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全日本スーパーフォーミュラ選手権2022 第1戦/第2戦

金曜フリー走行:4月8日(金) 天候:晴れ 路面:ドライ

2022 年、全日本スーパーフォーミュラ選手権に挑むROOKIE Racingは、さらなる転機を迎えた。

新たにNTT Communications のブランド『docomo buisiness』をチームタイトルスポンサーに迎え、『docomo business ROOKIE』としてシリーズに挑むことにになった。カラーリングも、docomo buisiness のカラーを活かしたタータンチェックがあしらわれ、新鮮な印象となった。

また、4月6日に計画が発表された『富士モータースポーツフォレスト』の一環として、昨年から建築が進められてきたROOKIE Racing の新ガレージが3月から稼働。さらに、トップチームで活躍してきた東條力チーフエンジニアがチームに加入するなど、新たな環境、顔ぶれを迎えながら新シーズンを迎えることになった。3月に鈴鹿、富士で行われてきた2回の公式合同テストでは、東條チーフエンジニアが加入して以降新たな試みも行われ、富士でのテストでは、今季もドライバーとしてチームを引っ張る大嶋和也も手ごたえを得ていた。昨年までのような、展開次第でポイント獲得に届くかどうか……という状況ではなく、速さでポイント、そして表彰台をつかむべく、期待とともに4月8日(金)を迎えた。

2022 年からスーパーフォーミュラでは、次の50 年を意識したサステナブルなレースを目指すべく、『NEXT50』と題したさまざまな施策が行われているが、今回の富士スピードウェイでのレースは土曜に第1戦の公式予選と決勝を、日曜に第2戦の予選と決勝を行う、これまでにないスタイルが採られた。

4月8日(金)は、これまで週末1レースの場合、土曜午前に行われていたフリー走行が午後2時10 分から1時間30 分行われた。春の陽気を感じさせたが、風が強くコンディションが変わりやすい。大嶋は5〜6周ほどのラップを重ね、週末に向けてセットアップを続けた。チェッカー間際、1分22 904 というベストタイムをマークし、順位は20 番手となった。


第1戦 公式予選4月9日(土) 天候:晴れ 路面:ドライ

走行初日、4月に入り急速に暖かさが増していた影響か、フリー走行のタイムとしてはいまひとつだった大嶋。

4月9日(土)は、午前9時30 分からいきなりノックアウト形式の予選だ。フィーリングをほとんど確認できぬまま予選に臨まなければならない。また今季から、ノックアウト予選の方式が変更。Q1 をA組とB組に分け、それぞれ10 台/ 11 台が出走。6番手以内に入ればQ2 に進出する。ただQ3 は今季から廃され、Q2 までですべてのグリッドが決することになる。

大嶋は午前9時45 分からスタートしたB組からQ1 に出走した。この日は風がかなり強くなり、空力に大きく依存するスーパーフォーミュラは大きく影響を受けたが、それはどのライバルも同じ。一度ユーズドタイヤでコースインした後、ニュータイヤを履きコースに戻った大嶋は、チェッカーのタイミングでアタックを敢行。1分22 671 をマークした。このタイムは11 台中10 番手となるが、その後アタック中の走路外走行で#65 大湯都史樹のベストタイムが抹消され、大嶋は9番手に。ただQ2 進出には届かず、大嶋は18 番手から午後の決勝レースを戦うことになった。


第1戦 決勝レース:4月9日(土) 天候:晴れ 路面:ドライ

公式予選終了からわずか4時間弱という非常に短いインターバルを経て、迎えた4月9日(土)午後2時30 分からの決勝レース。今シーズンの開幕戦となる41 周のレースだ。午前に続き晴天で気温23 度、路面温度30 度とかなり暖かい状況ではあったが、やはり風が強い。

 18 番手からスタートした大嶋は、スタート時にポールポジションの#15 笹原右京がエンジンストールを喫したことから大混戦となったTGRコーナーからコカ・コーラ・コーナーにかけての攻防をくぐり抜け、2ポジションアップの16 番手でオープニングラップを終えると、翌周に#18 国本雄資が後退したのをうけ、15 番手につけていく。前は今季初参戦でスタートで順位を落とした#55 三宅淳詞、そして1周目にダンロップコーナーで接触、スピンを喫した同じくルーキーの#53 佐藤蓮に挟まれての走行となった。

序盤から上位から下位まで僅差、さらに大嶋の前方の#55 三宅の前も詰まっている状況から、チームは昨年も何度も実行しているとおり、10 周目にウインドウがオープンしてからすぐにピット作業を行う作戦を採った。

10 周目、同様の作戦を行った車両でピットレーンが混雑していたが、翌周となる11 周目に大嶋はピットイン。クリアな状況で長いスティントを戦いはじめた。

16 番手でコースに戻った大嶋は、14 周目に#18 国本に先行を許すも、ピタリと背後につけ17 番手でレースを戦っていく。 今季はタイヤの構造もわずかに変更され、この気候のなかでロングランをこなすのはまだあまり経験がない。ライバルたちも同様だが、大嶋は新しいタイヤの変化などを感じ取りながら、少しずつ燃料が減っていくとともにペースも上げていった。

中盤、1分25 秒台でラップタイムが安定していくなか、順位も15 番手で安定していく。そんななか27 周目には、浮き沈みが激しいレースを展開していた#65 大湯都史樹が後方から迫り、大嶋をオーバーテイク。ふたたび大嶋は16 番手となった。その後、#7 小林可夢偉のピットインにともない、大嶋はひとつポジションを上げ15 番手に。37 周目、1分24 231 というベストタイムをマークし、41 周を走りきり2022 年の開幕戦を終えた。

結果は15 位。2021 年から大きく順位としては変わっているわけではないが、2022 年の新体制のなかで得られたこともある。

レース後の終礼では、豊田大輔オーナー代行は
「この順位に慣れたくはない。第2戦に向けて『学び』を活かしていきたいと思います。他のチームも『学び』がありますが、我々がより勝てるように」と、すぐ翌日に迫った第2戦に向けてチームを鼓舞した。

 オーナー代行が言うとおり、このレースは1週末に2レースが開催される。翌日にはもう第2戦なのだ。


第1戦 ドライバー/監督コメント

DRIVER 大嶋 和也 (Kazuya Oshima):「今までの流れとは異なりますし、結果としてはまだ出ていませんが、レースを終えたところでの手ごたえはレースを終えてみても感じてはいます。昨年までは何が悪いかも分からない状況でしたが、どこが悪いのか分かる領域まで来ています。あと少しですね。テストのときはやることも多く、燃料を多く積んだ状態で走れていませんでしたし、テストでは気温や路面温度がかなり低かったので、このコンディションに変わったときにどう合わせていくかだと思います。この第1戦で悪かった部分をしっかり見直していきたいですし、バランスや燃料が減ってきたときなども調整したいですし、良いところを見れば上位陣とはそれほど遜色がないところまで来ています。そこをキープしていけるようにしてきたいですね」


監督 片岡龍也 (TATSUYA KATAOKA):「今シーズンは体制を新たに、鈴鹿サーキット、富士スピードウェイと3月に2回のテストをこなしてきましたが、昨年までよりも手ごたえを感じつつ、シーズンに向けて期待をもって臨みました。ただ第1戦の結果だけを見ると思うような結果にはなりませんでしたね。まず予選でのパフォーマンス。そしてまたフリー走行では決勝のロングランは少し良いのかとも思いましたが、第1戦では風も吹いており、条件が異なっているとはいえ、他チームと比較するとまだ力が足りないというところが客観的に見えたかもしれません。幸い、すぐ次の日に第2戦もありますし、エンジニアとドライバーには頑張ってもらうところですが、少しでも対策をして、第2戦にさらに少しでも光が見えるようにしていきたいですね」


第2戦 公式予選4月10 日(日) 天候:晴れ 路面:ドライ

4月9日(土)に行われた第1戦は、オフに積み重ねてきたものから得られたセットアップで予選と決勝に臨んだdocomo business ROOKIE と大嶋和也だが、上位で争うためにはあと少しが足りない状況だった。

そこで、今回の週末に向けて用意していたセットアップのうち、もうひとつ用意していた方向性をトライし第2戦にむことになった。こういった引き出しが増えているのも、東條チーフエンジニア加入の効果のひとつだ。

4月10 日(日)午前10 25 分から行われた第2戦の公式予選は、前日同様晴天。風は前日よりも穏やかになった。この日も大嶋はQ1 のB組から臨み、慎重にタイヤを温めながらアタックに入っていく。前日よりも路面温度が高く、温まりも早そうだった。 大嶋は5周目、1分23 秒075 というタイムをマークするが、アンダーステアがありアタックとしては決して良いものではなかった。上位陣は1分22 秒台、トップは1分21 秒台に入っており、結果は10 番手。Q2 進出は果たす大嶋は19 番手グリッドから第2戦の決勝に臨むことになった。ただ、決してこのセットアップが悪いわけではない。決勝に向け無駄ではない良いデータを得た


第2戦 決勝レース:4月10 日(日) 天候:晴れ 路面:ドライ

公式予選を終えてから3時間弱という、前日よりも短いインターバルで迎えた4月10 日(日)の決勝レース。

タイトなスケジュールではあったが、予選から得た新たな方向性、そして第1戦で使ったセットアップから、それぞれ良いところを選び、第2戦の決勝に向けてのセットアップを作り上げていった。

 決勝レース直前に行われたウォームアップで大嶋は5周を走り、1分25371 というベストタイムをマークしセットを確認。午後2時30 分からの決勝に臨んだ。気温23 度、路面温度32 度というなかで迎えたスタートでは、大嶋が魅せた。スタートで好ダッシュを決めると、1周目のダンロップコーナーで#5 牧野任祐が#50 松下信治と接触しスピンするのをうまく避け、混乱のなかで5ポジションアップ。14 番手につけていく。

しかし、スピンした#5 牧野の車両はその場でストップ。動けなくなってしまったことから、レースは今シーズン初めてセーフティカー導入となる。レースは5周目にリスタートを迎えるが、大嶋は#7 サッシャ・フェネストラズの後退にともない13 番手へ。6周目には#19 関口雄飛にかわされるなど中団の混戦のなかでレースを進めていくが、第1戦とは異なる感触を掴んでいた。

 入賞圏内まであとわずかという順位だが、周囲と遜色ないペースで戦えていたのだ。2021 年よりも大きな進歩を遂げていたのは間違いなかった。前日の第1戦では、ウインドウオープン後の10 周目にピットインしていた大嶋だが、この日はペースの良さとともに前を走るライバルたちが続々とピットインし前が開けていったことから、コース上にステイアウト。それにともない、14 周目には8番手まで浮上していた。

 ただ、1分25 秒台で走れていたラップタイムが15 周目には1分26 秒台後半になるなど、ペースが苦しくなりはじめた。21 周で大嶋はピットに入るが、直前2周ほどのペース、またピットインのタイミングもあり、ピットアウト後の順位は18 番手となっていた。ライバルにいわゆるアンダーカットを許すかたちになってしまったが、それでもピットアウト後のペースはそこまで悪いわけではない。大嶋は1分25 秒台のラップを重ねつつ、チェッカーまで走り第2戦を18 位でフィニッシュすることになった。最終的な順位は第1戦よりも低いものではあったが、序盤の戦える手ごたえ、ペースと第1戦よりもレース後の大嶋、そしてチーム全体の表情は明るいものがあった。

 第1戦の段階では、思うような結果を残すことはできなかったdocomo business ROOKIE と大嶋ではあったが、この週末を経て大きなデータと経験を得た。これを活かし、2週間後に迫る第3戦鈴鹿に繋げるためには、エンジニアリングをはじめ強化されたチーム体制が、短いインターバルのなかでいかに実力を発揮できるかが試されることになる。レース後、東條チーフエンジニアも「いい材料を得ることができた」と第1戦/第2戦の週末を振り返った。豊田大輔オーナー代行も「チーム全体でいい結果を出せれば」と鈴鹿に向けて気持ちを新たにした


第2戦 ドライバー/監督コメント

DRIVER 大嶋 和也 (Kazuya Oshima):「昨日はオフで良かった方向性のままレースを戦ったのですがうまくいかず、東條エンジニアが今までの経験のなかで持っていたもうひとつのセットアップで臨みました。予選については、それ自体が悪かった訳ではないとは思いますがバランスが悪く、アンダーステアが強かったです。ただ決勝ではペースも悪くなく戦える印象がありました。ピットインのタイミングや、その直前のペースが悪かったので上位には入れませんでしたが、第1戦よりもスッキリとした気分で週末を終えられたと思います。1周目はスタートもうまくいき、攻防のなかで順位も上げられましたが、それを繋げられなかったのは悔しいところでしたけどね。まだ経験が足りないところもありますが、東條エンジニアが作りたいクルマと僕の方向性が分かってきました。次戦も頑張りたいです」


監督 片岡龍也 (TATSUYA KATAOKA):「前日から大幅なセットアップ変更を行って第2戦に臨みました。もともと用意していたふたつのセットアップのうちのもうひとつを採用しましたが、苦しい方向性に行ってしまいました。ただ予選で見えた足りないところをレースで補っていきましたが、それが繋がり、決勝レース自体は向上したと思っています。点数をつけるとすれば、第1戦よりも大幅に高いです。もう少しで合格点と呼べるものだったのではないでしょうか。今回第1戦と第2戦が続いていることでいろいろなことが試せましたし、今回大嶋選手と東條エンジニアが組んだ最初のレースでしたからね。いろいろな好みも見えたと思います。得られたものも多かったですし、すぐに第3戦の鈴鹿もやってきますからね。今回悔しかったところを晴らしたいと思っています」


第1戦 リザルト


第2戦 リザルト


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