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2022 AUTOBACS SUPER GT 第1戦 岡山 GT300km Race

<公式練習 4月 16 日(土) 天候:晴れ 路面:ドライ>

2021 年のSUPER GT ではチーム初年度ながら開幕から優勝、第2戦で2位と、圧倒的なシーズン序盤を戦いながら、その後は重いサクセスウエイトに苦しめられ、目標としていたチャンピオンには届かなかったTGR TEAM ENEOS ROOKIE。2 年目となる2022 年、大嶋和也と山下健太というふたりのドライバーラインアップ、ENEOS X PRIME のカラーリングはそのままに、悲願達成に向けてチームはさらなる強化を図った。
4月6日に計画が発表された『富士モータースポーツフォレスト』の一環として、昨年から建築が進められてきたROOKIE Racing の新ファクトリーが3月から稼働。さらに、トップチームで活躍してきた東條力チーフエンジニアがチームに加入。昨年もENEOSX PRIME GR Supra を強力なマシンに仕立ててきた阿部和也エンジニアとのタッグで、さらなるパフォーマンスアップが期待された。2022 年のGT500 クラスは空力の開発も認められ、まだ寒い2月からさまざまなサーキットでテストを積み重ね、3月に開催された2回の公式テストを経てENEOS X PRIME GR Supra のセットアップを続けて来たチームは、開幕戦の地、岡山国際サーキットに乗り込んだ。TGR TEAMENEOS ROOKIE にとっては、昨年劇的なバトルの末にチームの初陣を優勝で飾った思い出のコースだ。もちろんENEOS X PRIME GR Supra にとって相性も良くデータも残っている。

 朝から冷たい風が吹くものの晴天に恵まれた4月16 日(土)の予選日、午前9時20 分からの公式練習で、チームは2022 年の挑戦を開始した。ENEOS X PRIME GR Supra はまずは大嶋がステアリングを握りコースイン。立て続けに1分18 秒台をマークしセットアップを進めた後、22 周でピットイン。山下に交代すると、4周を走りフィーリングを確認した後、ロングランを敢行。終盤には1分18秒261 というタイムをマーク。4番手につけた。ふたりともフィーリングは良好で、予選の好結果が期待できた。


<公式予選:4月16 日(土) 天候:晴れ 路面:ドライ>

午前の公式練習で得られた好フィーリングをもとに、午後2時からの公予選に向け、チームはさらにセットアップをブラッシュアップ。まずはQ1 のアタッカーに山下を据え、午後2時46 分からのQ1 に臨んだ。山下はしっかりとタイヤを温めアタックに入ろうとするが、ヘアピンで#19 GR Supra がスピンを喫し、途中イエローフラッグが出される。ただ山下にはあまり影響はなく、5周目に1分17秒426という好タイムをマーク。3番手につけQ2 の大嶋に繋ぐ。フィーリングは良好で、大嶋にポールポジションの期待を託した。

Q2 のアタッカーを務めた大嶋は、2021 年も「惜しいことばかりだった」となかなかポールポジションに届かなかった。しかし、2022 年に向けてチームが体制を強化してくれた恩に報いるためにも、渾身のアタックを展開。チェッカーとともにマークされたタイムは1分17 秒251 ! 一気にトップに躍り出るのを確認すると、TGRTEAM ENEOS ROOKIE のピットは拍手とガッツポーズに包まれた。大嶋にとっては6年ぶり6回目のポール。山下、そしてチームとともに喜び合った。大事なのは決勝だが、連覇に向けて絶好の位置を手に入れた。


<決勝レース:4月17 日(日) 天候:晴れ 路面:ドライ>

ポールポジション獲得の喜びも醒めぬまま迎えた4月17 日(日)の決勝日。大事なのは、この速さをレースの結果に繋げることだ。朝からさまざまなイベントをこなしながら、TGR TEAM ENEOS ROOKIE は午後2時のスタート進行に向けて準備を進めた。

 この日の岡山国際サーキットは快晴で、前日よりも暖かく上着がいらない気候だったが、そのコンディションの影響か、スタート進行前のウォームアップでは、ステアリングを握った大嶋が若干の違和感を感じる。ただ、チームは気候に合わせセットアップを素早く修正。全42 台のポールポジションから午後2時のスタートに臨んだ。

スタートドライバーを務めた大嶋は、1 周目に2 番手の#39 GRSupra からの猛プッシュをしのぐと、トップを守りジワジワとリードを広げ始めた。3周目には、1分20秒632 というファステストラップをマーク。コース長が短いことから序盤すぐに出はじめたGT300 クラスのラップダウンも冷静に処理すると、2番手以下が競り合いになったことからグングンとリードを広げていく。

スタート前に行ったセット変更も功を奏し、大嶋とENEOS X PRIMEGR Supra は快調そのもの。安定したラップを刻み、リードはどんどん広がっていく。狭い岡山で、クラッシュ等が起きるとセーフティカーが出やすいことから、チームは当初から序盤のスティントを短くとる作戦を立てていたが、30 周目、大役を務めた大嶋がピットに戻ると、なんとその差は17秒。ピットで大嶋を待った山下にとっても、余裕をもって後半戦を戦えるリードを築いてきた。

 2021 年のレースでは、壮絶なトップ争いを展開した山下は、予選後から「ぶっちぎって勝ちたい」と語っていた。山下は17 秒のリードをさらに広げるべくENEOS X PRIME GR Supra をプッシュしていくが、その意気込みとは裏腹に、山下のペースは思うように上がらない。ただ、序盤に築いた17 秒のリードもあり、終盤に至ってもその差は10 秒前後を保っていた。

しかし終盤、GT300 クラスの戦いのなかでアクシデントも起き、68 周目にはフルコースイエローが導入される。 そのリスタート後も山下はリードを保っていたものの、78 周目にはふたたびフルコースイエローが入った。

 そのリスタート後は残り4周のレースとなったが、直後、山下にまさかのアクシデントが。目前のGT300 車両がハーフスピンを喫し、なんとか立て直したものの、避けた方向に戻ってしまい、山下はわずかに接触してしまったのだ。これで2番手以下が急接近。トップ争いはにわかに緊迫した。ただ大きなダメージはなく、山下はそのまま1.798 秒のリードを守りチェッカー! 2021 年に続く開幕戦優勝にチームは喜びを爆発させた。

 喜びに沸いたのは豊田大輔オーナー代行も同様。「本当にありがとうございます。ポールポジション、優勝、ファステストラップを獲ることをグランドスラムと言いますが、最後にぶつかってしまったので、完璧な勝利を来季こそ目指したい。そして最終戦こそ、表彰台のいちばん上に登るようにしてきたいですね」と喜びを語りつつも、長いシーズンへ向け、さらなる完全なる勝利と進歩をチームに促した


ドライバー/監督コメント

DRIVER 大嶋 和也 (Kazuya Oshima):「岡山はもともと得意なコースでしたし、公式テストでもしっかりデータは取れていました。僕ちがテストで評価したタイヤもしっかり機能してくれましたね。昨年優勝を飾ってから、チームも体制を強化してくれ、やってきたことがしっかり結果に残って良かったです。今日は気温も上がり、ウォームアップではグリップ感が足りないところもありましたが、そこでセットアップを変更したこともこのコンディションのなかで良い方向に向かいました。決勝は乗りやすかったですね。次戦の富士は距離が長いレースですし、今回ライバルたちがみせてきたレース後半の速さは脅威です。僕たちがあれをできない原因をしっかり解析し、良いクルマを作って昨年の2位以上の結果を残したいですし、シーズンを通じて取りこぼさないよう臨んでいきたいです。

DRIVER 山下 健太 (Kenta Yamashita):「決勝レースでは、大嶋選手が17 秒差までマージンを築いてくれて、僕がそれをもっと広げるレースをしたかったのですが、ピットアウト後なかなかペースが上がらず、作ってもらった17 秒差を削りながら最後は真後ろまで来られてしまったので、自分のスティントだけを見ると良いレースではなかった印象ですね。最後のフルコースイエロー明けには目の前でGT300 がスピンしそになり接触してしまったのも、2番手以下に詰められてしまった要因です。今回は危険な場面に多く遭遇するレースでした(苦笑)。なんとか避けながらゴールできたのは良かったです。前半のマージンのおかげですね。次戦は450km のレースでいろんな戦略もありますし、昨年は優勝にも迫ったので、連勝を目指して頑張っていきたいと思っています。

DIRECTOR 高木 虎之介 (Toranosuke Takagi):「昨年に続き開幕戦で優勝を飾ることができました。今年は予選、決勝、ファステストラップとすべてトップで終えることができたので、昨年よりも良い結果となったのではないでしょうか。今回開幕戦で勝てましたが、今後も取りこぼしがないようにシーズンを送っていかなければなりませんね。今回は特に、大嶋選手が本当に良い仕事をしてくれました。予選、決勝を通じてここ何年かでも最も良い走りだったのではないでしょうか。後半の山下選手も、長いスティントでしっかりタイヤをマネージメントしてくれたと思います。最後のフルコースイエローの後に接触してしまったのが良かったのですが、何が起きるか分からないのがSUPER GT ですから。仕方ないです。昨年も第2戦で表彰台に乗ることができたので、また勝てるように頑張っていきたいです。


SUPER GT 第1戦 岡山国際サーキット リザルト


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