:ドライ>

午後2時30分から行われた今季最後のレースとなった第10戦の決勝。気温21度/路面温度31度というコンディションで、前日に比べて風はないものの、この3日間そうであったように快晴に恵まれるなか、いよいよ決勝の火ぶたが切って落とされた。
 大嶋は1周目、最後尾からスタートを切るが、直後の1コーナーで#12 福住仁嶺がコースアウト。バリアにクラッシュしたことから、レースはいきなりセーフティカーランとなる。3周目にはリスタートを迎えるが、その直前のセーフティカーラン中に#53 佐藤蓮がスピンを喫するなど、今季最後のレースはやや荒れ模様となり、大嶋はこれに乗じて2ポジションアップ。さらに6周目、#39 阪口晴南をかわし18番手につけていった。
 前日の第9戦では、ややピットストップを遅らせたものの、終盤までタイヤのグリップがしっかりと残っていたことから、今回大嶋は早めのピットインを行う。10周目、ピットウインドウがオープンとともに作業を行い、コースに復帰していった。
 ただその2周後、序盤大嶋の前を走っていた#50 松下信治が日立Astemoシケインで#36 ジュリアーノ・アレジとのバトルのなか接触。スポンジバリアにクラッシュしてしまい、レースはふたたびセーフティカーランとなった。
 スーパーフォーミュラの場合、SUPER GTとは異なりセーフティカーラン中のピットインが可能。ここでピット作業を行ったライバルも多く、アドバンテージを得ることになる。大嶋もこのタイミングでのピットインであれば順位が上がった可能性もあるが、こればかりは時の運だ。
 18周目のリスタートとともに大嶋はふたたびレースを進め、18周目には#36 アレジをかわしていく。さらに前方には、セーフティカーランのタイミングでピットインし順位を上げていた#39 阪口がふたたび迫ってきた。
 21周目、大嶋はこれをオーバーテイクすることに成功するが、翌周にはオーバーテイクシステムを使いふたたびかわされるなど、激しいレースを展開する。オーバーテイクシステムを使うタイミングで順位が入れ替わる展開となったが、レースではしっかりとバトルこそできるものの、一台をかわし、さらにその前を狙うような速さは今回の大嶋には足りなかった。
 終盤には#39 阪口と大嶋の順位はそのままとなり、最終的に15位でチェッカーを受けることになった。きっちりとチェッカーフラッグを受けることはできたものの、やはり今回もポイントには届かなかった。
 これで2022年の全日本スーパーフォーミュラ選手権はすべてのレースを終えた。大嶋和也とdocomo business ROOKIEは、今季参戦する全チーム/ドライバーで唯一無得点という悔しい結果に終わってしまった。
 しかし、悔しさを晴らすことができるのは自分たちしかいない。2023年、スーパーフォーミュラは空力など大きく変わる可能性がある。すべてのドライバーの戦力図が“リセット”される可能性があるということだ。新たなシーズンへ向け、docomo business ROOKIEは2023年に向けて万全の体制を作りあげるべく、すでに動きはじめている。


ドライバー/監督コメント

DRIVER 大嶋 和也 (Kazuya Oshima):「第9戦は序盤のペースも良く、ひさびさに追い上げることができて良かったです。ただ前が開けてからはなかなかペースを上げられなかったですね。第10戦については違うトライをして、それがうまくいってくれればと思っていましたが、欲しかった感触はあったものの、タイムに繋げられなかったです。決勝に向けては前日から取り組んだ変更が良くなるのではないかと思ったものの、低速コーナーで離されてしまって、抜けなかったです。今日もレースではバトルができたものの、あとコンマ何秒かが足りなかったです。今年はこのまま終わるわけにはいかないと一生懸命いろんなことを取り組みましたが、思うように繋がらない最悪のシーズンでした。次のチャンスもあると思うので、このまま終わることがないように、引き続き頑張っていきたいと思います」


監督 片岡龍也 (TATSUYA KATAOKA):「今季は体制も新たに開幕前から手ごたえを感じていたので、良いレースができると思っていました。序盤戦は惜しい内容のレースが続いていましたが、シーズン中盤からは苦しくなり、この最終戦で良い形で締めくくりたかったのですが、予選からかなり苦戦する状況になってしまいました。レース内容を見ると、グリッドが前ならば戦えたかもしれません。しかしチームとしては年々スタッフも強化され、ピット作業の安定度など向上している面もあります。この先に繋がると思っていますが、今季については少し時間が足りなかったのかもしれません。シーズンを通じて無得点で終わったのは悔しいですが、この悔しさを来季に繋げたいと思います。今週、そして今季一年間、docomo business ROOKIEに ご声援ありがとうございました」


第9戦 リザルト


第8戦 リザルト

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