<土曜フリー走行:5月21 日(土) 天候:曇り 路面:ウエット/ドライ>
4月23 日(土)〜24 日(日)に鈴鹿サーキットで開催された第3戦では、浮上のきっかけをつかみながらも、不安定な天候に翻弄され結果を残すことができなかったdocomo business ROOKIE と大嶋和也。明らかに向上しているパフォーマンスを結果に繋げるべく挑む第3戦の舞台は、大分県日田市のオートポリス。阿蘇の山間に設けられたアップダウンの大きなコースだが、大嶋にとってはこれまでのスーパーフォーミュラのキャリアで多くの好結果を残してきた、非常に相性が良いサーキットだ。
迎えた5月21 日(土)の予選日は、事前の天気予報では雨の予報はなかったものの、早朝に雨が舞い、コース上は濡れた部分が残るなかで午前9時40 分からのフリー走行を迎えた。レコードライン上は少しずつ乾きはじめてはいたものの、大嶋はウエットタイヤを履きコースイン。まずは周回を重ねセットアップを進めていった。
開始から15 分も過ぎるころになると、さらに路面も乾きはじめたことから、大嶋もライバルたちに続きスリックタイヤに交換。ピットアウト〜インを繰り返しながらセット変更を行っていった。フィーリングも「悪くないですし、そこそこのフィーリング。少しフロントのグリップ感が足りない」状況で、タイムもトップ10 をうかがえる。そんななか、フリー走行開始から53 分というところで、#65 大湯都史樹がクラッシュしたため、セッションは一度赤旗中断となった。
再開後も大嶋はセットアップを進めていき、終盤にはニュータイヤを装着しアタックラップのシミュレーションを展開していく。残り1分ほどのタイミングでは、下りストレート先の右コーナーで#5 牧野任祐がクラッシュするものの、赤旗は出ずチェッカーまでセッションが進んだ。ここで大嶋は1分25 秒658 というベストタイムをマークし、13 番手でセッションを終えることに。宿願でもある午後の公式予選でのQ2 進出に向け、ある程度の手ごたえを得ながらフリー走行を締めくくった。
<第4戦 土曜公式予選 5月21 日(土) 天候:晴れ 路面:ドライ>
迎えた午後2時50 分からの公式予選。フリー走行からフィーリングは悪くなく、決勝に繋げるためにも、なんとしても宿願のQ2進出を果たしたい。大嶋は気合十分で予選Q1 のA組から出走すると、まず一度ユーズドタイヤでコースインした後、ピットへ戻りアタックのタイミングを見計らう。
今回、大嶋が選んだのは、アウトラップ後の計測1周目でアタックするという作戦。タイヤに厳しいオートポリスでは、アタック周の後半でニュータイヤの良いところが失われてしまう傾向にあった。そこで、ニュータイヤの良い部分をしっかり使おうという作戦だ。ただチェッカー直前のアタックで、チャンスは一度しかない。
大嶋は残り3分というタイミングでコースインすると、しっかりとタイヤを温め、セクター1からグリップをしっかりと発揮しアタックしていく。大嶋は1分25 秒339 というタイムをマークするが、終わってみれば8番手。惜しくもQ2 はならなかった。
「作戦は良かったと思っています。ただ『あとちょっと』が足りない」と大嶋は予選を振り返った。「今まででいちばん感触は良いので、決勝で追い上げられるはず」と大嶋は翌日の決勝に向けて前を向いた。
<第4戦 決勝レース:5月22 日(日) 天候:晴れ 路面:ドライ>
予選日までは雲が多かったオートポリスだが、迎えた5月22 日(日)の決勝日は、朝から晴天となった。気温もどんどんと上がり、午前10 時15分から行われた30 分のフリー走行は気温17℃、路面温度31℃というなか行われた。
Q2 進出はならなかったが、このオートポリスでのレースは荒れることも多い。「足掻いていこう」という片岡龍也督のかけ声のもと、大嶋とdocomo business ROOKIEは決勝に向けたセットアップを行っていった。
予選までもそこまで悪い感触ではなかったフィーリングを改善しようと、セットアップをさらに変更。大嶋は一度ピットインをこなしながら走行を重ね、1分30 秒762 というベストタイムをマークし、「かなり良いところまできた」と好感触を得ていた。
迎えた午後2時30 分からの決勝。15 番手からスタートした大嶋は好発進を決めると、1コーナーで間に挟まれ行き場を失いながらも、2ポジションアップを果たす。しかし1周目、3コーナーで起きたアクシデントの車両回収のため、レースはセーフティカーランとなった。さらに4周目のリスタート直後にもクラッシュが起き、二度もセーフティカーが入る波乱の展開となっていく。
レースは10 周目にリスタートを迎えるが、直後の1コーナーで、大嶋のアウトから#19 関口雄飛が仕掛けてくる。コクピットの大嶋はフィーリングも良く、2〜3コーナーへの攻防で関口を退ける走りをみせた。「なんとかこらえて、3コーナーで『もう退いただろう』と思った」という大嶋だったが、相手は退いておらず、フロントウイングが大嶋の左リヤタイヤをカットしてしまった。
タイヤパンクチャーに見舞われた大嶋は第1ヘアピンで姿勢を乱しコースオフ。しかし、なんとかコントロールすると、緊急ピットインを行った。ちょうどピットウインドウはオープンしており、ダメージを最小限にすることも可能だ。ただ、ピットではパンクチャーへの対応が整っておらず、ジャッキアップに時間を要してしまうことに。
遅れが大きくなってしまった。
なんとか作業を終え大嶋はコースに復帰するが、遅れは決定的。ただピットアウト後、大嶋のペースは上位陣と比べても遜色なく、着実にラップをこなしていく。しかし30 周を過ぎる頃になると、後方からトップ集団が近づいてきた。悔しいラップダウンだが、大嶋はブルーフラッグを遵守し道を譲る。ただ、そうするとコースの汚れた部分を走ることになり、大嶋のラップタイムは大きく落ちてしまった。
大嶋は41 周を走りきり、15 位でフィニッシュ。感触も良かっただけに、ポイントは十分可能だった。事実、序
盤に大嶋のまわりにいたライバルが入賞しているのだ。得意コースだっただけに、大嶋は「正直悔しいです」と語っ
た。とはいえ今回の収穫は多い。あとは結果に繋げるだけだ。
ドライバー/監督コメント
DRIVER 大嶋 和也 (Kazuya Oshima):「フリー走行で感触を確認し、悪いものではなかったのですが、さらに良いものをと変更していったセットアップのフィーリングがすごく良く、決勝に向けてかなり良いところまでもっていくことができました。スタートも良かったですが、2台に挟まれて少し引いたかたちになりました。その後もペースも良く、戦える感触を得ていたのですが、運悪く接触し、相手のウイングが当たってタイヤが切れてしまいました。その後もペースは悪くなかったのですが、周回遅れになってしまったことで譲るとさらにペースが悪くなってしまったり……という展開になってしまいました。ポテンシャルはありましたし、ポイントは獲れていたと思います。正直得意なコースで狙っていただけに悔しいですが、この方向性を活かし、次戦こそ前で戦いたいです」
監督 片岡龍也 (TATSUYA KATAOKA):「予選ではQ1 を通過できるかどうか……というポテンシャルがありましたが、路面の変化に対してのセットアップもまずまずのところにあるなか、わずかに足りずQ2 進出はならずでした。しかし、そんななか大嶋選手のコメントを通して聞いていると、クルマの安定度があることが感じられたので、決勝日朝の走行で確認しレースに臨みました。タイムも期待どおりのもので、レースも順調に戦っていましたが、接触でタイヤが切れてしまい、緊急ピットインを強いられ勝負権は失ってしまいました。しかしその後もトップグループと遜色ないレースペースでしたし、得点圏は狙えたパフォーマンスはあったと思います。その点では悔しいところはありますが、非常に大きな手ごたえを感じられました。次戦に向けて期待を高めていきたいと思います」
第4戦 リザルト
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